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盗難や個人情報ダダ漏れも。マンションで「置き配」その危険性とは?

新型コロナウイルスの影響で宅配便の受け渡しにもさまざまな変化がありました。その中のひとつが、玄関先に荷物を置いておくことができる「置き配」が、許可を受けた場合に可能となったことです。しかし、マンション管理の視点から見ると問題は山積みのようで……。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、マンションでの置き配について国の見解も交えてお話しています。

置き配を正式に認めるのは難しいでしょう…

こんにちは! 廣田信子です。

アマゾン、楽天などのインターネット通販は、宅配業者が玄関前やメーターボックス内に荷物を置く「置き配」を推奨していて、マンションでは、それが問題になっています。配送料無料競争で、配達員は過酷な状況にあって、何とか時間ロスをなくそうと、どんどん配送が雑になっている話も聞きます。

まず、宅配ボックスがある場合、届け先が留守のときは、それを利用すればいいわけですが、コロナ禍で荷物が多くなり過ぎて、宅配ボックスの箱が不足することも起こっているようです。最近は小さな荷物が多いのですが、それでも1つの箱を占めてしまうので効率が悪いのです。もともと想定した宅配荷物の大きさや数と、現状との間に開きが出ています。

一方、コロナ禍で在宅勤務が増えたことで、昼間でも荷物が受け取りやすくなったという声もあります。コロナ禍で接触機会を減らすためにも置き配は有効…といわれていますが、在宅のときに届けて、荷物の受け渡しを直接しないように、「今ドアの前に置きましたのでよろしく」と配達員がいったら、すぐにドアを開けて、荷物を中に入れれば、非接触ですし「置き配」の問題にはなりません。玄関ポーチやメーターボックス、共用廊下等、共用部分に私物を置くことは、基本、規約や細則で禁止されています。

経済産業省と国土交通省が立ち上げた「置き配検討会」は、これに対して「管理組合による総会の普通決議による運用方法に関する合意を行うことが望ましい」とし、住民は「そのマンションのルールに留意して実施する必要がある」としています。

まあ、当たり前と言えば当たり前の見解です。じゃあ、そう言われて管理組合はどうするんですかね。なかなか置き配を正式に認めるということにはならないと思います。

今までも、生協の配達物等は、暗黙の了解で、しばらくの間、共用部分に置かれている実態もあります。

共用ローカや階段は、多くの人が利用する避難路であり、そこに荷物が置かれている状況は、消防法上も問題だと思うのですが、「置き配検討会」がまとめた『置き配の現状と実施にむけたポイント』の中では、「共用部分に、宅配物、生協配送など、避難の支障とならない少量または小規模の私物を暫定的に置く場合は、長期放置や大量・乱雑な放置等を除き、社会通念上、法的問題とならないと考える」とわざわざ書かれていて、ちょっとびっくり…。

そうなんですか? 小規模なら私物を置いていいんだ…消防点検で指摘されていたのは何だったんだ…と。業界からの要望で、管理組合に置き配を認めてほしい…がにじみ出ているような見解に思えます。

でも、どのくらいのものなら避難のじゃまにならないか、暫定的って、どのくらいの時間なのか、暫定的が、しょっちゅうで、結果、常に何かが置かれている状況でもいいのか、ルール化するのは難しいと思います。でも、同じ共用部分でもポーチやメーターボックス内なら、短時間なら置いてもいいんじゃないかな…と。他の住民の邪魔にならないし、玄関前に置かれると、その住戸の方が火災等で避難するときにはじゃまになりますが、置き配したとき、家の中には誰もいないわけですから…避難を妨げることもないのかな…と。

ただ、これもルール化するのは難しいと思います。

それに、置き配には、盗難や個人情報盗みの危険がつきまといます。

盗難防止のために、前にも紹介した、「オキッパ」のようなものを使う必要があると思います。

置き配が始まってから、エントランスのオートロックを、正式な方法以外で突破して住戸の玄関前までたどり着いて、荷物を置いていくというケースが増えています。多いのは、そのマンションで誰か在宅の人が一人でもいたら、オートロックを解除してもらい、マンション内に入り、留守住戸を回ってドア前に荷物を置いてくというものです。オートロックは、訪問先の方が、その住戸に行くために解除するものですから、こういった使い方はルール違反です。

さらに、今、心配され出しているのは、もし、このマンションは置き配OKで、毎日、かなりの置き配の荷物がある…と分かったら、配達員が帰った直後にマンション内に入って、置き配荷物を盗んでいく人が現れるのではないかということです。

さらに、最近は、個人情報が表にでないように、表札も出していないのに、置き配がされていたら、送り状から個人情報がダダ漏れです。

そういったところが狙われると、マンション内の治安悪化につながってしまうので要注意です。

一方、再配達ロスが問題になってから、配送業者の方も再配をなくす取り組みが進み、今、配達日時を細かく指定でき、変更したい場合は、スマホからでも簡単に変更できるようになっているので、再配達の手間もかけずに荷物を受け取りやすくなっていて、不便を感じなくなりました。(在宅が増えたということもあるかもしれませんが…)田舎だと、配達時に受け取れないと、1日遅れてしまうこともありますが、都市部では、配送業者は一日何回もマンションを訪れるので、融通が利きます。

この2年ぐらいで宅配システムはずいぶん改善されたと思います。

ということで、共用部分に物を置いてはいけないという原則はいじらず、目立たず避難のじゃまにならない形で、セキュリティにも注意している場合は、片目をつぶっているのもありかな…と思ったりします。そりゃあ、国や専門家は、認めるか認めないか、規約や細則ではっきりさせ、それに従うように…と言います。言うのは簡単です。

でも、目立たないように短時間荷物が置かれていただけでも、規約違反と責められるのも、置き配OKとして、共用部分を常に宅配業者が回って置き配をして、それに目を付けられた盗難の心配までするのも、どちらも、ちょっと違うな~と私は思ってしまいます。片目をつぶるなんて、そんなゆるいことではダメだ! と言われそうですが…。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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