食品工場において、作業場の「衛生管理」がきちんとなされているかどうかは何にも増して重要ですよね。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者で食品安全のプロである川岸博和さんが、責任者の倫理観が大きく影響する「整理整頓の重要さ」を説いています。
責任者の倫理観を超えることは無い
私が講演などで必ず話す言葉があります。
「組織の倫理観はその組織の責任者の倫理観を超えることは無い」
「倫理観」を整理整頓と言葉を置き換えてみて下さい。工場の衛生管理の基本は整理整頓です。あった場所に物を片付ける、必要のないものは作業場に置かない。整理整頓ができていない工場は衛生管理は全くできていないと思って間違いないと思います。
工場の建物の責任者も必ず、工場の玄関を使うはずです。駐車場も使うはずです。もっとも、来客用、偉い人用の駐車場、玄関を設けている工場もあります。責任者も必ず使用する駐車場、玄関が整理整頓されていない工場は、訪問しても価値が無い工場として、すぐに引き返してもいいと思っています。責任者が、駐車場が汚い事、玄関がきたないことに対して、注意も出来ず、問題点を感じていない事を象徴しているからです。
事務所、応接室の状況
工場の責任者は事務所にいる時間の方が普通は長いものです。事務所、応接室の清掃状況が不完全であれば現場はよりひどい状況と考えられます。
工場の責任者、品質管理担当の方が「事務所は汚れていてもいいや」と思っていて、予想外に作業場の方が綺麗だった経験は私はありません。工場に入る玄関の階段に草が生えている工場の作業場はまったく管理されていない状況でした。
工場に入る玄関、下駄箱、スリッパの管理、ドアの汚れ、対応してくれる事務員すべての管理が、工場の鏡になるのです。工場点検で点検日を通知して点検に行った場合は、あなたが着用する作業着、帽子、靴などがサイズも守ってきちんと準備されていることが必要です。
点検されるであろう帳票類もすべて応接室などに準備されていることが必要です。
抜き打ち検査が必要
クレームが多発した場合などは工場の抜き打ち検査を実施します。作業が早朝から始まる場合は、作業開始時間に合わせて早朝に点検を実施します。
早朝に応接室に行った場合、前日に使用した灰皿、コーヒーカップなどがそのまま放置されている場合もありました。応接室の置物、本棚の中などが綺麗に磨かれているか見渡します。会社更生法の対象になった工場の点検に行ったことがありますが、応接室のワニ剥製、鷲の置物は埃まみれでした。もちろん応接室の机の上を掃除した様子も無く荒れた状態になっていました。
コピー用紙などが直接床においてある風景を見ますが、事務所の床の上でも直接物を置いていないか点検を実施します。机の下も同じです、机の下にファイルが床の上から積み重ねられている場合がありますが、作業場の中を点検するまでも無いといえます。
駐車場、玄関、応接室、事務所が管理できない工場は、作業場も管理できていないものです。
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