【書評】「元」中国人が明かす、中国人が日本に憧れ続ける理由

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日本を敵対視し続け、あたかも存在を無視するかのように振る舞ってきた習近平政権。ところが「心ある中国人の多くはそれに反して、日本を理想郷だと思っている」とするのは、「元」中国人で評論家の石平氏。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、そんな石平氏が上梓した書籍をレビューしています。

偏屈BOOK案内:石平『なぜ中国は日本に憧れ続けているのか』

71gOz6TKgzLなぜ中国は日本に憧れ続けているのか
石平 著/SBクリエイティブ

日本人になった著者・石平が、「多くの心ある中国人にとって日本は依然として心安らかな安住の地であり人生を托すべき理想郷なのである」と断言し、中国史を遡って中国人の日本憧憬、日本嫉妬の歴史を考察する。現在では「精神的日本人」が中国で出現するほど、日本は憧憬の対象で、彼らにとって理想の国となっているようだ。

習近平が国家主席に就任したのは2013年3月で、それ以来彼は積極的な「主席外交」を展開している。2018年3月までの政権第一期の5年間、28回にわたって50数カ国を訪問して各主要国の首脳と会談、多くの国際会議にも出席した。アジア外交を重要視し、アジアのほぼ全域に足を伸ばし諸国との連携を強めた。

主要なアジア諸国の中で、習主席は唯一、日本だけ一度も足を運んでいない。2018年10月の安倍首相訪中まで、3回の日中首脳会議はすべて国際会議の場を使った。意図的に日本訪問を避け日本の存在を無視しているかのような振る舞いだった。その背後にあるのは、中国がアジア支配を完遂し「新中華秩序」を実現させるために邪魔になる日本は、「敵対国」という位置づけだからだ。

習政権下で三つの「国家記念日」が制定された。7月7日「抗日戦争勃発記念日」、9月3日「抗日戦争勝利記念日」、12月13日の「南京大虐殺犠牲者追悼日」で、いずれも日本との過去の戦争にまつわる記念日だという異常事態。制定以来5年間、中国政府は毎年3回、必ず大規模な国家的記念行事を催している。

政権の第一期目で日本敵視の姿勢を貫いた習近平政権は、2018年に入ってから徐々に「日中関係改善」へと方向転換した。その理由は、まさにいま展開中の米中冷戦にある。こういうとき中国は、必ず日本に接近してくる。日本と「よい関係」を創ってみせることで、アメリカを牽制する。もうひとつの理由は、批判の多い「一帯一路」に日本を参加させたい、金を出させたいからだ。

習政権の戦略はなにも変わっていない。今後、内憂外患に苦しめられていく習政権は、1990年代の江沢民政権と同様に、打開の突破口として一気に反日に舵を切ることは充分にあり得る。一方で、中国人は日本を羨んでいる。中国人は日本に憧れている。これは紛れもない事実である。桜の季節に「花見」というただひとつの目的のため、日本に押し寄せた中国人は2019年で約100万人だ。

「精神的日本人(精日)」とは、中国国内に現れた、日本の精神文化に憧れて日本に同化しようする人々だ。20代の若者にこうした「人種」がたくさんいる。精日にならなくても、中国人は日本の伝統や文化に対して憧憬の念を抱いている。新元号「令和」の発表は4月1日11時40分、間髪を入れずに新華社通信やポータルサイト「新浪」「網易」人民日報「環球時報ウェブ版」が速報を出した。

新元号「熱」は翌日からも一向に下がらない。なぜ日本の新元号に多くの中国人が高い関心を払い、熱中するのか。もともと中国の発明であった元号を中国ではなく日本だけが使っていることにある。文化的喪失感の強い中国にとって、羨ましくてたまらない存在なのだ。その屈折した思いがよくわかる。元中国人が冷静に分析するいまの日本と中国の関係。そうだったのか~。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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