「スタッフを嫌な気持ちにさせたくない」「自主的に動いてほしい」といった理由で、強制的に仕事をさせることにためらいを持つ方も少なくないでしょう。しかし、時には「強制力」を発揮しなければいけないこともあるようです。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、そうすべき相手とシーンについて記してくださっています。
時には、「強制力」で仕事をさせることも重要!
コンサルティングを行っている中で、よく社長さんやマネージャーさんに、「これをやらせたら、また、『やらされ感』が出ませんか?スタッフが、なるべく自発的に仕事をするようにしていきたいのですが…」という類の質問を受ける。
僕も基本的に「やらされる」のは、大っ嫌いだし、できるだけスタッフには仕事に自発的に、主体的に取り組んでもらいたいと考えている。だから、普段は、「自分で考える」ための考え方や「自分で主体的に取り組める」ような仕組みを構築するようにしている。
しかし…だ!
経験値の低い人やまだまだ未熟な人には、「強制力」はとても大切だ。なぜなら、経験値の低い人や未熟な人は、こちらが「大切だ。重要だ」と思っていることを「重要だ。大切だ」と思わず、その仕事をないがしろにしたり、取り組まなかったりするからだ。こんな人に、「自分で考えて」仕事に取り組ませていたら、いつまで経っても大切な事は身につかないし、最終的には店の売上に影響する事さえある。
だから、時には「強制的に取り組ませる」仕事も大切で、嫌々でも仕事をさせ、そして、継続させることで、その仕事の大切さを分からせるという教育・指導もすごく重要です。
この話でよくたとえ話として使うのは、小さい頃の歯磨き。小さい頃は、朝起きて(もしくは、食べた後)、寝る前に歯を磨くことを両親から強制されたはず。両親からすれば、子供が嫌がることをさせるのは、本来は嫌なはずだが、でも、子供のことを考えて厳しく強制させる!
きっとその頃は誰もが、歯を磨くことがすごく面倒であったはずだし、できればやりたくなかったはずだ。たまに、両親がなんかの都合で歯磨きを忘れていてそのまま時が過ぎようものなら、「よっしゃー!」と心の中でガッツポーズを作って喜んでいたことがきっとあったのではないだろうか?
でも、嫌々でも毎日歯磨きを行うことで、いつからか逆に、「やらないと気持ち悪く」なってきて、両親から言われなくても自主的に歯磨きをする日がやってきて、それ以来、誰に強制されることなく、みずから進んで歯磨きを行なうようになったのではないだろうか?これは、歯磨きが習慣化されたことと、年齢を重ねるうちに、歯磨きの大切さを自分自身徐々に理解していくことが要因だと思う。
同じように、飲食の仕事でも、まずは「強制的にやらせる」ことを継続してやらせ、そして、習慣化し、その中でその仕事の大切さを徐々に理解させていくとのだ。
「やらされる」のは、相手に嫌がられるし、「やらせる」方としてはとても気を遣うもの。しかし、本当に相手のことを思うなら、時には「強制的にやらせる」ことも大切で、嫌われ役になることから逃げてはならない!
相手の成長を本当に考えるなら、時には、すすんで嫌われ役になるべきだ!