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教育のプロが助言「スクールカースト」をなくすためにできること

クラス内に存在するいくつかのグループに序列が生じてしまう「スクールカースト」。そういう序列を心地よく思わず、なくしたいと思っている子どもは何をし、親はどうサポートすればいいのでしょうか?メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんは、自分自身が中学で、また中学生の親としていじめと対峙した経験から、「自分の価値基準」と「本気の覚悟」があればできないことはないと、真摯にアドバイスしています。

スクールカーストをなくしたい

Q. いつも参考にさせていただいております。我が家の子どもたちは、娘はいわゆるスクールカーストの2軍層、息子は1軍なのだそうです。しかし、そうしたスクールカーストは無くなって欲しい、と本人たちは言います。無くすために子どもとして何かできるでしょうか?(小5男児、中1女子のお母様より)

柳川さんからの回答

スクールカースト」は2000年代の後半から言われ始め、定着した言葉です。教師にとってはバランスの取れたメンバー構成のクラスでも、子どもサイドの視点では、上位と下位という地位の格差が明確な格差社会とも言えます。 しかし、社会に出ても差別は至る所に存在します。無くすことができれば最善ですが、その解決法は未だ見つかっていないと言ってよいでしょう。気持ちに負担のない学校生活を送るために、子ども自身でできることについて考えましょう。

1.自分の価値基準を持つ

自分を1軍、2軍、3軍のどこにいるかで判断するという価値基準は、大人になれば何てくだらない、と一笑に付すことができるかも知れません。 けれども周囲からの評価を気にする思春期の子どもたちにとっては、学校生活そのものであり、3軍などに位置する子どもは大きな精神的負担になるでしょう。

そこでまずは、自分がどんな友だちを持ちたいのかを考えてみましょう。いじめをしない、お互いを尊重できる、感性が合う、何か尊敬できる、マネしたいと思うことがあるなど何かあるはずです。

周りの目を気にする思春期ですから、難しいとは思いますが、カーストを気にして、自分のキャラを押し殺してまで1軍に従うよりも、周りに流されず、何と言われようがどのグループにも属さない自分の価値基準を持ち、堂々とした姿勢を貫く人間になりましょう。

2.ヒエラルキーではなくジャンル

音楽にクラシック、ポップ、ジャズ、ロック、料理に和食、フレンチ、イタリアン、中華などジャンルがあるように、スクールカーストもジャンルとして捉えてみましょう。

実際に、総じてコミュ力の高い1軍と言われる人は、誰にでも「ものを言える」かも知れません。だからといって2軍、3軍が1軍よりも「下位」に感じたり、卑屈になったり、諦めたりする必要はありません。ただ単に「付き合う人のジャンル」が違うだけなのですから。

3.カーストから降りる

あなたが、本当にスクールカーストを無くしたいと思うのなら、まずはカーストを降りましょう。みんなが本当に降りれば、悩む生徒も減るはずです。 クラスの中で幅をきかせている人がいたら、彼らと関わらないようにすることです。それでいじめが始まり、何かをされたら、されたことを「チクりましょう」。 担任に言ってもダメなら、教務、教頭、校長に。それでもだめなら、教育委員会へ直談判。それでもだめなら、マスコミにでも何でもありとあらゆる手段を利用して公にしましょう。めんどくさい人間、と言われてもいいと覚悟を決めて自分の軸を貫きましょう。

「スクールカーストをなくしたい」と本気で思うのならば、覚悟を持って実行しましょう。クラスの中で浮くかもしれません。けれどもクラスメート以外の部活の仲間、塾の仲間、あるいは先輩や後輩、兄弟や家族と建設的な話をした方がよっぽど自分のためになります。 「言うは易く行うは難し」ですが、私自身が中1の時に壮絶ないじめに遭った経験、そして何の因果か、娘も中1の時に、これまた酷いいじめに遭った経験、加えて現在、実際にいじめに遭った生徒との関わりなどから、できないことはないと思っています。  もしも自分の子どもがスクールカーストで悩んだり、いじめに悩んでいるのであれば、親として心の安定剤、子どもの安全地帯としての役割を果たしてあげられるようサポートしましょう。

家庭教育アドバイス…「撲滅!スクールカースト」

世の中、差別だらけです。例えば、放射能漏れ事故による風評差別、ヘイトスイーチ、正社員と非正規社員の賃金や待遇差別、ママ友の序列を決めるママカースト、世帯の収入や住む場所による格付け(タワマンカースト)などキリがありません。

人は、大人になってからも尚、無意識に人と差別化を図り、自分の位置を上へ押し上げようと躍起になっています(もちろんそうでない人もいますが)。勝ち組、負け組という言葉が生まれたのも同じ心理からでしょう。 スクールカーストだけではなく、世の中から差別を無くすのはとても難しいことです。少しでも「生きにくさ」から抜け出すには、自分を変える、思考を変える、ことしかないのかもしれません。

image by: Shutterstock.com

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家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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