お客様の要望にどうしても応えられず断らざるを得ない状況になった時、みなさんならどのような対応をするでしょうか。「対応次第でそのお店の今後が決まってしまうことがある」とするのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。今回は、坂本さんご自身がとあるお菓子屋さんで見た接客に苦言を呈し、「断る訓練をすべし」と記しています。
断り方はどうか
先日、近所のスーパーで、少し気になることがありました。スーパーといっても、パン屋さんやファストフード店なども入っているような複合型のお店なのですが、そこにあるお菓子屋さんでの話です。
「そんな量がいる場合は、事前に予約してもらわないと困るんですよね」
販売員の方がこんなことを言っていました。どうやら、ご年配のお客様らしき方が、販売されているお菓子を多めに買いたかったようなのです。まぁ雰囲気的に、用意されているお菓子が足りず、今回は購入してもらうことはできず、次回からの事前予約を促そうという感じでした。
ただ、残念だったのは、その伝え方が、ものすごくトゲトゲしかったということです。実際、近くにいた私の耳にも聞こえてきたのですが、「そんな言い方をしなくても…」と感じてしまうような雰囲気で言われていました。
と言っても、実はこういうことは、結構多くのお店で起こっています。もしかすると読者の皆様もご経験があるかもしれませんが、何か頼んでみたりすると、「できませんね」「ありません」みたいに、バッサリ切り捨てられるかのような断り方をされるなんてことがあります。私もこれまで幾度となく経験してきました。
もちろん、断らざるを得ない状況というのは、よくわかります。店の中に無いものは無いですし、サービスとして、できないものはできません。ただ、断り方には、細心の注意を払うこともまた店としては大事なことではないでしょうか。
以前にも飲食店絡みのことで、似たようなことを少し書いたことがありますが、たとえ、その場で購入いただけない、その場で、店のサービスを受けてもらえないとしても、今後はわかりません。その場では、できないことやどうしようもないことを頼まれて断るしかない相手でも、もしかしたら、今後お客様として通ってくれるようになる人もいるかもしれませんし、良い評判を広めてくれる方になるかもしれません。
実際、以前私が働いていたお店でも、似たような状況がありました。マッサージ店のようなお店だったので、どうしても予約で埋まっていたりすると、新規のお客様をお受けすることができません。
でも、たとえその場では入れないお客様でも、今後のお客様であることには変わりませんよね。だからこそ、スタッフは全員、そういう場合の断り方をどうするかは、トレーニングしていました。「満席時には、こういう対応をする」「入れなくても、次のご案内をしっかりする」といった、断り方の訓練ができていたわけです。
そうした対応がしっかりできていたからこそ、その場ではお断りを入れたお客様が、後に来てくれて、さらには常連さんにまでなってくれたりします。後々、そんなお客様とお話をしていると、「あの時は断られたけど、ちゃんと対応してくれたから、通えるようになってよかったなぁ」なんて、嬉しいことを言ってくれるお客様もいました。
お店にとって、断らざるを得ない状況はどうしても起こります。しかし、その断り方を準備できていないと、断られたお客様は、もう二度とお店へ来てくれることはなくなるかもしれません。
それだけならまだしも、断ったことで、「あの店は、人気店だからと調子に乗っている」なんて言われ出したら最悪です。メディアにのったことで、急に行列ができ始めた店で、そういう話は、これまで腐る程聞いてきましたよね。そして、結局悪評の方が勝り出し、次第にお客様も減ってしまうのです。
自店の断り方はどうでしょうか?しっかり準備ができているか、考えてみましょう。
今日の質問です。
- どうしても断らざるを得ない時には、どんなことに気をつけておかなければいけませんか?
image by: Shutterstock.com