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いろいろな「雨」がある日本語、様々な「考える」がある英語の話

雨の季節が続く日本。長く付き合ってきたからこそたくさんある雨に関する日本語。そのニュアンスを英語で説明するのはかなり難しいと、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住のりばてぃさんは言います。一方、日本語では説明しにくいくらいさまざまなニュアンスの「考える」や「思う」を表す英単語があるそうで、英語圏の人間が考えることを大切にしてきた証左だと指摘。アメリカから新たなビジョンが生まれる秘密もそこにあるのではないかと「考えて」います。

(1)日本語には「雨」の言葉がいっぱい

昔から「言葉は文化」なんて言われている。つまり、ある国や地域では、その国や土地ならではの文化背景に基づいて言葉が生まれ、使用される傾向がある、という意味だ。 また、四季折々の自然の変化が豊かな日本には、自然を表現する言葉も多い。例えば、「雨」という言葉ひとつ取り上げても、日本語には様々な言葉がある。 以下、その一例。皆さんは、これらの言葉をご存知だろうか?

■降雨量や降り方に関するもの

■時期に関するもの

■その他、雨に関連するもの

「雨あがり」「雨足(あまあし)」「雨模様」「雨宿り」…等など多数。 変わったところでは、『源氏物語』帚木(ははきぎ)の巻で五月雨の夜に光源氏や頭中将らが集まって語った女性についての話から、「雨夜の品定め」といった言葉もある。意味は「女性論」。女性についての論評をすること。 男性ばかりの飲み会に彼氏が参加するというので、一緒に行きたいと言ったらダメだと言われた彼女の女の子に、「どう思います?」などと聞かれた際に「大丈夫よ、どうせ雨夜の品定めでしょ?」などと答えたりするらしい。聞いたことないけど(笑)

とにかく、この他にも日本語には「雨」に関連した言葉はいっぱいあって、その微妙なニュアンスの違いを英語にしようと思っても、マッチする英単語はなく、英語で説明するのはかなり難しくなる。

(2)英単語には「考える」がいっぱい

アメリカ人には日本人よりも「考える」ことを重視してる人が結構多い。 そうそう、英語には「考える」を意味する単語がいっぱいある。あまりにその数が多すぎてビックリだ。日本語に「雨」に関連する単語が多いように、日本人の感覚では理解できないほど英語には「考える」に関連する単語がいっぱいある。 それだけ、アメリカ人にとって、「考える」ことが身近という意味だろう。まさに、文化の違いを知る好例。ちょっとビックリするほど多いけれど、せっかくの機会なので、以下、「考える」を意味する英単語をざっとご紹介してみたい。

■「考える」や「思う」の基本単語

■「理解する」の意味合いが強め

■「判断する」の意味合いが強め

以上、ざっと一部ではあるが、「think」(考える、思う、みなす)の類義語を挙げてみた。 この他に「believe」(思う、信じる)や、「dream」(思う、夢見る)なども特に口語表現では、「think」と同じように用いられるが、そうなると類義語がさらに2倍、3倍になってしまうので割愛した。

いずれにしても、日本語に「雨」に関連する言葉が多いのと同じく、英語には「考える」に関連した言葉がやたらに多い。「考える」という動作の度合いや程度、その背景などの細かいニュアンスの違いを表現できるように言葉が発展してきたというワケだ。

通常、英語表現は、日本語と比べるとかなりざっくりしていて言葉の数も種類も少ない。さっきの「雨」が良い例だろう。「雨」に限らず、大半の名詞や形容詞や副詞は、日本語の方が圧倒的に桁違いに多く、表現に幅がある。 しかし、「考える」という動詞については、極めて異例の例外になってるのだ。これはすなわち、それだけ英語(=欧米文化)では、「考える」ことが身近で、重視されているということを意味する。

長年、英語を勉強してきた方々なら、そんなのとっくに気づいてるよ…と言うかもしれないが、たぶん、大多数の日本人は、この事実を知らないだろう。 また、とっくに気づいている方々でも、上述のように改めてリストアップしてみると、案外、想像していた以上にその数が多くて驚かれたという方もいるのではないか?

(3)アメリカ人が新しいビジョンを描ける理由

古くは、ギリシャやローマの哲学者の頃から、欧米文化圏では、「考える」ことは重視されてきた。「人間は考える葦である」という有名なフレーズもある。 これは、パスカルの定理やパスカルの三角形などで知られるフランスの哲学者、思想家、数学者、自然哲学者であるブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)が17世紀に随想録『パンセ』に書き残した一節だ。

現在、アメリカには、あらゆるジャンルの学問の世界を代表する研究機関や専門家が集まっている。また、故スティーブ・ジョブズさんやビル・ゲイツさん、現在、元ニューヨーク市長だったマイケル・ブルームバーグさんのような天才的な起業家も続々と登場してくる。 規模の大小は別にしても、アメリカ人は、これまでになかった新しいビジョンを描くことが得意な気がする。日本も含め、中国や韓国では、より良いものを国外から取り入れるのは得意だが、なかなか国内で新しいビジョンを具現化したものを生み出せない。

それに対して、欧米、特にアメリカでは、様々な場面でこれまでなかった新しい何かが登場し、その価値や魅力を多くの人々から支持されると一気に広まる傾向があるような気がする。 これまでなんとなく、このアメリカならではの特徴は、フロンティア精神などに象徴される文化的な背景に基づくものかと思ってきたけど、実は、ひょっとすると、「考える」ことを重視する英語という言葉の特徴による影響なのかもしれない。

これだけ「考える」ことに関する言葉が豊富で、「考える」という動作の度合いや程度、その背景などの細かいニュアンスの違いを表現できるように言葉が発展してきた結果、これまでになかった新しいビジョンがポーンと提示されたとき、有識者層はもちろんのこと、一般人の方々も、その意義や意味合いについて極めて深く正確に考えることができたりするのではないだろうか?

その結果、見たことも聞いたこともない、新しくて珍しいアイデアが出てきても、他の言語(例えば、「考える」関連の言葉が少ない日本語)を使っている他国の人々と比べると、思考停止状態になりにくいとか?もちろん、これはあくまで1つの仮説。

でもしかし、よーく考えてみると、日本国内でも、近年、何かしら新しいアイデアやビジョンをボンボン生み出して、実現していく人々ってのは、なぜかたいていみんな海外留学経験があったり、ある程度の英語力のある方々だったりする。例えば、ソフトバンクの孫正義さんとか、楽天の三木谷浩史さんとかね。

その一方、日本国内で生まれ育ち、海外留学経験や英語力がさほどない方々は、新しいアイデアやビジョンを描いたりすることよりも、既存のアイデアやビジョンをさらに優れたものに改善、改良することで知られていたりする傾向があるだろう。大半の日本の企業経営者やリーダーが、こちらに当てはまる。
つまり、英語をちゃんと勉強すると、英語が上達するだけでなく、新しいアイデアやビジョンを描けたり、理解する能力を持つ、ビジョナリーな人物になれるかもしれないってことかも?

image by: Shutterstock.com

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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