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韓国に譲歩はNG。尊厳と国益を大きく損なうニッポンの甘い対応

11月4日、訪問先のタイで、通訳を交え「会話」した日韓両首脳。韓国サイドは「友好的な雰囲気の中での歓談」とする一方、日本側は「言葉を交わしただけ」との認識を示すなど、二国間の温度差が改めて浮き彫りになる形となりましたが、この先日本は隣国にどのような姿勢で向き合うべきなのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、日本の甘い態度が韓国に「日本が譲歩するという妄想」を抱かせているとして、強い態度に出るしか問題の解決はないと記しています。

米国株強し

バブル崩壊の危険があると有名なトレーダーが警告するが、米株価のナスダック、SP500は最高値を更新し、NYダウも高い。この原因と今後を検討しよう。

米国株価

NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが、その後下落して、製造業ISMが50割れ、かつ米欧貿易戦争も始まり大きく下落したが、ステルスQE4と3回目の利下げ、10月新規雇用12.8万人で事前予測7.5万人より強く、9月も18万人と8月も21.9万人に上方修正。

その上に、米中貿易協議も部分合意で署名できるレベルになったと米中当局同時発表。このようなことで11月1日に27,347ドルと最高値まで51ドルに迫っている

米国FRBがPOMOで、月600億ドルの短期国債を買い、資金を市場に大量供給したことで、株価は上昇し始めているが、その上にFRBは0.25%の利下げで適温相場になって、雇用統計や米中貿易交渉の合意もなり、SP500:3,066とNasdaq:8,386と史上最高値を更新した。そして、JPモルガンは、SP500が3,200まで上昇すると言っている。

しかし、株価は、現時点でも50%も高い水準にあるとバフット氏は、言っているようだ。それでも上がるのは、資金がジャブジャブで、かつ金利が低いことによる。

ドイツ銀行の倒産なども起こりえない状況であり、合意なきブレクジットも起こらないし、米中貿易戦争も一服して、経済の問題点がすべてなくなり投資家心理が改善したことも大きい。

そして、完全にリスクオン相場になってきた。有名なトレーダーは、バブル相場であり官製相場に注意が必要と述べているが、景気の底割れを回避したと、米経済評論家は述べている。というように総楽観相場になっている。

この総楽観相場は、強引な金融政策による株高・債券高であり、トランプ大統領が再選されたら、どこかで正常な金融政策に戻す必要がある。しかし、アマゾンとアップルなどGAFA株は、2019年9月をピークに株価は下げているので、現時点で株価上昇を支えているのは多くのバリュー株である。

トランプ大統領は、2020年6月あたりをピークにしたいのかもしれないが、このような早期の株価上昇をさせると、2020年6月まで持つのだろうかと不安になる。しかし、今の所、トランプ大統領の株価コントロールは大成功をしている。

日本株価

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、12月26日18,948円と暴落し、その後はレンジ相場になり、10月から売り残の買戻しとFRBのステルスQE4、それに伴う海外投資家の買い越しで上昇したが、10月29日23,000円を付けた達成感から横バイが続き、11月1日22,850円となっている。

FRBは利下げしたが、日銀は何もしなかった。しかし、為替は、1ドル107円と円高に一瞬なったが、直ぐに108円台に戻している。日本のGPIFなど機関投資家は、米国の債券と株に投資していることで、ドルを買うのでドル円はほとんど動きがないようだ。

自動車関連など製造業を中心に下方修正になっているが、半導体と電池関連の株価が上昇している。5Gで半導体関連企業の受注見込みが急増していることで、株価もしっかりしている。米中貿易戦争が一服すると、中国からの一層の受注も加わると、半導体・電池関連会社は期待しているという。

しかし、自動車の売上高は減少して、自動車部品会社は再編が必要となり、アイシン精機は子会社を併合したし、ホンダと日立の部品会社も合併した。というように自動車関連企業が厳しいことになっている。しかし、再編で一転株価は上がっている

11月5日は、米国の株高を反映して、23,000円台を回復する可能性もある。しかし、実体経済は減速しているのに、上げているバブル相場であることは、知っておくことが必要だし、この上げは、海外投資家の出遅れ日本株の買いで支えられている

米国の今の金融政策は、プラザ合意後のバブル形成になった日本の金融政策を思い出す。その米国金融政策が日本に波及しているので、このバブル形成は抑制する必要がある。

日経平均株価が、23,000円を越えたら、日銀は手持ちのETFを売り、相場を冷やす必要があると思う。20,000円以下であれば、大量にETF買いをして暴落を止め、23,000円以上になれば、日銀はバブル形成を抑制する必要がある。今の相場は、常識的な相場とはかけ離れた状態になっている。

日銀は、市場の暴落を止めると同時に、市場のバブル形成を止める役割もあるはずで、そうしないと日銀の株式での金融政策運営がおかしくなる。

ETFを買うなら売ることも、日銀は仕組み的には備えることが必要である。10年国債も金利をプラス圏に維持するために、日銀は10年国債を売る方が良い。短期金利をマイナスにしても、スティーブ化で、長期金利は2%程度にする必要がある。

米軍のシリア撤退回避

米軍は、シリア撤退といいながら、クルド人支配の油田地域に移動して、クルド人部隊と共同でパトロールを開始した。この油田地帯は、トルコとイラクの国境付近のシリアであり、ISは崩壊し指導者アブバクル・バグダディを殺害したので、敵はISからトルコとロシアイランになっている。

