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米が「中国と国交断絶」なら日本に迫られる習近平の国賓来日中止

新型コロナウイルスの起源や初期対応を巡り中国批判を繰り返していたトランプ大統領ですが、ついに国交断絶の可能性を示唆するにまで至りました。「有言実行型リーダー」であるトランプ氏ですが、今回はどのような動きを見せるのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今後の展開を探るとともに、日本が取るべき対応を考察しています。

トランプアメリカは中国と【国交断絶】へ?

なかなか衝撃的な情報が入ってきました。トランプさんが、中国との【断交】を示唆したのです。

トランプ氏、中国との断交示唆 習氏と対話望まず

2020/05/15 03:50

 

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は14日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への中国の対応を批判する姿勢を一段と強め、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席との対話はもはや望んでいないとし、中国との国交断絶の可能性にも言及した。

どういうことでしょうか?もう少し詳細を。

米中は、新型ウイルスの起源をめぐり非難の応酬を繰り広げており、両国間の緊張が高まっている。中国・武漢(Wuhan)で昨年12月に発生した新型ウイルス感染症について、トランプ氏は「中国から来た疫病」と称している。
(同上)

トランプさんのいっていることは、「その通り」です。しかし、中国は、「中国ウイルス」とか「武漢ウイルス」とよばれるのが不満。それで中国は、「武漢にウイルスを持ち込んだのは【米軍】だ!」とトンデモフェイク情報を拡散しています。

米国がどのような報復措置を取る可能性があるのかと問われると、トランプ氏は具体的な方法には言及しなかったものの、語調を強め「できることは多い。いろいろなことができる。すべての関係を断ち切ることもできる」と表明。「そうしたらどうなるか?」と問い掛け、「すべての関係を断ち切ると、5,000億ドル(約54兆円)を節約することになる」と述べた。
(同上)

こうして、トランプは、中国と「国交断絶」する可能性を示唆したのです。皆さん、「そんなバカな~~~~!」と思われますか?

トランプさんの際立った特徴は、「有言実行」であることです。彼は、TPPから離脱した。パリ協定からも離脱した。イラン核合意から離脱した。エルサレムをイスラエルの首都と認定した。これらの動きを見ると、トランプさんは、「口だけの男ではない」ことがわかる。

他の政治家が「中国と断交する」といっても「まさか~」ですまされる話。しかし、トランプさんがいえば、「ひょっとして」と考えておく必要がある。

どんなプロセスになるのでしょうか?トランプさんは、「中国政府が初期の段階で中国ウイルスの情報を隠蔽したせいで、アメリカで感染がひろまり、多くのアメリカ国民が亡くなった。それに、中国の隠蔽のせいで、アメリカ経済はボロボロになった。だから、中国政府は、アメリカ政府に賠償金を払わなければならない!」と宣言するかもしれない。

すると、もちろん中国政府は、拒否します。ところが、アメリカ側には、「無理やり払わせる方法」がある。たとえば、中国が保有している、米国債(約1兆ドル)をチャラにする(賠償金として)。あるいは、アメリカ国内の中国資産を差し押さえる。

これ、メチャクチャ「あり得ない!」と思います?しかし、アメリカは、戦前、戦中、アメリカ国内の日本資産を凍結しています(1941年7月から)。最近の例もあります。2014年3月、ロシアがクリミアをウクライナから奪いました。アメリカは、欧州、日本を巻き込み、ロシアに制裁を科した。アメリカの対ロ制裁は、どんどん強化され、アメリカ国内のロシア資産は一部凍結されています。

というわけで、アメリカは、そういうことをやる国なのです。

今は、米中覇権戦争の時代

今回の件名に【衝撃】の文字を入れました。しかし、実をいうと、昔からの読者さんは、それほど驚かなかったでしょう。昔からの読者さんは、以下のような流れになっていることを知っています。

読者の皆さんは、「2015年から米中覇権戦争の前哨戦がはじまっていた」ことを知っています。だから、「米中断交か?」という情報を聞いても、「やはりきたか!」という感じなのです。

今年の年初、「2020年は、1941年とパラレルになる」という話をしました。アメリカは、中国に対し、かつて日本にしたごとく締め上げていくようです。

日本は、中国を挑発する必要はもちろんありません。しかし、軍事同盟国で、必ず戦勝国になるアメリカの側にいることがとても大切です。安倍総理、習近平の国賓来日は、延期ではなく、きっぱり中止にしてください。それが、米中覇権戦争下の、日本の国益です。

image by: Lewis Tse Pui Lung / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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