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翻訳者が解説、『Back to the Future』のタイトルに秘められた謎

シリーズ第1作の公開から35年を経た現在も、多くの人を惹きつけて止まない映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ。しかしながら「未来へ戻る」というそのタイトル、大いなる矛盾を抱えていますよね。そんな人気映画のタイトルを、「オキシモロン」という修辞法の観点から考察しているのは、無料メルマガ『日刊タイトル英語』の著者で現役翻訳者の福光潤さん。さらに福光さんは、「a future」ではなく「the future」でなければならない理由も解説しています。

バック・トゥ・ザ・フューチャー 未来がふりだし!?~“オキシモロン”

【邦題】

バック・トゥ・ザ・フューチャー

【英題】

Back to the Future

【発音】

発音+例文を、音声でどうぞ!
Back to the Future

【意味】

特定の未来へ戻って

自分の元いた未来の世界へ戻ろうとする(SF物語)

【作品】

★ 予告編動画を見る?
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の予告編動画(YouTube)
※17秒目等で英題が発音されます。

【コラム】フューチャーにバックするってことは、未来がふりだし!?

いきなりですが「back」の説明のために、ビートルズ楽曲『ゲット・バック(Get Back)』の歌詞を引用します。

Get back to where you once belonged

 

戻っておいでよ 君の元いた場所(故郷)へ

この1行の中に、フレーズ「back to ◆」の基本事項が含まれています。

「back to ◆」の◆は:

といったイメージです。なのに、タイトル英語『Back to the Future』は、

◆=「the future」=「時間的に後」の時点

となるので、通常のパターンとは逆の発想です。映画の内容を知らずに当該タイトル『バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)』をはじめて見聞きする人は、一瞬「へ?」と意外な印象を抱くことでしょう。

「back」と「the future」が、矛盾…。オキシモロン!

本日のツッコミ:過去に戻るんちごて、未来に戻るん!?

このヒネリ&ツッコミが、「オキシモロン」効果!

英語で考えても、日本語で考えても、矛盾している表現。そして、むちゃくちゃツッコミ甲斐のある表現。実は、それを狙って、わざと互いに矛盾する言葉を組み合わせている表現。日常それと気づかずに使ってしまっている矛盾表現。などなど、このような表現を、

oxymoron(オキシモロン or オクシモロン)

と言います。「retro future(レトロフューチャー)」なんてのも似たようなオキシモロンですね。

など古い時代の作品中に描かれた未来像のことです。これらを21世紀の現時点で鑑賞していると、今は昔、レトロなフューチャー描写やなぁ…となります。

ちなみに、「the future」は、変わらない決まった未来。「a future」なら、選択肢がいくつかある中のひとつの未来。

ここでは、映画冒頭の現在点である1985年が、タイムスリップ先の1955年から見て「未来=the future」なんです。主人公のマーティは、もともと自分が存在していた「未来=the future=1985年」へ帰らなきゃいけないんです。

Marty had to go back to his own future.

 

マーティは、彼が元いた未来へ戻らなきゃいけなかった。

「go to a future」は、タイムマシンが正常ならば可能でしょう。しかし「go back to the future」は、さらに何も変えられていない元通りの世界に戻らなきゃ意味がないんですね!

はたして無事に戻れるのでしょうか?

未見の方はぜひご覧になって、映像面でもタイトル英語面でも「Back to the Future」な感覚を存分に体験してみてください!

…詳しくは専用ページ↓をお読みください♪

タイトル英語 バック・トゥ・ザ・フューチャー

【ひとこと】

『金曜ロードショー』で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の3部作が3週連続で放映されます!

第1作公開から35年なんですね。生きているだけでいつの間にか未来!そして映画は過去に戻れるタイムマシン!

福光潤

image by: meunierd / Shutterstock.com

日刊タイトル英語この著者の記事一覧

映画・音楽・本などの英語タイトルと日本語タイトルをくらべて、手軽に楽しく英語学習! 現役翻訳者・福光潤(英検1級&TOEIC955点)と加藤由佳のタイトル英語イスト師弟がトリビアをまじえて英語解説。発音も♪ 福光著書:『翻訳者はウソをつく!』(青春新書)/共著『今日から英語でTwitter つぶやき英語表現ハンドブック』(語研)

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【著者】 日刊タイトル英語 【発行周期】 毎週日曜夕方

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