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現役アナウンサーが教える。誰でも人前で話せるようになる方法

CBC中部日本放送の元アナウンサー・熊谷章洋さんが、人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』。今回、熊谷さんは、「話の構成が思いつかない」「話をまとめられない」「話しているうちにわけがわからなくなる」と言う人は、そもそも話したいことがない場合が多いと解説。話したいことを見つけやすくなる効果的な方法を教えてくれます。

話したいことを見つける方法

今回は、「話の構成が思いつかない」「結論をどうすればいいのかわからない」というお悩みについてです。これは本当に、話し方に悩む人にとっては、永遠のテーマのようで、私が受けるご相談の半分以上が、「話す前に考えをまとめられない」という種類のものです。

これはおそらく、話しながら、だんだんわけがわからなくなってしまったり、自分の頭の中がもやもやしたまま話している不快感や、聞き手の求めに応じた話ができない、不安や恐れなど、自分の話がダメな現実を、わかりやすく認識してしまうからなのだと思います。言葉を換えると、理想的な話し方と現実のギャップを思い知りやすいテーマだということですね。

そういったお悩みを持つ方のお話を伺う中で、ある共通点があることに気づきました。「話す前に考えをまとめられない」と思っている人ほど、話の目的、今その話をする意図がない、ということです。

つまり、「結論をどうすればいいのかわからない」というお悩みは、実はいい線を言い当てていて、これまでの人生で自分が話してきた中で、説明や質疑応答でうまく話せた時は、話す前から結論があった時。論点が絞れていた時。ダメだった時は、それが無かった時なんですね。

この点については、質問されるとうまく話せるのは、質問されることで、話の論点が自ずと絞られるから、という例で解説したこともありましたね。

簡単に言うと、話の構成や内容の要素などは、結論=話の意図、目的があれば、芋づる式に自然につながってくるものであり、それさえあれば、そもそも構成なんて、効果的に伝えるためのひとつの演出に過ぎないんですね。そのために、当メルマガではこれまで、論点の絞り方や、話を小さなファイルにするという考え方を提示してきました。

では、話す意図を持つこと、あらかじめ、話の結論を思いつくためにはどうすればいいのでしょうか?ひとことで言うと、最初に結論を持てる人は、そういう思考習慣があるからです。

反対に、話しながら何言っているのかわからなくなってしまう人、先に話の構成を考えたいんだけどうまく思いつかない人は、最初に結論を持つ思考習慣が無いんですね。

つまり、そもそも話す前に「話したいこと」がある。話すべき事項、具体的な内容そのものよりも、「話は、話したいことに左右されているのだ!」ということです。ですから、話したいことがいっぱいあるような思考習慣の人に、こういうお悩みの話を聞かせても、そりゃそうでしょ、ぐらいで終了なんです。

ところが、話しながら何を言っているのかわからなくなってしまう人、先に話の構成を考えたいんだけどうまく思いつかない人に尋ねると、そもそも話したいこと自体があまりない、と答えるんです。

つまりこれは上述の内容を、反対側からなぞることになるのですが、話したいことを真っ先に思いつく習慣があるからこそ、話の構成が「芋づる式」に簡単にできるのであって、話したいことが無ければ、あらかじめ構成するのが難しくなるのは、これは当たり前のことなんですよね。

どうやったら話せるようになるのか?

ではその、「話したいことを見つける方法」に移ります。これはもう、習慣化する以外に手はないと思います。その人が生きてきた時間分、話す時の思考習慣は積み重なっているものです。それを、何か薬のようなもので、明日からがらりと変えることができれば、苦労はありません。

ただ、なにごともそうですが、習慣化することは、知らず知らずのうちに、人を変える大きな力になってくれるのは、ご存知の通り。そして、自分自身に新しい習慣を導入するためには、そのスイッチを自分で入れられるようにしておくことが大切で、そのために私が指導しているのは、一番効果的な表現で、極力短く、言語化しておくことです。

そして、今回のテーマ、最初に結論を持つこと=話したいことを思いつくことを習慣化するためのスイッチワードは、「面白がりポイントを一行で考える」ことです。

時事ニュースにしても、仲間内の話、仕事の話にしても、話題にするに足る内容を持った話を、一度自分で消化して、自分の言葉で話せるようになるためには、自分なりの切り口が必要になります。それがここで言うところの、「面白がりポイント」です。

面白、と表現しましたが、ゲラゲラ笑えるようなものだけではありません。簡単な言葉で言えば、私、思うんだけど、それって、こうだよね!こう思わない?というポイントです。

新聞や雑誌、ネットニュースを見たら、こういうポイントを一行で言語化する習慣をつけるのです。メモや日記にしておくことをオススメします。文字で残しておくと後から見返したときに、そのテーマで話すことに思いを巡らせますよね。それが話す練習につながるのです。

例えば、16歳の環境活動家、グレタさんの話題が頻繁にニュースになりましたが、それを読んだときに感じた「私、思うんだけど…」これを一行で記しておくこと。「(私、思うんだけど、)なんか心から賛同できないこの違和感は何?」ぐらいの言葉を付け足しておくわけです。

すると、いざこのテーマで話をするときに、話し始めに考えることといえば、なんか心から賛同できない違和感は何?という結論を満たすためだけに「必要な話の要素を揃える」…例えば、グレタさんはどういう人で、こういう活動が評価されたわけだけど、一方で、こんな事実もある。だから、心から賛同できない違和感が残る…こういった要素を並べるだけで、話は成立しますよね。

これが、芋づる式に話ができてしまう、ということです。ここで大事なのは、「賛同できない違和感」までを面白がりポイントにすること。グレタさんの件、とか、グレタさんが気になる、ぐらいではダメ。それでは何が言いたいのかが定まっていないため、話の引き出しの中で、結局、風化していってしまうものです。

コツさえ掴めば誰でも話せるようになる

このような、面白がりポイントの有る無しは、「話す意欲」と直結しています。それは当然ですよね。自分の「話題の引き出し」の中に入っている、言わば持ちネタが、面白く仕上がっているのであれば、人に話したくなるものでしょう。

上手に話したい、と願う人の多くは、実際には、話す機会自体が少ない人、だったりします。話す機会の少ない人の多くは、なんらかの理由で、話すことに消極的になっていて、話すことが楽しいと思えていないんですね。

そして話すことが楽しくない人は、多くの場合、自分の話なんて人が聞いてもつまらないだろう、と思っています。だからこそ、話したくて仕方が無くなっちゃうような話を考える習慣が、必要なのです。

このように、始めから想定していた結論に向かって、芋づる式に話を進めていくと、その結論が出たら終了、ということになるわけですが、事前に思っていた感想なんかより、もっと気の利いた論点、切り口を思いついたりしますよね。後からいくらでも付け足して良いんですよ!!そもそもそこまで考えてから、話し始めようとしていたら、キリがありません。

また、話とは、話しているうちに磨かれていくものですから、後から付け足した表現の方が、むしろ最初に考えた意図を上回って有意義である、可能性が高いものです。

例えば、上記の例で言えば、あとから、「環境問題ってそんな一筋縄ではないでしょ?」というテーマを思いつくかもしれないですよね。それぐらいでいいんです。

話し始められない人は、始めから完璧を求めすぎている傾向があります。話は育てていく、ぐらいの気持ちで臨んだ方が、良い結果が出やすいものです。

image by: Shutterstock.com

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アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

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【著者】 熊谷章洋 【月額】 ¥346/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

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