MAG2 NEWS MENU

カギは質問。意見の違う相手と喧嘩にならずに話し合いをする方法

相手の話を相槌を打ちながら聞いていたら、「全面的に賛同した」と誤解されてしまった…。よく耳にするケースですが、このような状況を防止するためには、私たちはどのように他者と関わればいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、相手の意見を尊重し、かつ自分の主張も相手に伝える「アサーティブコミュニケーション」の具体的方法を紹介しています。

話を受け止めても同意見と誤解されないために

こんにちは! 廣田信子です。

先日のセミナーの中で、管理組合の円滑な合意形成に必要なことの一つとして、相手の話に耳を傾けアサーティブなコミュニケーションを心掛ける、という話をしました。それに対して、会場から質問を頂きました。

「相手の言いたいことを、まず受け止めようという気持で聞いたら自分の意見が通ったと勝手に誤解されてしまって痛い目にあった経験がある。自分は、賛同したつもりはないのに…。どうすれば誤解されないように、相手の話に耳を傾けることができるか悩んでいる…」と。

ありがちなことだと思います。会話の場面によっても、話の内容によっても、対応方法は違いますが、話の聞き方について、気がついたことを書いておきたいと思います。

相手の話に耳を傾け、きちんと聞く…ということは、何でも、うんうんと相槌を打って同意しているかのように聞くということではありません。真剣に話を聞くということは、相手の話を正しく理解しようと思う気持で臨むということであり、そのためには、いろいろ、こちらから質問することもある…というのは当然です。

何か分からないところがあっても、相手の気分を害さないように、あいまいなままにしておく…というのは、決していいコミュニケーションではありません。相手の主張を理解することと自分も同じ考えだと思わせることも違います(ここに、誤解が生じないように注意が必要なんです)。

だいたい、話す方も、そんなに話が上手ではないことが多いので、何を伝えたいのかをきちんと理解するのはたいへんなのです(実は、本人もよくわかっていないことも…)。ですから、「質問をすることで相手の本当に言いたいことを引き出していくという作業が必要になります。

まず、途中で話を遮ったり、相手の話に判断を下したりしないで、一通り相手の話に耳を傾けた上で、もっと、きちんと理解したいので分からなかったことを教えてください…という気持が伝わるように聞きます。

相手の主張の弱点を攻撃するような聞き方、相手の主張を否定するような聞き方にならないように注意します。あくまで、理解しようとして聞いていることが伝わるのが大事なのです。

私は、相談を受けると、相手がなぜその主張をするのか、その背景を知りたいと心から思うので、かなり、いろいろ質問をします。その背景を知らなければ、適確なアドバイスはできないからです。そうすると、最初の話ではわからなかった、その人のこだわりや感情に触れることができます

また、相談者本人が本当は何を主張したいのか…を考えるきっかけにするために質問をすることもあります。「怒り」や「くやしさ」という感情に支配されて、自分でも、どうしたいのか分かっていないこともあるからです。相手の感情に配慮しながら聞いていくと、質問について考え、答えているうちに、だんだん自分から冷静になれるということもあります。

そして、アサーティブなコミュニケーションでは、相手の感情に配慮するということと同様に、自分の考えを相手に伝わるタイミングと話し方できちんと伝える…ということが重要です。

質問で相手の言いたいことが分かったら、「今伺ったお話は、〇〇と私は理解しましたが、それで間違っていませんか?」と確認します(〇〇には、相手の主張、質問で引き出したことをまとめます)。メモをとりながら聞いて、メモを確認しながら話します。

さて、じゃあ、今度は、自分の考えをどのように話すかです。まず気をつけるのは、相手の話を評価したり、批判したり、論破するような話し方はしないことです。

「あなたの主張はここがおかしい」「〇〇だからあなたの主張は受け入れられない」というように話すのではなく、「私はこう考える」…という話し方にします。YOUメッセージ(あなたは○○)でなくIメッセージ(私は〇〇)で話すということです。

考え方が同じなら問題ありませんが、もし違ったらどうなるか…が心配ですよね。みんな考え方が違うのは当たり前なのです。それを前提に、お互いの違いを確認しながら、「違うのは分かったさあこれからどうしましょうか」…という話ができれば、そのコミュニケーションはうまくいったと言えるでしょう。考え方が違っても、自分の話をしっかり聞いてもらったことで、それで気が済むということもあります。

「私は、こう考える」ということに対して、「それは間違っている」というような攻撃を受けたら…(相手は、アサーティブを理解していないことも多いので)と心配されるかもしれませんが、私の経験では、相手の話をきちんと受け止めていると、そこで一定の信頼関係ができるので、考え方が違うことで大きく関係が拗れるようなことは…ありません。

そこでは、考え方が違うことを確認できたということがコミュニケーションの収穫だと思っていいでしょう。少なくても、自分の話を聞いてもらったことで、自分の考えに賛同してもらったと、思う込むようなことはないと思います。聞き上手ではあるけど、何となくあいまいに相手に合わせてしまうところがあって、自分の考え方を相手に伝えるのは苦手だという方に、参考になればと思います。

何ごとも訓練です。アサーティブを心掛けて話をするだけで、ずいぶんコミュニケーションが変わると思いますよ。

image by: Shutterstock.com

廣田信子この著者の記事一覧

マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 まんしょんオタクのマンションこぼれ話 』

【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け