このため、戦車を配備することとした。何のことはない、シリア撤退回避になっているが、米軍の状況は周囲を敵に囲まれた状態になってきたことになる。

軍産複合体の共和党議員は、トランプ大統領の弾劾裁判を否決する代わりに、シリア撤退回避の取引(ディール)をして米軍をクルド人地域に残留することになったのである。

このため、ペロシ議長が行った米下院の大統領弾劾手続き決議で、賛成票232、反対票196と共和党は、全員が反対で民主党からは2名が離反し、反対票になった。取引は成功して、トランプ大統領も弾劾調査で無実であることが判明したとツイートしている。

上院は、共和党が多数派であり、多数の共和党の議員が離反しない限り、裁判が否決されることになる。このため、ペロシ議長は、世論に訴えるために、公開での討議を行うために下院で決議をしたのであるが、裁判自体は否決されることが確定した。

しかし、この米軍シリア撤退騒動で、米同盟国であるイスラエルのネタニエフ首相もトランプ大統領は信用できないと述べている。米軍の信頼感を大きく傷つけているが、それをトランプ大統領は狙ったとも見える。米軍の信用を落として、各国が自立することであると暗にトランプ大統領は述べているのだ。

米中通商交渉

中国は、民主党バイデン候補がウクライナ疑惑で失墜したことで、トランプ大統領が再選されると読み米中貿易交渉を真剣に行い始めた

ウォーレン候補が大統領になると、米国株価は25%以上も下落することになり、対中政策もトランプ大統領よりも厳しいことになる。

ウォーレン候補よりトランプ大統領の方が、交渉がしやすいと見ている。トランプ大統領も再選のためには中国が米農産物を大量に買い米国製品も買ってもらう必要がある。

中国は国家体制の変更になることはしないし、国内を説得できないため、貿易赤字解消の部分合意はできるが、国内制度改革などの完全合意はできない

その上、中国の経済は、米国との貿易が少なくなり、不景気になって、地方銀行の信用不安も出て、これ以上の貿易縮小を防ぐ必要がある。

米国も、選挙前に農家の支持と製造業の支持を得るために部分合意をしていくことが必要になっている。このため、米中は部分合意でまずは決着したようである。当初の見込みのような感じになってきた。

そして、チリのAPEC会議の合間に米中首脳会談で合意する予定が、チリの混乱で、APECが中止になり、トランプ大統領は農業州であるアイオワ州で調印式を行いたいと言っている。農家のための合意であることをアピールしたのであろう。

しかし、香港で天安門のような事件になったら、人権問題であるとペンス副大統領は、中国をけん制している。ハイテク問題と人権問題を米国は中国に突きつけてトランプ大統領はディールを有利に進めたいようである。

韓国問題

超党派の国会議員でつくる日韓議員連盟と韓国の韓日議員連盟は、1日、合同会議を東京都内で開催して、日韓関係の法的基盤が崩されようとしているなどとして適切な対応を求める考えを表明したが、韓国側の幹部は、「徴用工賠償」の司法判断は尊重しなければならないと述べて、日本が求める対応を拒否している。

これでは、問題の解決はできないことになる。また、経済基金を日韓企業で作り、そこが賠償を行うとしているが、これは韓国側の国際法違反を認めることになり、日本の尊厳と国益を大きく損なうことになる。

11月末に情報協定であるGSOMIA破棄になり、米国は強く韓国に破棄の中止を求めているが、この件は日本側で譲歩することではなく、韓国側が破棄を中止すればよく、日本の日韓議員連盟は譲歩することは必要ない。日本の議員として、日本の尊厳放棄と国益棄損になることを推進することは、非常におかしい。

日本の国益を守るべき議員が、このような国益棄損の行為をするなら、次回選挙で、自民党議員であったとしても、国民運動をして、落とすことも考えるべきである。

韓国が日本企業の韓国資産を売却するなら、韓国の日本にある資産を凍結するなどの強い処置を警告することが重要だと思うが、なぜ、日本は強い処置を警告しないのであろうか?

このため、韓国は、日本が譲歩するという妄想を抱き、日本に対応してくることになる。日本も強い態度を示すなど、対応を考えるべきであり、韓国の甘い考えを許さない態度が重要になっている。

日韓関係は最悪になってもしょうがないと、日本が意を決して、強い態度に出るしか問題の解決はないと見る。

日本の今後

ラクビーの桜ジャパンは、外国人半分・日本人半分の構成で世界と戦った。リーチ・マイケル主将は、外国人のチームメンバーに日本文化を浸透させていた。このようなことが、今後、日本企業でも先端企業では出てくることになる

今後、ソフト需要、AI需要が拡大するが、論理力のある人間は、人口の1%程度であり、多くても5%程度である。このため、海外からも論理力のある人間を日本に入れないと日本企業が世界で戦えない。そのため、先端日本企業でも半分日本人、半分外国人であるという企業が増える。

世界全体が、上流階級と大衆階級に分離するが、日本でも同様なことになる。その時、外国人が日本文化に溶け込み、日本企業の中で、活躍できると、外国人は日本で上流階級になる。このため、日本での上流階級は半分外国人半分日本人となるような気がする。

日本人は「相見互い」などの精神で世界に出ていき、論理力で外国人が日本企業の主力となるような気がする。

さあ、どうなりますか?

image by: 대한민국 청와대 - Home | Facebook

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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