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若者爆釣りで準備完了。株式市場はいつ「逃げる間もない大暴落」を演じるか?

株式市場の「コロナバブル相場」を牽引しているのは、アメリカの個人投資家たちと言われています。新型コロナ関連の給付金や、素人でも気軽に投資ができるスマホアプリ「ロビンフッド」を活用し、まさにパニック買いの様相となっているようですが、高値掴みの恐れはないのでしょうか?メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』の著者でコンサルタントの今市太郎さんが、今後の見通しを解説していきます。

「史上最速」で上昇した相場のオチは悲惨なものに?

米国の株式市場、とりわけNASDAQの相場上昇の勢いは驚くほど猛烈で、すでに2000年のITバブル時の強烈な上昇を完全に上回る動きを示現しはじめています。 過去いくつかのバブル相場の進行と破綻を見てきた経験から言いますと、今回のいわゆる「コロナバブル相場」はそのスピードが極めて速い。これは個人の印象の問題ではなく、本当に相場上昇の速さが過去とは比較にならないものになっていると感じます。 これにはどうも明確な「理由」がありそうで、だからこそ逆にその「理由」によって、ここからのバブル崩壊も過去にないほどの「史上最速」レベルになるのではないかという嫌な予感がしてなりません。

NASDAQ 日足(SBI証券提供)

スマホ片手に株式相場になだれ込んだ若者投資家たち

国内の80年代のバブルにしても2000年のITバブルにしてもそうですが、こうしたバブル相場の初期の段階では、比較的限られた市場参加者によって、だんだんと相場が上昇をはじめます。 そこから驚くべき価格へと上昇する過程で個人投資家を巻き込む形になり、最後は株も債券も為替もまったく取引経験がなかった人たちまで市場に参加するようになり、ほとんどの参加者がさらに上昇するとの錯覚に陥いったところで崩壊し、激しく下落して終焉していくのがひとつのパターンになっていると思われます。 ただ、エリオット波動の5波動目は長期に上昇することもあれば短期に終わることもあり、そのターミネーションは毎回のバブルごとに異なるというのが定説になっています。 しかし今回、米国で起きているコロナバブル相場は3月大暴落の直後、4月から新型コロナ起因の給付金が支給されはじめ、手数料無料の株式売買アプリであるロビンフッドをはじめ同種のサービスを利用して売買する個人投資家がとにかく激増して、相場のマジョリティを形成してしまったことが大きな特徴になっているものと思われます。 彼らのほとんどはこれまでお金がなくて、株式投資などやりたくても関わる機会がなかった人たちのようです。そんな彼らに仕事がなくなり給付金が支給されました。取引単位が相当小さく手軽に参加でき、レバレッジもかけられるロビンフッド型の取引は、こうしたビギナー投資家に大きな利益機会を与えていることがよく理解できる状況です。 早い段階から利益を獲得できたこうした個人投資家たちは、初期は低位株全般を買うなど物色する銘柄も非常に多岐にわたっていたのがある種の特徴でしたが、足元では「どの銘柄に投資するのが儲かるのか」ということについてもかなり学習が進んでいるようで、8月後半から現在ではテスラ、アップル、アマゾン、マイクロソフト、インスタグラムなどに投資が集中しはじめています。 特に、株式分割で絶好の投資機会と認識されたテスラ株と、iPhoneの利用でも親和性の高いアップル株への投資は破格の状況。どの手数料無料アプリも、とにかく買いをさばききれないほどのボリュームが溜まりはじめているとのことで、まさにパニック買いといった状況が連日展開されていることが見えてきています。

「大衆の愚かな行動」そのもの

これはさながら新型コロナ発生時に、マスクとトイレットペーパーが小売店の店頭で奪い合いになったような状況で、企業のどこに価値があるのか、業績はどうなのか、いくらなら買ってもいいのかといった、株式投資の基本的な要件を誰もまったく気にせず、極めて感覚的に買い向かっているのが非常に大きな特徴となっている状況です。

過去のバブル崩壊と暴落を連想せずにはいられない

足元のNASDAQ100指数やテスラ株のチャートを見ていてすぐに思い出されるのが、2017年末から2018年初頭に繰り広げられたビットコインバブルです。 当時、テスラよりもさらに価格上昇が荒かったのがビットコインでした。市場参加者のほとんどはド素人で、上がるから買う、買うから上がるといった非常にラフな相場で、しかも参加者の6割以上が現物を売買するのではなく、仮想通貨FXでそれなりのレバレッジをかけていたわけです。過少資金で濡れ手に泡のような利益を獲得できたというのは、現在のNASDAQ市場やテスラ株売買に酷似していることがわかります。 ただし2017年末のビットコイン暴騰相場は結局4か月と続くことはなく、ものの見事にもとの価格に下落することとなり、売りが出るからほとんどの参加者が我先にと売り場に殺到し、ある種の流動性パニックを引き起こすこととなり、レバレッジをかけていた向きは即座に証拠金が枯渇してすべてを失い追証だけが残るという、悲惨極まりない状況に追い込まれています。 テスラは、手持ちの同社株を売却することで、日本円にして5300億円を調達すると発表し、それを境にテスラ株は延々と売られるようになっています。 いまのところ値が下がれば絶好の押し目とばかりに買い向かう向きも大量に市場に潜んでいますから、これだけで相場大暴落とはならないものと思われますが、NASDAQをはじめとする米株相場のセンチメントは、このビットコインバブルの短い時間帯の雰囲気に極めて似てきていることが気になります。 恐らく次にバブル崩壊や大暴落がくるとすれば、ジョージ・ソロスが株を大量に売ろうとしているという噂が市場を駆け巡り、コンピュータ売買がそれを増幅したとも言われている1987年のブラックマンデーのようなことになるのかもしれません。この時の暴落が、バブル崩壊とは言っても実態経済に何の影響も与えないものとなったことは有名ですが、少なくともこれに近い状況がそう遠くない時間帯に発生するのではないか?と気が気ではない状況です。 単なる取り越し苦労ならば笑い話でおしまいですが、本当にそうならないのかどうか、ここからは相当神経質に相場をチェックする必要を感じる次第です。ややもすれば米国大統領選を待たずに相場が下落することさえあり得るということを頭の中に入れておきたいと思います。

image by : shutterstock.com

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