MAG2 NEWS MENU

あの三年寝太郎が期せずして先行投資型ビジネスの手本になった訳

収益ゼロの状態で設備や人材にまずお金をかける「先行投資型ビジネス」は、綿密に計画を練っても「投資以上の収益を回収する」ことは意外と難しいものです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが、とある逸話から徳川家康や佐渡金山を上手く利用し、関係者も互いに利を得た「先行投資型ビジネスの好例」を紹介しています。

稼ぎたければ、“知恵”を使え!

知恵なくして、お金を稼ぐことはできません。昔の逸話を例に知恵の重要性を解説してみましょう。

徳川家康が勝利間近となった、大坂夏の陣。豊臣方だった淀屋常安という土木建設技術を持った男が、家康に接近します。

「この戦は、必ず家康様の勝利でございます。そのお祝いとして、ご本陣を建てさせていただきとうございます

と、申し出ました。無料で建てるということに疑いを持つ家康に、常安はひとつのお願いをします。

「戦が終わったら、豊臣方で討ち死にした者が、城の近辺に遺棄されることでしょう。その後始末をさせていただきとうございます」

あくまで、豊臣方の兵を想ってのことと家康に思わせたのです。家康はこの申し出を受け入れ、やがて、茶臼山に立派な本陣の建物が完成します。喜んだ家康は、常安に褒美として、八幡の山林地三百石を与えました。

しかし、常安の本当の目的はそんな褒美ではなく、遺体がまとっている、鎧、兜、刀、槍など、大量の武具を手に入れることだったのです。これらを売り捌き、大きな利益を得て、ひと財産を築いたのです。死者を利用しているようにも見えますが、遺棄されることを思えば、死者のためにもなっています。

武具を手に入れるために、無料で本陣を建てる。まさに、先行投資型ビジネスの手本とも言える話です。知恵の勝利なのです。

この話に似たような民話が、山口県にあります。

厚狭あさの寝太郎」。

厚狭という里の長者の息子・太郎は、毎日何もせず、寝てばかり。村人からは、「寝太郎」と呼ばれ、バカにされていました。

その太郎が、3年3ヶ月寝た後、突然起き上がり、「おとっつぁん、すまんが千石船をいっそう、こしらえてつかぁさい」と言いました。

父親である長者は、何か考えがあるのかもしれないと、千石船を作ります。太郎は、水夫を雇い、船一杯にわらじを積み、海へ出て行ったのです。

太郎は佐渡島に渡り、そこで働く人夫の古いわらじと持って行った新しいわらじを無料で交換し、古いわらじを大量に持ち帰ったのです。驚くことに、そのわらじを水に漬けるとたくさんの砂金が出てきたのです。

太郎は、佐渡島の金鉱で働く人夫が履くわらじには、砂金がたくさんついていることに気がついていたのです。3年3ヶ月もの間、このことを考えていたのです。太郎は、手に入れたお金で、村に土手や用水路を作ったり、沼地を水田に換え、村人に分け与えたのです。

この2つの話は、思いつきのアイデアではなくよく考え抜かれたまさに知恵の逸話なのです。

image by: Shutterstock.com

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け