「ミスター・ラグビー」と呼ばれ日本のラグビー界を牽引するも、53歳の若さでこの世を去った平尾誠二さん。そんな平尾さんのチーム作りに関する考え方は、組織の構築にも応用できるといわれますが、個々のメンバーが「何をすればいいか自ら考え出す」ためにはどう導くのが正解なのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、平尾誠二さんが、強いチーム・組織を作るためにモットーとしていた「自発性」について解説しています。
平尾誠二が語った「強い組織」の作り方
ラグビーワールドカップが9月20日に開幕するのを控え、ラグビー熱が徐々に高まりを見せています。
この世紀のイベントの開催を熱望していたのが、ミスター・ラグビーこと平尾誠二さん。平尾さんが生前語っていた「強い組織」「強い選手」づくりの考えは、いまなお輝きを放っています。
強いチームというのは、指示された通りに動くだけではなく、イマジネーションというのを膨らませて、それぞれの状況に応じて何をすればいいかを考え出すチームです。これからは特にそういうことが求められてくると思いますね。
ルールづくりも大事ですが、本当は一人ひとりのモラールが少し上がればチームはものすごくよくなるんです。決め事をたくさんつくるチームは、本当はあまりレベルの高いチームではないですね。
僕はチームワークを高めるために、よく逆説的に「自分のためにやれ」と言うんです。結局それが1番チームのためになりますから。
みんなに、「公私混同は大いにしなさい」とも言うんです。これは、一般的な意味での公私混同ではなく、公のことを自分のことのように真剣に考えるという意味です。個人がチームのことを自分のことのように考えていなければ、チームはよくならない。これからのチーム論としてはそういうことが大事になってくると思うんです。
ラグビーでも、いいチームは一軍の選手から控えの人間まで非常に意識が高いですよ。試合に出ていない人間までが「俺はチームに何ができるか」ということをいつも一所懸命考えている。
その原点は何かとというと、やはり自発性にあるんですね。これをいかに高めるかということが重要です。これは自分の中から持ち上がってくる力ですから、命令形では高められない。
これをうまく引き出すことが、これからチームの指導者には必要になってきます。また、そういう組織がどんどん出てこない限り、新しい社会は生まれないと僕は思いますね。
※本記事は『致知』2005年6月号の特集「活力を創る」から一部抜粋・編集したものです。
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