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一流ビジネスマンは「仕事のキャパオーバー」をどう防ぐか?休息より主導権、科学的なタスク処理3つのポイント

 いろいろな頼まれごとが重なって、自分のできる範囲を超えた量の仕事を抱えてしまったとき、頭がパニックになってあわててしまうこと、よくありますよね。そんな時はどうやってピンチを乗り切れば良いのでしょうか? 今回のメルマガ『金田博之の「出世したサラリーマンが絶対やらなかったこと」』では外資系IT企業の日本法人代表をつとめる金田博之さんが、自分のキャパを超えたタスクが振られてきたときの対処法を伝授してくれています。

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キャパを超えるタスクを抱えてパンクしそうなとき、どう乗り越えるか?

課題背景

仕事を覚えてきて、責任のあるポジションになればなるほど関わってくる案件の数も、責任の重さも大きくなっていきます。 特にリーダークラスの前段階に多いのですが、優秀な成績を収めているプレイヤーほど多くのオファーが舞い込んできます。 そしてそういった人は自身のキャパを大きく見積もりすぎたり、タスクを抱えすぎてしまうことが珍しくありません。 

あなたがタスクを抱え込んでしまい、キャパオーバーしそうなとき、どうやってそのピンチを切り抜けますか? 

休暇など、ストレスを軽減するためのリフレッシュ系はあんまり意味ありません。残念ながらストレスを減らしてもタスクは減らないからです。 

よくある答えが 優先順位の見直し です。これは非常に惜しい答えだと思っています。 このような状況を乗り切るためには、ただ順位付けをして上から順番にこなせばいいというわけではありません。 

デキるビジネスパーソンはこの「優先順位」の付け方に差がある、ということを今回は解説していこうと思います。

出世したサラリーマンはここが違う!

【出世できないサラリーマンの回答】すべてのタスクを処理しようとする 

【出世するサラリーマンは】本当に必要なタスクに絞り込む

なぜ仕事を抱え込んでしまうのか?

前職で仕事を一緒にしたエンジニアを例に話します。

彼は開発を担当しているエンジニアの中でもひとつ抜けた存在で、サービスの理解度も高いため営業部から商品説明のために呼ばれたり、運用保守のサポートチームからもその人にオファーがいくような状況でした。

もちろん開発担当者なのでそこまでする必要はないのですが、人柄もよく非常に頼りになる存在だったため周りもそれに甘えていたのだと思います。

人がいい彼はすべて引き受けてしまい、本来やるべき開発のボリュームが膨らんできた結果、パンクしてしまいました。

優秀な人ほど自身のタスク管理、リソース管理もしっかりしていてこのようなことは起こりえないと思ってしまいますが、実はこのような優秀な人の方がキャパオーバーしてしまうことが多いのです。

優秀な人ほどたくさんのオファーが来ることが大きな要因の一つですが、そもそも人は自分の能力を実際の実力よりも高く見積もってしまう傾向があるのです。

これは心理学用語で「ダニングクルーガー効果」と呼ばれるもので、人は誰でも自分の能力を過信してしまう、特に能力が低い人ほどその傾向は強いそうです。

これに関する研究で、プロジェクトの作業時間の見積もりをさせ、実際にかかった作業時間を図ったところ、実に8割ものメンバーが予定工数を2割以上オーバーしていたという調査結果もあります。

これもキャパオーバーの例と言えるでしょう。

自分の能力を正確に見積もれていないこともそうですが、実際に仕事をしていると、イレギュラーが発生して予定をずらさなければいけない場面も考えられるため、自分がさばける仕事量というのは自分が思っているよりも少ないということをまずは頭に入れておきましょう。

それを踏まえて、どう対処していけばいいのかをお話します。

優先順位を見直して、本当に必要なタスクに絞り込むことです。

やらないことを決める

優先順位をつける、という答えは正解ではあるのですが、それだけでは不十分です。

もちろん優先順位の高いものからやっていくというのは間違いではないのですが、どうやって順位を決めますか?

