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そんな事しちゃうの日本人だけ。NY住人から見た「日本あるある」

世界が狭くなった現代では、外国で生活する人、特に都会の人が「べんり!」「かわいい!」「おもしろい!」と思える日本独自のものは、徐々に少なくなっているようです。メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』を発行する米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋さんが、今回2人のニューヨーカーに取材し、苦労の末に「THEニッポン」と言えるものを3つ発見し教えてくれました。

ニューヨーカーの日本あるある

前回「NYあるある」について書きました。自然とこんな行為をしちゃうと、あなたも立派なニューヨーカーだよ、と。

好評頂いたので、今回は、その逆バージョン。こんなことをしちゃうのは日本人だけだよ。こんなモノは日本だけしか見ないよ、のニューヨーカーから見た「日本あるある」

日本に4年間留学していたスイス人の友達、マシューと、こっち生まれだけど、両親ともに日本人で、子供の頃から日本にちょくちょく行くことがある、ジャパニーズアメリカンのミカちゃんのふたりに聞いてみました。ふたりとも、日本語はペラペラ、です。場所は編集部近くのスターバックス。コーヒー1杯で取材できる友です。

まずふたりとも、ハモるように声を揃えたのが「ウォシュレット!」洗浄器付き便器のことを真っ先に挙げました。でも、もういいよ、それ。

みんな知ってる、THE NIPPONだし、目新しくもない。まず、真っ先に上がるものだし。10年言われてきたし。それに、マンハッタンにも、すでに結構、洗浄器付きのトイレが入ってきました。

他にはない?と聞くも、ふたりとも「でも、あの衝撃は忘れられないよ」「そうそう、癖になったもの…」と平成も終わるこのご時世で、まだウォシュレット談義に花を咲かせます。よほどのショックだったのでしょう。

例えばさ、電話中についついお辞儀しちゃうとか、電車待ってる間に、ついつい傘をゴルフクラブのようにスイングしちゃうとか…。なかなかお尻洗浄から離れないふたりに、こっちから(反則だけど)水を向けます。期待していた答えを促す。

ふたりとも…「別に…」「アタシ、ゴルフしないし…」とキョトン顔。マシューが「あ!お花見の習慣?あんなもの、故郷にもここにもないもの」

ミカちゃんが、「あと、100円ショップ!あんな安くてクオリティーいいものが1ドルなんて!」…それも、もういい。よく聞く話で、これまた目新しさもない。100円ショップのクオリティーの高さは、すでにここでも書いてる。

例えばさ、SUICAはどう?ICカードの乗車券。便利じゃない?なつかしくない?こっちにもあった方がよくない?あとは、駅のコインロッカーとかさ。こっちにはないじゃん。あった方が便利じゃん。面白くもない答えばかりのふたりに、またまた反則で、こっちから振ってみる。

ふたりとも…「別に…」「クレジットカードで事足りるじゃん。コインロッカーなんて、ないならないで」と、またキョトン顔。

マシューが「そうだ!コンビニ!あんなに清潔感あって明るい店内は、世界にもないんじゃない?」ミカちゃんが「あと、マンガ喫茶は恋しい!ずーっといられるよね」……だから、いいって。そんなもの、手垢のついた意見だろ。もうちょっと斬新なもの、ない?

「だって、もう2019年だよ、いまさら、そんな目新しいカルチャーギャップなんて、もうないわよ」「それに、今の世の中、こっちの国にあって、あっちの国にないプロダクトなんてそうないし、習慣に至っては、宗教ガラミじゃないと、全人類おんなじような行動してるよ」と、ふたりとも逆ギレ。まるで、つまんない意見!と言われたのが、つまんない人たち!と言われたかのように。

なので、今度はふたりを怒らせないように、猫なで声で、じゃあさ、カプセルホテルはどう?おっかしいでしょ、あんな箱で寝ちゃう日本人。海苔は?気持ち悪くなかった?最初、あれが海草とは思わなかったでしょ。と、下手に出て、機嫌とりつつ聞いてみます。

「それこそ、古くない?カプセルホテル見て、へー!なんて言うアメリカ人、もういないと思う」「最初は確かに、海苔を食べるのは抵抗あったけど、こっちでも、今はSUSHI ROLEで、かならず、くっついてるしね」と完全論破されました。じゃあ、いいよ。なんだ、それ、ふたりともつまんねえな。と逆、逆ギレ。

「ハイハイ、ごめんね、おもしろい意見言えなくて」「いまさら、珍しい日本のモノや習慣なんて、そうそうないよね」と席を立つふたり。「食品サンプルだって、こっちでもう見るしね」と重いドアを顔を歪めて開けようとするミカちゃん。

「そうそう、深夜放送はクオリティー高いけど、今や、ネットで観れるしね」と分厚いドアを支えるマシュー。「あ!自動ドア!」ふたりを見送りながら、ついつい声が出てしまいます。「なるほど!確かに!」ふたりも足を止めて、目を見開き、声に出します。

こっちでも、自動ドアは目にします。でも、日本ほど浸透していないし、どこにでもあるわけじゃない。特にスーパーなどの自動ドアは、ガッっちゃん!とこっちに向かって開きます。折りたたみながら、開けてくれるので、ふざけてるようにも見える。アメリカっぽい発想です。自動ドア?自動であけりゃいいんだろう、的に、開閉式のドアまで強引に自動にしちゃってたり。

コーヒー片手にテーブルに戻ってきたミカちゃんは、日本に行くたび、自動ドアに取っ手を一瞬探してしまうそう。マシューは、日本から戻ってきた直後は、ただのガラス戸の前で立って、自動に開いてくれるのを思わず待ってしまったこともあったとか。確かに、日本は基本、どこに行っても自動ドアです。音も静か。日本ならではかもしれません。

「あと、さっき、ミカちゃん、なんて言った?食品サンプルなんて、まだこっちじゃ見ないよ」と僕。「うん、オレも日本でしか見たことない」とマシュー。

ちょくちょく日本に行くので、あの少し古めのレストランや喫茶店の店頭に飾られている、スパゲティを巻いたフォークが空中に浮いてる食品サンプルが、すでにニューヨークでもよく目にするものと勘違いしていたようです。

あのサンプルは、ふたりとも最初見た時に、これぞジャパニーズアート!と思ったそうです。かわいい!と感じたらしい。あれを見て、かわいいとは、確かに日本人は思いません。

「それに、マシューが言った深夜放送のクオリティーは、日本のバラエティ番組のこと?」「だって、こっちの深夜放送はドラマの再放送か、スポーツニュースばっかりじゃん。日本のバラエティ番組は0時台でも、1時台でも、すっごく手が込んでるよね。日本にいる時は、おもしろくて、夜型になっちゃったもの」

たしかに!そこは海外の人には、驚かれるかもしれません。ネットで見られる、見られないはまた別の話。深夜放送の力の入れ方は、日本ならではです。

…ということで、友人ふたりを失いそうになってまで聞き出した「海外の人が感じる、THEニッポンの文化、習慣、モノ」は、自動ドア食品サンプル深夜放送。の3つでした。

……うーん、でも、やっぱり、そこまで、目新しくないか。前述した通り、すでに、そんなモノ、ないのかもしれません。

image by: Atiwat Witthayanurut, shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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