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本当に五輪やる気か?世界が疑い始めた菅首相のリーダシップ欠如

東京五輪の開催が、いよいよ危うい状況となってきているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、新型コロナワクチンの争奪戦に敗れた上、未だアストラゼネカ製ワクチンを認可せぬ日本政府に欧米各国が違和感を抱き始めていると指摘。さらにこのまま日本国民にワクチン接種が進まなければ、先進諸国、殊にアメリカは選手団の派遣を見送ることが明らかであり、資金面でも五輪開催は不可能になると記しています。

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平時対応で東京五輪を開催できるのか? 開催するなら緊急的な実行あるのみ

国民の命と経済が犠牲に。菅総理『五輪絶対開催』は最悪の判断ミスだ」で、五輪を行うためには、緊急事態宣言が五輪前まで必要と述べたが、政府と東京都は、述べたとおりのことをするようである。

1都3県は、2週間の緊急事態宣言延長になった。5月連休明けまで緊急事態宣言を継続という話も出ているという。

東京五輪を開催するなら、五輪直前まで感染者数を低くしておく必要があり、スレージ3になることが宣言解除に条件であったが、それを延長したことで解除の基準がわからなくなっている。

尾身会長も、菅首相の方針に対する説明に、東京は特殊という説明で切り抜けるしかないようであり、この説明であると、解除条件がないことになってしまった。

国民の命と経済が犠牲に。菅総理『五輪絶対開催』は最悪の判断ミスだ」で述べたワクチン調達で、英国のジョンソン首相は、日本の菅首相が五輪開催をG7首脳会議で宣言した時、それに対して強力に支援するとしたが、開催のためにワクチン接種を進めるはずが、アストラゼネカのワクチンの製造販売承認を2月に厚生労働省に申請したが、3月になっても認可されないために、英国も日本を見切ってしまった。

7月までにワクチンを国民全員に接種してから五輪を開くしかないので、ワクチンに対して特別認可をしないと間に合わない。このため、ジョンソン首相は、日本が特別な緊急認可をすると思ったはずである。しかし、日本は、五輪開催のために、特別処置を取らないことが判明した。

アストラゼネカのワクチンは、1億2,000万回分の供給合意しており、うち3,000万回分は3月中に輸出することになっていた。しかし、イタリア工場からの出荷をEUが阻止しているので、この確保もできない状態になる。というより、日本がワクチンの認可をしないことで、EUも日本への配慮が必要なくなっている。

五輪開催に対しての特別な処置をしない日本に対して、世界の指導者たちは、大きな違和感を抱いてしまったようである。五輪をやりたいという意思とその準備のための実行に大きな溝がある。

このため、米国もEUも英国も、ワクチン接種をしない日本に選手を派遣できないと思い始めている。ワクチン確保競争に負け、次にコロナ感染症との戦いで戦時対応をしている欧米と違い、平時の対応でワクチン認可行政で認可の遅れをきたす日本を世界も唖然としてしまったようである。

ことばと実行が大きく違うことになっている。菅首相の実行力がないことが一目瞭然の状態で、菅首相が何がしたいのかわからないと世界の指導者は思ってしまった。

このため、徐々に欧米諸国は、今のままでは選手を日本に派遣できないと打診してきた。このため、下村政調会長も「主力国の選手が大量に来られない場合は国際オリンピック委員会も考えざるを得ないだろう」と中止の可能性に言及した。

もう1つ、東京五輪組織委員会の武藤事務総長も、選手村の関係で、五輪の再延期は不可能とした。

というように、ワクチン接種を平時モードで行う日本の対応に疑問符が付き、欧米、特に米国では選手の派遣を見送ることが明確化している。五輪の大スポンサーは米国のテレビ局であり、この資金がなくなるなら、五輪開催はできない。

東京五輪に選手を派遣しないなら、半年後の北京五輪にも選手を派遣しないことが必要になり、中国の人権問題を理由に派遣拒否という話になっている。先に東京五輪への派遣中止で、日本には派遣しないで、半年後の中国に派遣するのは、おかしいという議論になっているようである。

さあ、どうなりますか?

image by: Karolis Kavolelis / Shutterstock.com

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