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「あいつ使えない」という時代は終了。使える新人を育てる法則

バブル期よりも深刻な状況に陥っている職種もあるというほど厳しい人材不足に悩まされている今、「今いる人材がいかに辞めないようにするかが重要」という方向に企業の意識が変化してきています。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、早期離職を防ぐプログラムの導入の重要性を記すとともに、新人と円滑なコミュニケーションをはかる「TEAR」と呼ばれる法則を紹介しています。

TEAR

人材不足、人財不足…。道路貨物運送業、老人福祉業、建設業、介護事業業界などは、本当に深刻な人手不足だ。うちの事務所でも求人をかけているが…。


T社社長 「求人かけても、誰も来ないんですよ~」

新米 「皆さん、もうかなり前からそうおっしゃっていますねー。最近は、ますますひどくなっていますよ」

T社社長 「困ったもんだねー」

深田GL 「有効求人倍率は、2018年度で1.61倍、直近の統計、12月は1.63倍になっています。バブル期の人手不足時よりひどくなっている職種も多いんです」

T社社長 「そこまでひどいのかい?」

新米 「民間会社による、2019年2月の転職求人倍率は、2.13倍。求人数は調査開始(2008年1月)以来の最高値を更新したそうです」

T社社長「はー、ため息が出るねー」

深田GL 「実は、うちも退職予定者があって求人をかけましたが、今回は来ませんねー。今までは、社労士事務所での求人が少なかったこともあって、求人をかけてなくても電話やメールが来たりすることもありましたし、事務方ということもあって、ハローワークに求人を出すと、複数の応募があったのですが、今回はどうしたものか…と思っています」

T社社長 「そうなんや。どこも一緒やねー」

深田GL 「そういったことから、最近は『辞めたくなくなる会社づくり』をすることが大事であり、中小企業にとっては『働きがいのある会社づくり』をすることが最重要経営戦略そのものだとまでいわれるようになってきています」

T社社長 「『働きがいのある会社づくり』をすることが最重要経営戦略そのもの?うーん、確かにそうなのかもしれないねー」

新米 「中途入社の4人に1人、つまり25%は1年以内に退職すると言われているんですよ」

T社社長 「4人に1人?七五三なんてのは聞いたことあるけど…」

新米 「七五三現象のことですね。自分なりに頑張ったが、力が発揮できなかったとか、思っていたより当たり前が何も整ってなかった、周囲との関係性が悪くなり、居づらくなった、この職場にいても先が見えない、という理由も聴こえてきます」

深田GL 「大手企業のように至れり尽くせりはできないにせよ、小規模会社でも入社直後のオリエンテーションや研修が重要視されています」

T社社長 「うちは、新人さんの研修ってとくにやってないなぁ。仕事は、現場で教えていくだけだよ」

深田GL 「早期の離職を防ぐ初期プログラムのひとつとして『入社直後研修』は有効だと思います。お伝えする内容の例は、成果を出すために大切なこととして、

T社社長 「ふん、ふん。そんな大層に話をしたことはないなー」

新米 「メンタルフォローやホウレンソウなどのコミュニケーションも大事ですよね」

T社社長 「そうだな、確かにコミュニケーション能力の低い若者が多くなっている気がするね。メンタル的にも弱いし…」

深田GL 「新人さんとのやりとりは、まず『この仕事やって』から始まりますよね。そこがうまくいかないと嫌になって辞めてしまう、続かないということになると思うんです。『TEAR』という指示受けの法則は、ご存知ですか?うちでも、今度から実践しようと思っているんです」

T社社長 「ティアー?聞いたことないね、何のことだい?」

深田GL 「T・E・A・Rの頭文字を取って、ティアーと呼ばれています」

T社社長 「そうなんだ、詳しく知りたいね」

深田GL 「まず、Tですが、Take memo:メモを取る上司相手から指示された内容をメモすることです」

T社社長 「そうだな。人の話を聴くときにメモも持たずに来る人がいるもんな。あれは驚きだよ」

深田GL 「Eは、Expect:期待水準を確認する上司相手がどの程度の仕事を期待しているのか確認するということです」

T社社長 「この仕事の最終形はどういうものかもわからず仕事している人がたしかにいるね。簡単な例で言うと、郵便物をポストインして終わりでなく、『いつの便で投函しました』という報告までして初めて仕事が終わりだってことも知らん奴がいる!」

深田GL 「報告の意味は相手を安心させることだってことをわかっていない人もいますね」

T社社長「そうかもな、こっちは完了したことをいつ報告してくれるかずっと待ってるんだけどね」

新米 「そういうもんなのですね。報告=安心させるっていうのが定義。ボクも報告を忘れないようにします」

深田GL 「Aは、Ask:質問する自分が理解した内容で合っているか上司相手に質問する

T社社長 「この仕事の納期はいつか?資料をつくってくれと言ってもワードで作るのか、エクセルで作るのか?エクセルの表だとわかっていても、何を項目にして、縦軸は?横軸は何をもって来るのか?なんて、仕上がりのことを質問してくる若者はホントに少ないなぁ」

新米 「反省します…」

深田GL 「最後のRは、Reverse:復唱する自分の理解を整理しながら復唱する

T社社長 「復唱は、大事だねぇ~。復唱せん奴は、結局何もわかってないと思うわ!」

新米 「社長!だんだんと口調が荒くなってますねー(^^)」

T社社長「思い出すと腹が立つよ!また、仕事のできん奴の顔が浮かんできた」

深田GL 「仕事のできる人は、こちらから何も求めなくても当然、メモとペンを持って来て、納期や、その仕事をどのような仕上がりにするのか、参考にすればいいものは何か、など、自分から確認、質問して、自分の理解が正しいかまでを整理しながら復唱をしますからね~」

T社社長 「そうなんだよなー。何回、確認しろっ!復唱しろ!って言っても体得できない相手には、こっちが疲れてしまうよ」

深田GL 「うちでも、ホウレンソウ・確認は大事。こういう風に質問しろってことまでは伝えてますが、それだけでは、最近の若者は仕事ができるようにならないってことのようです。AIの成長で仕事の環境が変わり、人ができる仕事がどんどん狭まる中、一方では、自分で自分のことをマネジメントできない人たちもいる。本当に難しい時代にはいってきたと思います」

T社社長 「そうだねー。その先には、今度は、人間がAIに使われる時代も来る。そのとき、必要な人材はまた変わっていくんだろうね…」

深田GL 「相性があう、合わないではなく、『TEAR』を徹底させることによって、『確認するルール』という共通項ができ、理解が深まる仕事ができる、そうなると思うんです」

T社社長 「うちでもやってみようかな…」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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