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高知小2水難事故に「事件性」示す新事実。捜査を妨害する者の正体とは

昨年10月に公開した「あまりに多い嘘。探偵が調査で見抜いた高知小2水難事故の深い闇」で、岡林優空(ひなた)くんの不可解極まりない水死“事故”と、その真相解明を阻む学校・行政・警察の不誠実な対応を告発した、現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。今回、阿部さんは自身のメルマガ『伝説の探偵』で、これまでの調査で新たに判明した「肺のCT画像」や「頭部のかさぶた」の情報、さらには「県警本部長の娘」を名乗る人物などによる卑劣な調査妨害の数々を、再び白日の下に晒しています。なぜこれだけの材料が揃っていながら警察は「事件」の可能性を認めないのか? なぜ遺族が村八分にされなければならないのか? 阿部探偵が疑惑の真相に迫ります。

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高知県南国市小学2年生水難事故 続編

2019年8月22日、岡林優空君が行方不明となり、翌日23日に近くの下田川で遺体となって発見された。22日当日、児童4人と一緒に遊んでいたとされるが、この4人は助けを呼ばずに怖くなって逃げたと証言した。その後、児童らの証言は二転三転し、遺族の訴えで、いじめの疑いがあるとして第三者委員会を設置することが決まっていた。

詳しくは、昨年10月公開の「あまりに多い嘘。探偵が調査で見抜いた高知小2水難事故の深い闇」をお読みください。

亡くなった優空(ひなた)くん

優空くんは「かぞく」を「たからもの」だとしていた


第三者委員会発足のニュースが飛び込んできた

本件は、ほぼライフワークに近い状態で、密に連絡を取り、時に高知県へ行って調査を進めている。そんな中8月18日、私はAbemaのスタッフと高知県に行き、彼らの取材に同行していた。

現地を車で周りつつ、優空君の父、宏樹さんとご自宅であっているとき、「第三者委員会が発足された」というニュースを知ったのだ。

これは、ご遺族に協力している方からの情報提供であった。

“どういうことだ?”

それが第一声である。

確かにこれまでの間、第三者委員会についてはメンバーの選定や事務局のあり方などの協議が続いていた。もちろん、私はその内容を知っていたが、紳士協定に基づき、一切の情報を外に出してはいなかった。

この段階では、「事務局は南国市教委が行う」と主張する南国市教育委員会に、少なからずとも別部署もしくは外部でなければ、過去に南国市教委が行った「議事録なき第三者委員会」と同様になる、と交渉していたし、弁護士メンバーに南国市のスクールロイヤーがいることなど問題が山積みで、何も決定ができない状況 だったはずなのだ。

しかし、遺族に何も知らせぬまま、なぜか高知新聞だけが他社報道に先んじて、伝聞的な記事をリークしたのだ。

当事者よりも先にメディが報じてしまう、これは発信側が「信頼関係などどうでもいい」と考えているケースが多い。通例、このようなことが続けば、遺族が市教委に信頼を置くことはできなくなるであろう。

不確かな情報問題

南国市教育委員会は、ご遺族の申し出によって、第三者委員会の設置を決めた。これは、いじめ防止対策推進法第28条を根拠とするものである。

ところが、報道発表によれば、「南国市教育委員会は、これまでに不確か情報が流れているとし、第三者委員会の設置を決定した」とされている。

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果たして不確かな情報とは何なのか?

市教委とご遺族のやり取りを確認すると、少なからず、この不確かな情報とは、ご遺族が発信するSNSでの疑問点や週刊誌の記事、未だに地元に流れている噂話を指しているということがわかる。

しかし、特にご遺族の発信はその根拠を録音やメールなどで確認することができるもので、多くは警察官からの報告や地元記者からの報告がその根拠になっている。

また、何かを断定するものではない。ただ真実を知りたいのだという思いに基づいているものだ。週刊誌などの記事も取材源があり、その根拠をエビデンスに基づいて示すことができるものだ。

