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辛坊治郎氏は今どのあたり?太平洋上から単独横断の「航海日誌」を公開

先日掲載の「辛坊治郎氏ついに出航!太平洋単独横断、出発直前の“失礼な質問”にも余裕の返答、再挑戦の意気込みと心境を語る」でもお伝えしたとおり、4月9日午前9時、アメリカ・サンディエゴに向け出帆したジャーナリストの辛坊治郎さん。そんな辛坊さんが自身のメルマガ『辛坊治郎メールマガジン』4月16日配信号から、「公開、航海日誌」と題した新連載をスタートさせました。今回はその内容を特別公開。2013年の苦い経験から8年越しの再チャレンジは、どのような滑り出しとなったのでしょうか。

【関連】辛坊治郎氏ついに出航!太平洋単独横断、出発直前の“失礼な質問”にも余裕の返答、再挑戦の意気込みと心境を語る

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新連載 公開、航海日誌

洋上で解説は流石に無理なのでしばらくの間、時事ネタはお休みです。その代わり、ここだけの航海日誌が始まります。

このメルマガでの航海日誌の連載、元々は読売テレビを定年前に退職した暇人S氏が、毎日私からイリジウム衛星携帯電話での報告を受け、そのデイリーの報告を一週間分まとめることで毎週一本分の連載にする予定だったのですが、やはりと言うべきか出航当日から激しい船酔いに襲われ、また、出航翌日から丸三日ほど、想定外の逆風の中、次々船内トラブルに見舞われて、航海日誌を毎日S氏に送ることは出来ませんでした。

そこで、仕方なくこの航海日誌は、4月14日の未明に自分でパソコンに向かって打っています。実は私がパソコンに向かっている3時間後くらいに私の船は伊豆大島の南を通過する予定で、おそらくその際に携帯電波を拾えると思うのです。
携帯電波を拾えたらパソコンとテザリングで繋ぐことが出来ますから、その方法で原稿を送るために、低気圧の通過で猛烈に揺れる船内でパソコンに向かっています。酔い止め薬のアネロンニスキャップのおかげか、それとも出航から5日目を迎えて多少は船酔いが収まってきたのかも知れません。恐らくその両方のせいでしょう。以下出航から順を追っていきましょう。

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4月9日金曜日

午前9時出航予定を数日前に決め、前夜から船内に宿泊していた私の船のクルー3人と共に朝を迎えました。このクルーの皆さんは全員元々全くのヨット未経験者で、7年前にこの船を買った際にメルマガ上でのクルー募集に応じて下さった皆さんです。この中の1人、ジロウさんが簡易なバーベキューセットを持ってきてくれたので、前夜は船の横の桟橋で小さな焼き鳥パーティとなりました。暇人S氏は合法的な手作りビールを持参してくれました。この段階ではクルーの1人が来ていなかったので、パーティ参加者は総勢4人です。

この日の出航は直接問い合わせをしてくれた人以外には一切公表しませんでした。元々私が口にしていた出航の日取りは4月11日だったのですが、想定外に人が集まる可能性が高まり、ハーバーマスターの知人が花火を上げてくれるというような情報迄入ってきて、これだけ密が問題となる社会情勢の中、「これはマズイ」と思い始めていたことと、天候をみると4月11日より前の方がいいのが分かったのでこの日を出航を決めました。天気的にはもう1日2日早い方がよかったのですが、準備が間に合わなかったのです。この日の出航に際してはカミさんや子供たちの見送りも拒否しました。私としては、とにかく大袈裟にしたくなかったのです。

9時出航予定だったのですが、直前に問い合わせをいただいた雑誌「舵」、週刊新潮、スポーツ報知と、読売テレビの「ウエークアップ」からの取材を受けていたら、出航が9時15分になりました。

この日の大阪湾は晴天にもかかわらず風が強く、湾にはところどころ白波が立っていました。白波は風速5メートルを越えないと立ちませんので、この日の大阪湾の風速は毎秒5メートルから10メートルだったと思います。

メインセールのスポンサーを断念していた事もあって、強風下でメインセールを上げるリスクと時間のロスを考えて、ヨットハーバーが手配してくれた取材用の伴走船向けにジブセールだけを展開して、大阪湾の出口である友が島と和歌山の間の狭い海峡「加太瀬戸」に向かいました。この時間ちょうど「下げ潮」でジブセールだけで7ノットほどの速力で無事太平洋へと抜けることが出来ました。ここで取材陣を乗せた伴走船は淡輪港に戻り、ここから本格的な単独行がスタートしました。

太平洋に出ても串本に達するまでは巨大な紀伊半島に風と波が遮られるため、快適なクルージングを続けることが出来、最高のスタートとなりました。ところが日没後飛んでもないことが頻発し始めます。

4月10日土曜日

出航前夜、おそらく自分でも感じていなかった緊張と興奮からなかなか寝付けず、出航して最初の夜に爆睡してしまう恐怖から、4月9日の日没後、船を日本沿岸を通って関東に向かう通常のルートでなく、沖に指すことにしたのです。沿岸を走っているときに爆睡してしまうと、沿岸を航路とする大型船との衝突や座礁という最悪の結果を招くことも考えられ、そのリスクの少ない沖に船を出して寝ようと考えたのです。ところがこの日も興奮が続いていたようで、結局ほとんど寝られず早朝起きだすことになりました。

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image by: 辛坊氏提供

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辛坊治郎流ジャーナリズムの基本、「FACT FACT FACT」をキーワードに、テレビや新聞では様々な事情によりお伝えしきれなかった「真実」を皆様にお伝えします。その「真実」を元に、辛坊治郎独自の切り口で様々な物の見方を提示していきたいと考えています。 2021年8月には太平洋単独往復横断を達成しました。航海中に起こった出来事、考えたことなど、ここでしか読めない情報も配信します。どうぞお楽しみください。

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