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良かれと思ってした感動サービスが、逆に顧客満足度を下げている

顧客満足度アップのため、さまざまな企業がいかに感動的なホスピタリティを届けられるかということを追求していますが、9万人以上を対象に行なった調査で意外な事実が明らかになりました。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、そんな驚きの調査結果を紹介しています。

9万7,176人に調査して分かった顧客満足の真実

利潤と道徳を調和させることの重要性を説き、1916(大正5)年に『論語と算盤』を著した渋沢栄一。現代においてそれは「人間学とマーケティングという言葉に置き換えられると説くのは、国際的なトップマーケッターの神田昌典氏と、その懐刀である池田篤史氏です。

IoTの普及や超AI時代の到来など、経済・産業ともに大転換期を迎えているいま、経営者はいま、何をすべきなのでしょうか。『人間学×マーケティング』には、成熟企業から新成長事業を生み出すためのノウハウがびっしり記されています。本日は、本書の中の一部をご紹介します。


「あなたは、あなたの顧客を理解できていますか?」
「???うちは、お客様のことを大切にしているし、会話もしているから、ちゃんと、理解していますよ」

といわれるかもしれない。しかし、それは、本当だろうか?

【お客様】についての質問

以下の質問に、お答えください。

  1. この1年、あなたの商品を購入したベスト10のお客様名をお答えください
  2. この1年、お客様ベスト3の購入金額をお答えください
  3. あなたのお客様はあなたの商品を購入するまでにどのような努力していますか?
  4. この1年、お客様を紹介してくれた方のベスト3は?
  5. あなたのお客様は、何がきっかけであなたの商品を知っていますか?
  6. あなたのお客様は、なんという言葉であなたの商品を検索していますか?
  7. あなたのお客様は、どんな場面で怒鳴りたくなるほど怒りを感じていますか?もしくは、どんなことに、夜も眠れないほどの悩み・不安を感じていますか?
  8. あなたのお客様は、どんなことに、自分を抑えきれないほど欲求を持っていますか?

理解をしているということであれば、上記の「8つのうち6つ」は、経営者であってもしっかりと回答できるだろう。

自社の顧客を理解していなければ、適切な経営判断はできない。ベスト3の顧客の名前購入金額購入プロセス媒体ニーズ・ウォンツは知っておく必要はある。

この質問を幹部や社員にも聞いてみてもらいたい。社員は、どれだけお客様のことを理解できているか?という自社の現状を、会議の場で訪ねてみるといいだろう。意外かもしれないが、自社の担当社員が自分たちのお客様がどういう人か?深く理解できていない会社が意外にも多い

これは、本当に気をつけなければならない。なぜなら、自分たちはお客様を理解しているつもりでも、お客様は日々あらゆる環境にさらされている。変化しているのだ。そのことを見過ごしていないかを、一歩立ち止まって見つめ直してほしいのだ。

この件に関連した驚くべき真実がデータ上で判明された。

『The Effortless Experience』という書が、翻訳書『おもてなし幻想:デジタル時代の顧客満足と収益の関係』(実業之日本社)で明らかにされた。CEBという会員制の大手顧問企業に所属するマシュー・ディクソン、ニック・トーマン、リック・デリシ氏の共著の書籍だ。

それによると、お客様と長期的にいい関係を築くカスタマーロイヤリティを高めるには、一般的には、感動的なホスピタリティだと思われてきた。しかし、実際は、異なっていたのだ。

9万7,176人の調査を行なったところ、実は、そこそこのサービスを提供したらそこから先はロイヤリティは変動しないという事実だったのだ。しかも、お客様の声を聞いてお客様サービスの対応をすればするほど満足度は下がりやすくなる可能性が高いということもわかったというのだ。

要は、ホスピタリティの戦略は割に合わないということだ。

それよりも大切なことは、

といった、顧客側に、多大の手間や努力をさせないことだという。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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