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豊臣秀吉「中国大返し」に学ぶ、現代のビジネスで天下を取る方法

部下や後輩、チームのメンバーをやる気にさせるにはどうしたらよいのでしょうか? これは、人を束ねる側に立った時に誰でもぶつかるハードルといえるのではないでしょうか。難しいのですが、ビジネスマンにとっては必要なこと。まさに「それが仕事をしていく上で重要だ」と語るのは、無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者・浅井良一さん。浅井さんは、その例として豊臣秀吉が成し遂げた「戦国ドリーム」ともいえる奇跡のような合戦を挙げ、それを現代ビジネスに変換し解説しています。

“やる気”はどうしたら生まれるか 秀吉の中国大返し

人はどのように“働きかけられた”ときに動きだし、またどのようにすれば“活気づく”のか、これを良く知る者が名指揮者となりえます。ただし、戦略眼がなければ実りのない方向に導いてしまうので、偉大となるためには、リーダーシップと戦略眼が必要であると言えます。難しいのは、この二つをもって変化のなかで成果を得ることです。

※ 一言を入れますが、最大の戦略眼は、すべての人の戦略眼と知恵と貢献を活用することです。

大雑把な解説になるのですが、豊臣秀吉のことを考えてみます。歴史好きな人ならよくご存じだと思うのですが、秀吉の事跡で輝かしい「中国大返し」はその代表的な一つでしょう。備中高松から京までの230kmを2万以上の軍勢を引き連れ10日間でたどりついて、ただちに合戦におよんで勝利し天下取りの道を開きました。

ここでよくよく考えていただきたいのですが、なんで2万以上の将兵が、暴風雨や河川の氾濫を厭わずに大返しをなしたかということです。信長の仇を打とうとして、必死になったのでないことは確かです。この時の将兵を駆り立てた衝動は、例えるなら多額の当たりくじが高い確率で頻発する販売場所に殺到して、くじを買うことだったのでしょう。

時は大きな混乱期で、野望を持つ人間に多くのチャンスを提供する時代で、それは社会の底辺で埋もれているあぶれ者にも、能力さえあれば思いもよらぬ未来が約束されました。

戦国時代の信長は時代に先駆けてのイノベーションを頻発させて、それらを成功させて急拡大したベンチャーだとも言えそうです。そのなかでの秀吉軍は、気前が良く気配りもよい事業部長のもとに、多くのあぶれ人材が引きつけられてふくらんだ勢力だと言えます。このこと踏まえて話を進めて行きたいので、ポイントをご理解ください。

話を「中国大返し」のことに戻しますが、秀吉は、大返しで姫路城にたどりついた時、将兵に城内に備蓄してあった金銭・米穀をその身分に応じて悉く分与してしまいました。帰りつく場所のない、まさに「背水の陣」を敷いたと言えます。勝てば夢のような恩賞、一国一城の主も夢でない、まさに生涯に一度あるかないかの戦国ドリームが現出したのでした。

人をして奇跡とも思える行動に導くためには、この「中国大返し」でおこった状況を現出させることです。今日と言う時代は「情報化時代」であり、100年に一度の変革期であるとも言われており、確かな戦略眼をもって己のミッション(使命)を見切り、能力ある人材に場所と機会を提供し欲求を満たすことです。

多くの急成長しているベンチャー企業がおこなっているマネジメント手法は、人の活力を最大化する基盤をここにおいています。組織形態、管理(広義の)方法においては、従来の型とは異なります。企業のコンセプトや規範の基に、個々の社員が自由に企画して自身の物心両面の夢を適えられるような舞台設定が用意されるのです。

これが多くの成功を勝ち取っているベンチャー企業のビジネスモデルで、ここでは、起業家精神にあふれた人材や専門スキルを活用できることを喜びとするIT等の技術者が心置きなく力を発揮できるのです。

ところで、人が“動く”については、もう一つの働きかけがあります。安定化した組織においてとられるもので、一般的に“管理”と称され行われていて、ほとんどが“活性化”については機能しません。

また秀吉がらみで事例をあげたいと思うのですが、少しこじつけの感はぬぐえませんが「朝鮮に侵略した文禄・慶長の役」でのことです。どのような動機で行ったのか諸説あり定かでないのですが、諸大名は喜んで加わったのではないことは確かでしょう。それは“動かざるを得なかった”から、そのようにしたと言えます。

人が“動く”については先にあげたように「夢を適える」ためにというものと「失いたくない」がためにというものがあります。そこで吟味していただきたいのですが「夢を適える」ためなら“自ら”をして労力を惜しまず励むでしょう。「失いたくない」は、それは“規制がなくなれば”動きを止めます。

「文禄・慶長の役」は秀吉の死去によって中止されたのですが、このとき諸大名等から撤退に反対する意見がでなかったのはとうぜんで、仕方なく“動いた”ものの、強制(管理)がなくなれば停止させます。これって給料を得るため一応のパフォーマンスは行うけれで、目が届かないならば「適当に帳尻を合わせよう」に通じるでしょう。

中堅企業がITベンチャー事業に成功せず、新興の名もなき企業が一気に事業を立ち上げて、急成長するのはこれがためです。成功するベンチャー企業では、組織がフラットで価値観を共有して、そこでは自由なコミュニケーションが交わされ、福利厚生制度も整えられ、上司を気遣うことも少なく自由度が高く居心地も良いようです。

これはあくまでも成果を実現していて、業績の良い企業の話です。それも、居心地の良いというのは、自身の能力の限界に挑戦して成長すること求める者、何かを達成したい者にとっての話ですが。人にはそれぞれに得意や強みや好みがあるのですが「人が雇われるのは強みのゆえであり、能力ゆえである」はドラッカーの言葉です。

image by: Shutterstock.com

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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