そして、いじめ第三者委員会の設置は、法を根拠にするものであることが当然であり、それ以外の委員会はこの場合、有りようがないものだ。

つまり、「不確かな情報がある」から第三者委員会を設置するというのは、その根拠にならず、このような考えを設置権限者が持っていたら、その段階で完全に歪められた委員会の設置を目標としている宣言になってしまうのだ。

そこで、ご遺族は、この報道発表の訂正と修正発表を南国市教育委員会に求めたのだ。

しかし、回答は無茶苦茶なものであった。簡単に言えば、

「そんなことは一言も発していない。だから、修正する必要もない」

「それはメディアが勝手にやったことだから、一切責任は取らない」

「弁護士を通じず、抗議してきたが、今後はどちらに連絡したらよろしいか?」

という内容であった。

メディアはこれについての文書があります。とご遺族に伝えてきた。その開示請求をしたが断られたそうだ。

つまり、「不確かな情報」発言は市教委発行の何らかの文書に記録されており、それを見たメディアの記者らはこれを書いたというわけだ。

いじめ法をあまり知らないのか、この場合適切な取材をすればこのような報道発表になることはなかったのだからメディアの責任も重いものであるが、市教委に踊らされた感も強くある。

しかし、メディアは市教委から怒られたようで、ご遺族に言葉が悪くてすみませんと謝罪に来たのだ。そして、これで終わりにしようとした。

これは、南国市教育委員会がご遺族に向けて回答した書面の一部である。

これには確かに、「不確かな情報があるから第三者委員会を設置する」と書いてあるのだ。

つまり、南国市教育委員会は、「これまで不確かな情報が流れている」ので第三者委員会の設置を決めたのであり、これを責められると、「そんなこと言ってないもん」と記憶喪失を装って、遺族を貶めたのである。

行政が法を守らず、大ウソつきでは何の正常性も整わないであろう。

一方で、これを明らかにして糾弾しない報道は、ただの御用聞きに成り下がる、さらに、先じて情報をもらい、関係者当事者の取材をしないまま報道という格式ばった媒体が、記事にしてしまえば、それは新聞ではなく広報誌に成り下がったことを意味するだろう。

過去、高知においては白バイ事故というものがあり、その報道において県内メディアは全く動かず、隣県報道機関が連日詳細な報道を繰り返したということが問題となった。

ある高知新聞記者はそのことなどを取り上げて、ご遺族に手紙でこの問題だけは権力には屈せず報道としての役割を果たしたいと書いていて寄越したのだが、どうやら、一記者の思いは反映されていないようである。

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医療センターから出てきた死亡時画像診断など

優空君の死亡時、肺のCT写真

これは、遺族にのみ開示された優空君の死亡時、医療センターにより撮影されたCTスキャンのデータの一部である。

これについて、私が見た時の感想は、肺に水がほとんど入っていないということだ。

ただ、溺水は、肺の水だけでは判断が難しいものだし、専門家に鑑定を依頼することにした。

医師や医療関係者による所見は下記のようなものであった。

「溺水とするには、縦隔条件のCTデータでは足りない」
「溺水ありきで作られている乱暴なものだ」

ということであった。また、医療関係者によれば、

「心臓と心臓を覆う心外膜の間に液体が大量に貯留することによって心臓の拍動が阻害された状態である心タンポナーゼが確認できるため、胸に強い衝撃を受けた可能性がある」

というものであった。

一方、この液体については、水に長く浸かることで、体中の穴から水が入って溜まることがあるので、何とも言い難いという意見もあった。

また、これについてはAbemaの番組サイドにも提供し、番組で精査した専門家にも鑑定を依頼したが、同様に、これのみで溺水とするには足りないという見解であった。また、肺の陰について、通常溺水判断のものとは大きく異なり、白い部分があまりに少ないという見解がある。

本人記録を確認したところ、学校の記録には、「気管支が弱い」という記録があった。つまり、このCT画像では、気管支が弱く肺胞ができたのか、水が入ってできたのか不明瞭と言わざるを得ないということだろう。

