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NTTドコモ「4割値下げ」に見えなくもない「苦肉の策」は損か得か

昨年8月の菅官房長官による「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という発言を受け、4月15日にようやく新料金プランを発表したNTTドコモ。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんによれば、「4割値下げに見えなくもない」とのことなのですが、ユーザーにとって「お得」なプランとなっているのでしょうか。石川さんが自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で詳細に分析しています。

NTTドコモが「4割値下げ」に見えなくもない新料金プラン発表

NTTドコモが新料金プランギガホ」「ギガライトを発表した。1GB未満は従来の4割値下げにはなるものの、菅官房長官の「4割値下げできる余地がある」発言を受けて、なんとか4割下がる場所をこねくり回して作り出したという苦肉の料金改定」のように見える。

資料などでは、家族3人での組み合わせならば従来と比べて4割下がるとあるが、これも正直言って微妙な雰囲気が漂っている。

従来の料金プランは、家族3人でパケットパックをシェアすることが前提となっている。モデルケースでは、父が5GB、母が0.5GB、娘が15GBという設定で、月に1万7,140円支払うとある。

これが新料金プランに変更すると、娘がギガホ、父母がギガライトにすることで、月の支払いが1万940円まで下がるという計算だ。もちろん、これには端末代金や月々サポートは含まれない

さらに厄介なのが、家族3人同時に新プランに移行できればいいが、普通、家族それぞれの端末購入時期が一緒とは限らない。新料金プランでは、2年間の割賦を払い終え、月々サポートが終わっていれば移行して安くなる。しかし、月々サポート適用中は移行すると損になるケースがほとんどだ。

仮に娘の月々サポート適用が終わり、新料金プランに移行したとしよう。しかし、父母の月々サポートが適用中で、旧プランを使い続けると、パケットをパックを3人から2人でシェアすることになるため、割高なパケットパックを支払う場合が出てくるのだ。ちなみに先程の例での3人の合計は1万6,040円で1,100円程度しか下がらない

NTTドコモの新料金プランは、慎重に移行時期を検討しないと意外と損するケースが多い。このあたりの注意喚起をNTTドコモやショップはやっていくべきだろう。

今回、「ギガホ」と「ギガライト」という二本柱になったため、単体で見ればわかりやすくなったのだが、やはり、従来プランを理解しつつ、新プランも把握し、両社を比較し、メリット・デメリットを確認した上で移行時期を検討しなくてはいけないため、ユーザーにとってみれば相当ハードルが高い

菅官房長官の「4割値下げできる余地がある」発言は、結局、4割下がることもなかったし、ユーザーに混乱をもたらす最悪の結果になりそうだ。

アップルとクアルコムが知的財産訴訟で和解成立――インテルはスマホ向け5Gモデム開発をギブアップ

アップルとクアルコムは4月16日、スマホ向けモデムチップの知的財産を巡る訴訟で和解に達したと発表した。

そもそも、アップルはクアルコム社製のモデムチップを採用していたが、クアルコムはアップルに対してモデムチップの代金に加えて、それに伴う特許使用料についても請求

しかし、その請求額が高額だったためか、2017年にアップルは「使用料が高すぎるとクアルコムを提訴。一方で、クアルコムは対抗措置としてアップルを知的財産権の侵害で訴えたのだ。

アップルは2016年から徐々にモデムチップの調達先をクアルコムからインテルに切り替え、昨年からはすべてインテル製にしてしまい、クアルコムを排除したのだった。

ただ、5G時代に向けて、インテルがちっとも5Gモデルチップを開発できないという問題にアップルは直面した。

自社で開発するのにも3~4年かかる。かといって、ファーウェイから5Gモデルチップを調達するというのは、中国メーカーを排除しようというトランプ政権の手前不可能に近い。

結局、アップルが折れた形で和解となったようだ。

ただ、クアルコムは2016年には5Gモデムチップを発表するなど、技術的特許的に他社を大きくリードしているのは明らかだった。2018年のMWCでは、様々な基地局ベンダーとの接続試験もすでに順調に進んでいることをアピール。

さらに、単に5Gに接続するだけでなく、3Gや4Gとの連携もきちんと稼働するという点はインテルにはできない芸当であった。

今回の和解によって、iPhone 5Gが現実味を帯びてきたことは業界的にも喜ばしいことだろう。当然のことながら、クアルコムにとってみれば大勝利だ。

ただ、5Gに対応するには、クアルコムのSnapdragonしか選択肢がないとなれば、5Gモデムチップの価格の高止まりにつながる可能性も高い。

そこで、気になるのが、ファーウェイの動向だ。ファーウェイのモデムをアップル以外のAndroidメーカーに開放していくのか。中国メーカーが、5Gモデムチップを安価に調達しようとファーウェイの門を叩くのか。

インテルが5Gモデルチップの開発を諦める中、ファーウェイがどのような戦略を獲っていくのか、気になるところだ。

image by: NTTドコモ - Home | Facebook

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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