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“モグラたたき的”な規制も終焉へ?「電気通信事業法27条の3」見直しが示すモバイル政策の転換点

大手キャリアに対して囲い込みなどを防ぐための電気通信事業法第27条の3がついに見直しになるというニュースが飛び込んできました。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、モバイル市場再生のカギとなり得る今回の見直しという議題について熱く語っています。

電気通信事業法第27条の3がついに「見直し」へ―-規制を最小化し、柔軟で自由度の高い競争環境にすべき

2025年12月13日、総務省において「情報通信行政・郵政行政審議会 電気通信事業部会 市場検証委員会 利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第1回)」がオンラインで開催された。

専門委員会の進め方について、資料の冒頭から「電気通信事業法第27条の3の規制について、「目的に見合った必要最小限なもの」に見直していくべきではないか?」というタイトルになっているのが印象的だ。

専門委員会としては、これまで過剰すぎた割引規制を見直し、規制の最小化を図ることが可能かどうか検討する。

これまで何年も前から指摘してきたが、割引規制に関しては、中途半端なルールしか設定せず、その都度、某キャリアが抜け穴を見つけるというのを繰り返してきた。結果、モグラたたき的な規制が蓄積され、もはや総務省でもまともにコントロールできない袋小路に陥っていたのだった。

市場を見ても、メーカーは割引規制に合った端末価格を求められ、為替相場の変動もあって、市場からの撤退を余儀なくされたところもあった。結果、日本メーカーが外資メーカーになるという、日本の産業にも悪影響を及ぼす規制になってしまっていた。

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今回の専門委員会ではMNPによる短期解約を問題視しているようだが、資料にもあるように、そのあたりには規制など設けず、キャリア間の競争に任せれば良いのではないか。

端末の割引規制を中心にあらゆる規制が緩和されれば、MNPでの短期解約をされないような仕組みも導入できるだろう。

アメリカのGoogle Fiでは、新規契約のユーザーには、1999ドルのGalaxy Z Fold7に対して最大1000ドルの還元を行っている。

ただし、購入時に割り引かれるのは300ドルのみ。あとの700ドルは24ヶ月、クレジットを返金するという方式だ。これであれば、ユーザーは24ヶ月、契約をし続ける。

一方、既存のユーザーに対しては650ドルの割引が適用される。ただし、120日間、使い放題プランを契約し続けるという条件がつく。

規制などなく、キャリアが自由に端末販売を行えれば新規ユーザーには「24ヶ月かけて、還元し続ける」ことができ、既存ユーザーには「高額な使い放題プランを使い続ければ端末割引を受けられる」という、新規・既存、両ユーザーの満足度を上げる施策ができるのではないか。

総務省による、机上の空論でしかない規制で、キャリアをがんじがらめにするから、ゆがんだ競争を強いられ、市場が衰退していくのだ。

専門委員会のメンバーは過去に縛られて、目新しい議論が全くできそうにない。

すべての国民が等しく平等に通信サービスを受けられるべきという社会主義的発想から脱する必要がある。

毎度、例に出して申し訳ないが、通信業界は航空業界のように「快適に使えて、マイルが貯まってお得なフルキャリアの料金サービス」と「多少の我慢は必要だが、安価に使えるLCC」といったような棲み分けができるような柔軟で自由な競争環境を整備すべきだ。

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image by: Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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