また、番組では専門家が、警察の初動捜査のミス、立件できない条件があるものは司法解剖に回さないという慣例が、問題を深めてしまっていると批判があったのだ。

不可思議であるのは、証言が二転三転する中で「貝拾いをしていてぬかるみにはまった」とされている医療センターのコメントである。

センターの医師は、こうしたことを確認できるわけではないから担当警察官からそのように説明を受けたということになろう。

しかし、これまで、貝拾いとしていた証言は出ていない。この段階で得られていた聞き取り聴取の情報は、「優空くんは一人で川に入り、ラッコ泳ぎをして川に沈んだ」というものであるのだ。

つまり、この段階から、「なぜ川に?」というのはその答えが統一されておらず、遺体には不審点もあり、医師からは司法解剖の検討をという言葉もあったという。

ところが、ご遺族によれば、対応した警察官は、司法解剖は無意味であり、仮に何か見つかったとしても、事件捜査にはならないから無意味に遺体を傷つけることになると説明を受けているという。

親の心情からしてどうだろうか?

汚い川の底からやっと見つかった我が子の遺体、そこにメスを入れてくださいと頼めるであろうか…。しかも、それは無意味だ、司法解剖をしても何もわからないと断言されてしまったら。

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かさぶた問題

当初、私は何度もご遺族から優空君の額から頭にかけて「かさぶた」があったという話を聞いた。記録用に取っていた録音データを改めて聞いても、そのように言っていたのだ。

しかし、当時の私は、かさぶたができるまでは相当な時間がかかろう、一方で方言として痣などを「かさぶた」というのもかもしれない、確証とは自信が持てないと思って、書かなかった。

しかし、遺体を見た他のご遺族からも同様の証言書をもらい、改めて質問を繰り返し、確かに優空君の額から頭にかけて「かさぶた」があり、これを、検視では魚が食べたのだろうと口頭説明したことを確認したのである。

しかし、この点を医師らに確認したところ、 かさぶた傷と魚がつまんだ跡は全く形状が異なり、かさぶたは少なくとも生前受けた傷ということになるのだという。

つまり、優空君は生前、額から頭にかけて、「大人の掌」程度の大きさの傷を受けていたことを意味することになろう。

これについては、そもそもないと言われていた遺体の写真を警察が撮っていたという文書が見つかったことから、ご遺族による開示請求がこれから行われることになろう。

警察は何らかの理由をつけて開示に応じないことも予測できるが、正当な判断を促すためにも、この開示には応じてもらいところだ。

関係者はあと3か月もすれば忘れるから騒ぐなと言ったという

地元民の中には中立の人、支援する人、批判する人がいる。しかし、支援する人の多くは表立ってその真意を表明することは難しいのだ。

これは優空くんの父である岡林宏樹さんのTwitterをフォローした学生が、いわゆる教職員と言える人物から送られたものだ。

これを送られた時期、この学生は受験期であり、進学についても不利になるのではないかと不安で泣いてしまったという。

一方で、ご遺族のTwitterには、高知県警本部長の娘を名乗る人物から、このような内容のメールも届いている。

つまり、妨害勢力は極めて激しく動き、アグレッシブかつ大胆に、妨害活動を繰り広げているのだ。

そして、彼らは「警察は何回どのような内容でご遺族と話をしている」ということを具体的に示したり、「学校の授業でこのような授業を受けていた」ということも示してくる。

こういう事故がありましたとだけ示されたWikipediaの記事も「暴走支援者は憶測で発言すべきではない」というわけのわからぬ理由で削除されている(Wikipediaの記事は簡単に消せる)。

さらに、この削除されたことを拡散して、まるで消されることに正当性があるようにしている輩もいるのだ。

もともと、当事者であっても知り得ないことを、妨害側が示してくることもあり、それは教育行政や警察から情報が漏洩していることも意味するのだ。

そして、市教委の姿勢、警察の捜査ミスは専門家の所見から読み取ることができる。また、市議会についても、ご遺族が要望した「下田川についての管理や警告看板」も全く動きがない。

