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え、なにこれ。2月に振り込まれた年金額がちょっとだけ多い理由

年6回振り込まれる年金ですが、「2月の金額、ほんの少しだけど多くない?」と首をかしげている方もいるかもしれません。なぜそのような現象が起きるのでしょうか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』で著者のhirokiさんが、その理由を解説しています。

なんでだ!?毎年2月の年金振込額が数円違う理由

2月は所得税の源泉徴収の関係があって、振込金額がいつもと違う事はよくあります。

●「年金振込額が凄く減ってる!」という苦情はなぜ2月に多いのか」(まぐまぐニュース参考記事)

年金の振り込みって「いつもと振込金額が違う!」っていう事がよくあるのですが、その中でも2月はほんの数円だけなんか違うっていう事が今はあります。

年金ってあまり信用されてないから、金額がいつもと違うともしかして年金機構がなんか計算間違ってるんじゃって思われがちというかですね^^;まあ、10年ほど前にあった年金記録問題の事もありますので、疑う事も必要です。

●「結局、あの『消えた年金記録問題』とは一体なんだったのか?」(まぐまぐニュース参考記事)

ところで、2月は年金振り込みが約数円とかの違いで微妙に多めに振り込まれていたのではないかと思います(全員ではないですが)。これは結論から言うと年金の端数処理の問題です。気にしない人は気にしないんですが、受給者様によっては1円単位まで細かく何でこうなんだ!!根拠を出せ!って細かい人もいるからですね^^;

というわけで今回はちょっと年金の端数処理についておさらいですね。

年金は原則として前2ヵ月分を偶数月の15日に支払います(15日が土日祝日にあたる場合は14日とか13日等に前倒しして支払われる)。これは僕のメルマガを長い間読んでくださってる読者様にとっては基本中の基本であります。特に何もなければ、年間を通して6回の年金振込があるという事です。

年金額を算出する時は年金の年額がありますよね。それを6回の支払いで割ります。例えば年額130万円だったら、130万円÷6回=216,666円が偶数月の振込額になります。

ここで、受給者の方が216,666円が年間6回支払われる事を電卓で叩いてみました。そうするとですね…が216,666円円×9回=1,229,996円になってしまった!しかし、年金振込通知書には130万円と記載されている。なのに振込総額は4円足りないやないかいo(`ω´ )o!どういう事や!と。

これはですね、130万円を6回で割ると216,666.66666…円っていう1円未満の端数が出るんですよ。1回の支払いごとに0.66666…円の端数が出てますよね。で、振込時に支払う時は四捨五入をするのではなくこの1円未満の端数は切り捨てて支払うんです。だから216,666円。

根拠としては「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」という法律に基づいて1円未満の端数は切り捨てて支払われています。この法律をもって切り捨てています。よく僕が年金記事で月額表示する時はこの切り捨てた後の金額を書いてるので、ちょっと年金年額の総額と合わない事があるのはそのためです。

ちょっと話を戻しますが、どうしてそれが2月の年金振り込みに影響するかというと、今まで切り捨ててきた1円未満の端数を合計して2月支払い時にまとめて支払うからです。

あのー…平成27年10月になるまでは毎回支払うたびに端数切捨てていたんですよ。完全に切り捨て。2月支払い時にまとめて支払う事もなかった。でも平成27年10月に被用者年金一元化で共済組合が厚生年金制度に統一された時に、この端数に関しては共済組合がやってたように1円未満の端数はまとめて2月支払い時に支払おうという事になった。この部分は共済組合に合わせた。

だからさっきの216,666.66666…円の0.66666…円が4月、6月、8月、10月、12月、2月と6回切り捨てられてきましたよね。つまり0.66666…円×6回=3.99996円となる。この3.99996円円を2月の支払金額である216,666円にプラスして支払う。そうすると2月15日に支払われる年金振込額は、216,666円+3.99996円=216,669円の振り込みとなる。なお、この時に生じた3.99996円の0.99996の1円未満の端数は完全に切り捨てとなる。

よって2月15日に支払われた年金振込額を記帳してみると、ちょっと微妙に金額が違う!っていう人は、年金機構が計算間違ってるのではなくて端数処理の関係であります。これが毎回年金が支払われる時のやり方。

で、最後に年金年額の端数処理に関してですね。国民年金を例えば450ヶ月納めた人の老齢基礎年金額を算出しますと、780,100円(平成31年度基礎年金満額)÷480ヶ月×450ヶ月=731,343.75円となります。じゃあこの1円未満の0.75を切り捨てるのかというと、こちらは四捨五入します。だから、年金年額としては731,344円になります。年額の場合は1円未満四捨五入。

そして、731,344円を6回の支払い回数で割ると、121,890.6666…円となるので、こちらは1円未満を切り捨てて121,890円の振り込みとなります。その切り捨てられた0.6666…円×6回は2月15日に121,890円と一緒に支払うから、121,893円となる。

ちなみにもし2月支払い時に何らかの原因で年金が全額停止になった時は、過去の切り捨ててきた端数がまとめて支払われる事は無い。その後の年金振込時に繰り越して支払われる事もない。

※追記

年金年額は平成27年10月の被用者年金一元化の改正までは、100円未満四捨五入だった。さっきの1円未満四捨五入した731,344円を50円以上は100円に切り上げて、50円未満は切り捨てて731,300円としていた。

image by: Shutterstock.com

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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