国民の命と経済が犠牲に。菅総理「五輪絶対開催」は最悪の判断ミスだ

tsuda20210222
 

多くの国民から東京五輪に関して中止や延期を求める声が上がる中、G7首脳オンライン会議でその開催の決意を示した菅首相。予定通りならばあと5ヶ月で開会式を迎えることとなりますが、一般国民へのワクチン接種の目処も立たぬ中、果たして開催は可能なのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、大会を日程通りに行うための条件を検討。さらに、東京五輪を「コロナに打ち勝った証」とするための意外な案を提示しています。

ワクチン敗戦で五輪を開催する条件は?

G7首脳会議で菅首相は五輪を開催するというが、それまでにワクチン確保のめどもなく、どうすれば五輪を開催できるのかを検討しよう。

前回、五輪開催をあきらめて、選挙に負けないようにした方がよいのではないかと言ったが、逆に菅首相は、五輪を開催するとG7首脳会議で宣言した。

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それなら、五輪を開催できる条件を検討しようと思う。

現時点で、7月までに国民全員分のコロナワクチンの確保が不可能になっていることが明確化している。五輪開催までに医療従事者のワクチン接種ができるが、65歳以上の人の少数にワクチン接種が行える程度の状況になっている。

2月の実績を見ると、ファイザー製は、週に20万人分が確保できる程度であり、月80万人分であり、6月までに400万人分が確保できる程度である。医療従事者400万人分が確保できる程度だ。

アストラゼネカ製のワクチンは、全量日本で生産するというので、このワクチン生産量で日本の運命が決まる。6月末までにどれだけの生産ができるかですが、初期からフル生産はできないので、どれだけ立ち上がりが急峻にできるかにかかる。

そのワクチンは、4月から供給できるというが、初期には大量生産ができるはずがなく、週20万人分とすると、月80万人分で6月までに240万人分となり、65歳以上の3,000万人分には、足りない。やっても3ヶ月で1,000万人分でしょうから、1/3分の確保である。もう少し多くなる可能性はあるが、全員には届かないはず。

ということで、残念ながら、ワクチン接種ができない状態で、五輪を開催することになる。

菅首相は、東京五輪は、「コロナに打ち勝った証」「安心安全な大会にする」として行うというが、残念ながら、コロナ感染流行中での開催となる。

この状態で五輪を行うことになることをまず、前提として、どうすれば、五輪を行えるかの条件を探るしかない。「無理が通れば、道理引っ込む」であり、大きな犠牲を覚悟した方がよい。

五輪の試合は無観客で行うことであり、聖火リレーも観客なしで行うしかないか、声を出さない条件で観客を少し入れるかでしょうね。3月から始まるので、島根県丸山達也知事が言うように聖火リレーを中止して、車で聖火を運ぶ手もあると思う。

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