しかし、警告看板については隣の市の市議が中心となって動いてわずか1か月ほどで、設置する方針が固まったという。

該当する市も市議会も本件には消極的だと言わざるを得ないであろう。

また、本件について、高知県議が私やご遺族を指して、「陰謀論者」と糾弾したという件も起きている。これについては、内々に謝罪があったと聞いているが、地元と日本では全く違う情報が流れているということが背景にあろう。

遺体発見現場の堤防で釣りをする人

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いじめを示すもの

優空君のいじめを示すものはたくさんある。それは証言が中心となるが、全て音源として確保されており、学校を通じて行われたものもある。

そして、妨害側が「そのようなものはない」と断言した心理テストの診断結果は、開示請求によって取り出されている。

QUテスト

これはQUテストというものであり、多くの学校で採用されている児童生徒の心理傾向を学校運営に活かすために行われているものである。

優空君は、いじめ被害者が多く属する「非承認群」に当たり、他のアンケートには「叩かれたりすることがある」に〇がついているのである。

これは重大ないじめを示す根拠となり得るし、本来であれば、学校はこの情報に基づいて、丁寧な聞き取りを行ったり、保護者との連携を図る必要があるのだ。

しかし、こうしたことが行われていた痕跡はほぼないと言って等しい。

きっとこれまで、ある程度いじめがあっても、放置しておけば、自然と解消したか、もしくは、被害側が声を上げることをあきらめて、いじめを我慢したか、引っ越しをして学区を変えたのであろう。

すでに私のところには、いじめを受けて引っ越したという方から証言がきている。

つまり、本件で彼らは通常運営、通常運転をしていて、それがここまでの問題となるとは思ってもみなかったのだろう。

そして、これまで許されてきた杜撰な対応が、なぜ今回許されないのか、疑問なのだろう。

ご遺族は間違いなく村八分の状態に置かれている

大分県では村八分について人権救済が必要だとして弁護士会が動いたという事例がある。果たして、高知県ではどうなのだろうか。私は多くの血潮の熱い高知の友人がいる。彼らを見ていると、手を差し伸べてくれるように思うが、今のところそのような動きは個人的にはあっても組織的なものはない。

最後に、名古屋市のいじめ被害のご遺族の言葉を紹介したい

このご遺族は中学1年生の女子生徒がマンションから転落して亡くなったという問題のご遺族だ。

「うちの子のシャツは血まみれでした。どうか他人事と思わないでください。今の制度、法律ではどうにも進まないことはたくさんあります。いじめの予防すらほとんどの学校ではできていないのではないでしょうか。私もうちの子がまさか…と思いました。うちの子は大丈夫、この地域は大丈夫なんてことはありません。次は、あなたが同じことを思うかもしれません」

文部科学省の研究機関の発表によれば、いじめの加害・被害に関与しなかったと回答した子の割合は、わずか1割である。つまり9割は学生生活の中で、どちらかの経験をしているだ。知らぬは親ばかり。根拠のないうちは大丈夫シンドロームが、子どもたちの最後の警告とも言える声を歪めている。

編集後記

何か、物足りない、そう思う方もいると思いますが、私も守るべきものがあり、多くの人の人生を背負っている身です。本件の妨害側から、脅迫を受けていることは事実です。

年始、私はどの要因かわからずも、襲撃を受けました。幸い骨折したのみで済みました。自転車を壊されたり、カギを切られるということも起きています。探偵ですので、あらゆるところにカメラを設置しており、その姿は捉えていますが、全く知らぬ人物です。

本件の第二弾は、強い圧力と脅迫により、すぐの発行ができなかったということもありますが、各専門家から意見を受け、現状の状況報告を主体として発行することを決めました。

そして、皆さまにお願いがあります。

優空君のご遺族は、第2回目の署名活動をしております。

まずは本件を知ってもらい、署名にご賛同ください。

下記はご遺族の公式サイトです。こちらから署名ができます。

team_hinakun 高知県小学生水難事故

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image by: 伝説の探偵

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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