果物をよく食べている人ではがんのリスクが減るという医学的エビデンスは多数あるのに、100%フルーツジュースにはがんのリスクがあるそうです。最近の医学研究が明かす衝撃の事実を伝えるのは、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生です。徳田医師は、砂糖入り飲料やフルーツジュースがなぜ身体に良くないのかを解説。人工甘味料入り飲料に関する最近の研究についても言及しています。
カラダに良い清涼飲料水はあるのか?
清涼飲料水とは容器に入った飲み物です。ただし、乳製品とアルコール飲料を除きます。ミネラルウォーター、炭酸飲料、果実飲料、スポーツ飲料、
消費が増えている理由は、手軽さ、美味しさ、製造元からのコマーシャリズムに加えて、地球温暖化による気温上昇の影響もあると思います。清涼飲料水のうち最も人気があるのが炭酸飲料、それに続くのがミネラルウォーターです。私は、主にサンピン茶や無糖無添加アイスコーヒーを愛飲しています。一方で、砂糖入り飲料や果実飲料は飲まないようにしています。
私が砂糖入り飲料や果実飲料を飲まない理由は、単純に「身体によくない」からです。無糖コーヒー飲料、豆乳、茶系飲料などは健康に良いのですが、砂糖入り、果糖入りの飲料は身体によくありません。ブラックコーヒーだとヘルシーなコーヒーでも、加糖になると不健康な飲み物になるのです。また、果物をそのまま食べると健康によいのですが、果実飲料として飲むと果糖が急速に吸収されます。果糖も砂糖の一種なので、果糖を液状で飲むと健康に良くないのです。
砂糖入り飲料と病気のリスク
砂糖入り飲料(果実飲料も含む)はカラダに悪いにもかかわらず、世界的なコマーシャリズムの影響で世界でも消費が増えています。結果として、世界の人々を不健康にしているのです。世界中では、20万人以上の人々が、砂糖入り飲料の飲み過ぎで死亡しているという試算もあります。
普段から砂糖入り飲料を飲んでいると、体重増加、肥満、糖尿病、虫歯、そして高血圧や心血管疾患のリスクが高まります。砂糖入りのコーラ、ソーダ、コーヒー、紅茶、スポーツドリンク、そしてフルーツジュースなどの習慣的な飲用は避けてほしいです。
それでは、ダイエットコーラなどの人工甘味料入りの清涼飲料水はどうでしょうか。最近の研究によると、人工砂糖の飲み物でもやはり健康に良くないことが判明してきています。体重増加、肥満、糖尿病、高血圧のリスクが高くなります。また、ある種の人工甘味料は腸内細菌叢を乱し、耐糖能が悪化して、糖尿病になりやすくなることがわかっています。
砂糖入り飲料とがんのリスク
砂糖入り飲料を飲むと肥満や糖尿病の原因になることはすぐに理解できます。数週間という短期間であっても、毎日ペットボトルで何本もコーラやソーダを大量に飲んでいると、急速に糖尿病を発症してしまいます。糖尿病の症状に多尿多飲というのがあります。このためさらにコーラを大量に飲んでしまうという悪循環をきたすので、ペットボトル症候群とも呼ばれています。
最近発表された研究によると、砂糖入り飲料はがんのリスクも高めることがわかりました。その機序の1つは肥満を起こすためです。肥満に関連するがんになりやすくなります。2つ目の機序は、砂糖入り飲料は強力にインスリン分泌を促すことです。インスリン分泌量が慢性的に多いと、ある種のがんにかかりやすくなります。これらには、乳がんや肝がんが含まれます。
砂糖入り飲料が人間の体をがん化させやすい理由には、微量ではありますが、発がん物質が含まれているからです。発がん物質としては、着色料としてのカラメル香料、人工甘味料としてのアスパルテーム、そしてフルーツジュースに含まれる農薬(殺虫剤)、が疑われています。
果物をよく食べている人ではがんのリスクが減ります。これはエビデンスが多数あります。したがって、100%フルーツジュースは健康によいようなイメージがあります。しかし、ジュースではがんのリスクがあるのです。人工的に手を加えると、ヘルシーなものも不健康になってしまう。これは要注意ですね。
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