そもそもキャパオーバーしている時点で一部の仕事はさばくことができないのです。

残業など、リソースを無理やり確保してこなしていくことはできるかもしれませんが、それでは重要なタスクの質が落ちてしまう危険性があります。

そこで大事な考え方が、 やらないことを決める ということ。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズも「 何をしないかを決めることは、何をするかと決めることと同じく重要だ 」と言っていました。

人の時間は平等ですが、有限です。

仕事においても人生においても、その限られた時間をどう割り振るかが重要で、本当にやりたいことを守るためには、やらない決断も重要なのです。

キャパオーバーしている状況では、まず自分が抱えたタスクをすべて紙に書き出すなどして整理しましょう。

タスクの棚卸しが完了したら、その中で絶対にやるべきタスクと、最悪やらなくていいものを探していきます。

それを分けるポイントは 自分に主導権があるかどうか だと考えています。

主導権がある仕事とは、自分の裁量でコントロールできる仕事や、自分でなければできない仕事。

逆に主導権がない仕事は、他人の裁量で割り振られている仕事や、自分以外に適任者がいる仕事です。

先程のエンジニアの例でいくと、エンジニアは基本的に開発に関わることが主導権のある仕事で、営業や保守からのオファーは彼の本来のポジションではないため主導権のない仕事であり、極論やらなくていいのです。

営業なら営業、保守なら保守の人間だけでなんとかするのが本来のチームワークですので、余裕があれば手伝うくらいのスタンスでいくべきでしょう。

このようにして、自分に主導権のない仕事は最悪やらない仕事として切り分け、主導権のある仕事だけに絞って優先順位をつけていきます。

最優先でやらなければいけないことはなにか?

名著『7つの習慣』に緊急度と重要度の2つの軸で考えるという話が出てきます。

あなたのタスクの優先度も、この緊急度と重要度の2つで評価していくのがよいでしょう。

ここで気をつけてほしいのが、『7つの習慣』とは優先順位が異なるということ。

『7つの習慣』では長期、つまりマクロな視点で重要度が高く、緊急性が低いものが優先であると説いていますが、今回の話題は今どうするか、というミクロな状況であり、重要度よりも緊急度が優先されます。

具体的な順位は以下の通りです。

ケースバイケースなところもありますが、まずは緊急度が高く、重要度が低いものからさばいてくのがよいでしょう。

特に軽いもの、あまり時間のかからないものから優先して作業していき、重要度が高いものを処理するためのリソースを確保していきます。

そして緊急度、重要度が低いタスクに関しては、主導権がないタスク同様に最悪やらずに後回し、という認識でも大丈夫です。

では、主導権がない仕事はどうするか?

主導権がある仕事の優先度を見直しができたところで、あらかた必要なリソースが見えてきたことでしょう。

そして、主導権がない仕事に関しては着手する余裕があるでしょうか?なければもうそれはできない仕事です。

やらないと決めた仕事に関してはなるべく早く上司に相談してタスクの振り直しをしてもらうようにしましょう。

もし自分で断れるようなら自分で断ってしまってもいいです。

自分に主導権がない仕事は、必ず他の誰かがさばけます。

以上が、私が考えるベストな対処法です。

普段からこれを意識していれば、今自分がどれだけ重いタスクを持っているかが感覚的に把握できるため、タスクを抱えすぎてしまうということも減っていくでしょう。

重要度や緊急度が変わることもあるので、常にこの2つの軸で自分のタスクを見直す習慣をつけておくとなおよいです。

私がプレイヤー時代は、毎週月曜日に抱えているタスクの重要度・緊急度をチェックし、これを上司との面談で確認していました。

リアルタイムで認識合わせをすることで、タスクのオーバーロードを防ぐだけでなくプロジェクト進行もスムーズに進めることができます。

もちろん仕事はパンクしないことが理想ですが、もし抱えすぎてしまった場合はこの緊急度・重要度の2軸でタスクの見直しをしてみましょう。

今回の実践ポイント

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金田博之この著者の記事一覧

世界MBAランキング首位のINSEADエグゼクティブMBA卒業。1998年、外資系大手ソフトウェア企業のSAPに新卒入社。30歳からマネジメントを歴任、7年連続グローバル・トップタレント選出。 2014年、日本の大手製造・流通企業ミスミグループでGMとしてグローバルDX新規事業を推進後、最先端AI/チャットの外資系IT企業、ライブパーソン(LivePerson、NASDAQ上場)の代表取締役に就任。3年間で毎年300%超成長(アジア全体売上の76%)。 2020年12月、クラウド型ネットワークセキュリティのトップ企業ゼットスケーラー(Zscaler、NASDAQ上場)にて、日本を含むアジア全体を統括する代表取締役に就任。 セミナー、企業、大学等で講師経験10年以上、受講者のべ5,000名以上。日経BP、東洋経済ほかメディア掲載多数。

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