再び感染拡大の恐れも。政府の「まん延防止措置」に感じた危険性

 

【サーチ&リサーチ】
*まずは、自公与党が改正案で合意したという記事。

2021年1月19日付
「特措法改正案では緊急事態宣言を避けるため、前段階で対策を進めるまん延防止等重点措置を新たに規定し、都道府県知事は飲食店などの事業者に営業時間の短縮や休業を要請、命令できるとした。知事の命令を拒否した場合、前科にならない行政罰の過料を、まん延防止等重点措置段階では「30万円以下」、緊急事態宣言下では「50万円以下」と定めた。事業者への命令前の立ち入り検査も新設し、検査拒否には「20万円以下」の過料とした」

*この段階では、明らかに「前段階で対策を進める」ものとしての「まん延防止等重点措置」と規定している。因みに、感染症法の改正案では「入院拒否者に1年以下の懲役か100万円以下の罰金を明記」、閣議決定された。これらの内容は、自民党と立憲民主党の修正協議で変わっていく。
*さらに、都道府県知事は「まん延防止重点措置」でも、休業などの命令ができるようになり、要請に応じない店の店名公表ができるようになっていた。

2021年1月31日付社説
「まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言の前段階と位置付け、都道府県知事の権限を強化する。時短要請に応じない事業者に命令を出すことができ、拒んだ場合は過料を科す。付帯決議案は、過料を慎重に運用する必要性にも触れた」

2021年2月1日付
西村康稔経済再生相は「特措法に新設する「まん延防止等重点措置」は、感染状況を示す指標のうち「ステージ3」相当での実施を想定している」と説明。

2021年2月2日付
付帯決議の中に、「まん延防止重点措置」に関する大雑把な条件が記される。「満たすべき要件について、新型コロナ感染症対策分科会が提言したステージ1から4、6つの指標との関係を含め、客観的基準を示す。あらかじめ学識経験者の意見を聴き、国会に速やかに報告する。期間延長、区域変更、解除も同様とする。要請の内容は主として営業時間変更であり、休業や全面的な外出自粛を含めない」と。

●uttiiの眼

「まん延防止重点措置」は、ずっと、緊急事態宣言前に適用されるものと理解されてきたことが分かる。今朝の《毎日》の記事は、その「当然の前提」を突き崩す内容で、そこにどんな意味が隠れているのか、今のところは想像するほかはない。

【フォーカス・イン】の中で述べたように、少なくとも政府にとっては、緊急事態宣言解除のエリア選定が、比較的自由になるというメリットがあるのかもしれないが、なんとか宣言を解除して「まん延防止等重点措置」に持っていかなければ…という心理が働き、大甘の「解除」につながる危険性はないだろうか。また再び、足を掬われることにならなければ良いのだが。

image by: 首相官邸

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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