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放送権で「コロナ」バブル?欧州唯一のサッカー開催国ベラルーシ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、世界中のスポーツが中止や延期となる中で、公式戦を開催しているサッカーリーグが存在する。欧州で唯一試合を行っているベラルーシは、海外から放送権契約が殺到するなど「コロナバブル」に沸いているという。

コロナ感染が広がる中でも開催

ロイター通信によると、現在公式戦を開催しているサッカーリーグはベラルーシ(欧州)、タジキスタン(アジア)、ブルンジ(アフリカ)、ニカラグア(北中米カリブ海)の4リーグ。世界的に見れば、いずれも普段なら見向きもされない超マイナーリーグだ。しかし、現在は違う。多くの国から注目を集めているという。

特に顕著なのがベラルーシ。欧州主要リーグが既に試合開催を断念していた3月19日に開幕し、国内感染者が700人、死者数13人(7日現在)が出た今も続行している。異例の強行開催に踏み切ったといえるベラルーシだが、同国協会の広報は「安全策は講じている」と強調する。

感染者や死者が出る中でのリーグ運営に批判が集まる中、なぜベラルーシは試合を続行させているのか?そこには、「コロナバブル」ともいえる、多額なコンテンツ収入が関係している。

FIFAランキング87位(2020年2月発表)とレベルも知名度も低いベラルーシのプレミアリーグ。それでも欧州で唯一行われているトップリーグとなったことで、スポーツイベントが軒並み中止となる状況での貴重なコンテンツとして海外から引き合いが急増しているという。

英紙デーリーメール(電子版)によると11カ国の放送局と放送権契約を締結。ロシアのマッチTVとは21万ドル(約2300万円)で、同リーグとしては高額契約となる。。同紙は「リーグ上層部にとっては人命よりも放送権が上」と報道。マイナーリーグに世界中から批判も注目も集まっているとスポーツニッポンは伝えている。

人々の健康よりコロナバブルか? 

ベラルーシ政府は2日、国際的な文化、スポーツ、科学などのイベントを6日まで中断するという内容を含む感染防止対策を発表したが、サッカーだけは影響を受けていない。

ベラルーシサッカー連盟(ABFF)のセルゲイ・ジャルデツキー事務局長が、アメリカ『ESPN』が行ったインタビューによると、「毎日のように状況を確認している」とした上で、「我々は医療システムを完全に信頼しており、現在のところリーグを中止する理由はない」と主張。「いくつかの国の状況が非常に深刻であることは理解しているが、当局と相談した結果、我々のリーグは当面継続できるという理解を得ている」と説明しているという。

ベラルーシ・プレミアリーグの観客動員数は平均1000人ほど。ファン同士が一定の距離を取って座るなどの対策を講じている。ジャルデツキー氏は「ベラルーシは大会を中断させるほど危機的な状況ではない」と改めて訴えるとともに、サッカーは「現在の疫学的ニュースがあふれる中でリラックスする手段になり得る」と語っている。

他にも開催している海外サッカーリーグ

新型コロナウイルスの感染者がまだ出ていないタジキスタンでは、20年シーズンが4日に開幕。予防措置で無観客となった以外は普段通りの開催になったという。昨季国内3冠に輝いたイスティクロルのレフチェンコ監督は「世界がパンデミックなのに、この国にはウイルスがなくて、今季が始められるのはありがたいね」と喜びを語っている。

また、昨年8月開幕のニカラグアとブルンジは国内感染者が1桁と少ないため、無観客開催としながらシーズンを続行。それでも選手からは不安の声も上がっており、ニカラグア1部ラスサバナスのGKモスケラは「他の選手との接触を避けている。相手が感染しているかも、と思うと試合に集中できない」とコメント。リーグとしても「競り合いが少なくなり、サッカーが変わった」と影響は大きいという。

ネット上では驚きの声

新型コロナウイルスによって国内リーグを中断する理由は「現在ない」という、ベラルーシのサッカーリーグ。国内感染者が700人を超え、死者も出ている中での開催ということもあり、「コロナバブル」による放映権収入を優先したと、受け止められても致し方ないだろう。

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source: スポーツニッポンゲキサカ

image by: Vlad1988 / shutterstock

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