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『ゴールデンカムイ』に嘘なし?ニリンソウは本当に肉を旨くする

北海道を舞台に繰り広げられる人気コミック『ゴールデンカムイ』。その作中に、「肉のうま味を何倍にもする山菜」として登場する「ニリンソウ」をご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、そんなニリンソウの育て方から美味しい食べ方までをレクチャー。「出汁のうまさを引き立てる効果は研究に値する」とまで絶賛しています。

ニリンソウの栽培と美味しい食べ方

漫画『ゴールデンカムイ』を読んでいる人であれば、恐らく誰もが気になっているであろう野菜「ニリンソウ」。

花が咲いていない状態では、トリカブトと極めて似ており…というか似た植物が多すぎて藪の中で見つけ出すのは容易ではないニリンソウ、誤食事例も多く、判別がつかない状態で食べるのは大変危険です。

また、最近はブームのせいか苗を買うことも難しくなくなってきていますが、手に入らないというわけでもないので、今回は栽培と食べ方についてまとめておきましょう。

ニリンソウの育て方

まずは育て方ですが、ニリンソウは水はけの良い土で、少し酸性の土壌を好みます。従って、普通の園芸土をそのまま使っても良いですし、そこに川砂を少し混ぜると育ちが良い感じです。

肥料も必要ありません。むしろ、化学肥料をまくと枯れることが多い感じなので、不要です。

プランターで栽培する場合、水受けを付けておいて、常に水が入っている程度に水切れがないようにしておくと無難でしょう。水切れを起こすと、一端しおれた葉は元に戻らず枯れてしまうことが多いので注意が必要です。

一方で、一端根付くと丈夫で、春先にきれいな花をつけ、秋頃まで葉っぱは生い茂ります。なので、ここから適当に間引いて食用としましょう。

冬には地上部は全部枯れるのでそのままはさみなどでトリミングしてカットしてしまい、その上から腐葉土をまぶしかけるようにしておくと良いです。

特に東京以北では上に腐葉土をかけておかないと冬に死んでしまうこともあるようですが、基本的には寒さに強い植物です。

日当たりも適当でよく、1日に3、4時間日の当たるところであればどこに植えても問題ないです。近い種のトリカブトよりは暑さ耐性もあるようです。

ニリンソウは生で食べてはいけない

というわけで、試行錯誤しながらも、以前株分けしてもらったニリンソウを実際に食べてみたわけですが、食べ方にもコツが要ります。

せっかくだしまずは味見を…というわけで、生でムシャムシャと食べてみたら、ま…ず…い。

細かい毛がびっしり生えているのでハブラシを食ってるようなかんじで青臭さの奥にさらに苦みがあり、そして微かな芳香があります。しかも一応キンポウゲ科の植物なので生の状態では毒性があり、食べてはいけません(笑)。

これはそのままかじっていい植物ではなかった。乾燥させることで脱炭して食べても問題ない植物になります。ゴールデンカムイでの作中でも干して使われていたのは、ただ保存性を良くするだけではなかったという話でして、先人の知恵とは大切なものですね。

乾燥させたニリンソウを美味しくいただく

乾燥させたニリンソウは茎は非常に固く、また葉も食感はよいわけでもないので、乾燥してパリパリになったものを茎を捨てて葉を粉々に肉料理、特に煮込み系肉料理にいれると風味がアップします。

普通の鰹だし+豚肉というシンプルな鍋を作ってみて入れてみたのですが…これが激変。

たしかに「肉のうま味を何倍にもする」というアシリパちゃんの言うとおり、まさか植物なのに出汁が出る…という感じのすごく豪華な味になります。

芳香は三つ葉に近いのですが、三つ葉のような主張がなく、ひたすら肉のうま味を増すという感じの味です。この成分は一体何なのか気になるところ。

単品で食べると苦みが少しあり好き嫌いはありそうな感じもしますが、出汁のうまさを引き立てる謎の効果は、これは研究に値する感じさえします。

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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