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楽天も辿るのか。中国の資本を受け入れた台湾企業の悲惨な末路

経済力で世界覇権の掌握を狙い増長する一方の中国ですが、その責任の一端は日本にもあるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、日本政府による対中ODAが未だ継続中であるという国民の多くが見落としている事実を明示し、中国肥大化の金銭的援助を行ったのは日本だと批判。さらに菅政権に対しては厳しい対中姿勢を求めています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年4月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】もう中国とのビジネス自体が致命的なリスクとなる

日米、楽天を共同監視 中国への情報流出を警戒

今年3月、楽天グループが中国IT大手のテンセント(騰訊控股)子会社から657億円の出資を受け、テンセントが楽天株の3.65%を保有する大株主になったことを受けて、日本とアメリカの両政府が、中国への情報流出リスクと経済安全保障の観点から、楽天グループを共同で監視する方針を固めたそうです。

テンセントはSNS「ウィーチャット」を運営する企業ですが、トランプ前大統領は同社に対して、2020年9月からアメリカ企業との取引を禁止する大統領令に署名しました。バイデン政権になっても、テンセントはアメリカにとって「安全保障上の脅威」となる中国企業としてみなされています。

楽天はテンセントを含む株主が個人情報にアクセスする可能性を否定していますが、先日のLINEの情報データが中国の企業からアクセスできる状態にあった件もあり、また日米首脳会談でも「経済安全保障」の重要性が謳われましたので、中国企業からの出資や業務提携自体が、ビジネスリスクとなることが、明らかになりました。

日米同盟は「経済安全保障」の時代へ~菅・バイデン共同声明で鮮明に

先日の日米首脳会談では、共同声明に「台湾」の文字が52年ぶりに盛り込まれましたが、もっと中国を非難する表現にしたいアメリカと、あまり中国を刺激したくない日本との間で、中国をめぐる表現でかなり厳しいやり取りがあったとされます。今回の楽天グループの共同監視も、アメリカ側の強い意向があったのだと思われます。

私はこれまで、20年以上にわたり中国への企業進出や、中国資本と関係することの危険性を訴えてきました。台湾企業が大陸で受けている仕打ちや、中国資本を受け入れた台湾企業の末路を見てきたからです。

台湾では中国資本が台湾で事業展開することを厳しく制限しています。中国が経済で台湾を揺さぶる、台湾から技術や情報を盗み出す、あるいは台湾企業の顔をして世論を操作する懸念があるからです。香港や第三国の企業を利用して、中国資本ではないふりをして、実質的に台湾企業の大株主になる迂回投資も警戒対象となっています。

台湾、「中国大陸」企業の投資規制を強化 迂回を警戒

しかし、日本の企業人や言論人でさえ、中国という国の本質を理解せず、「日中友好」という甘い考えで中国に近づき、技術とお金を盗まれ、その技術と資金を使って中国からの経済侵略や領土侵略を受けるようになってしまいました。

中国の高速鉄道など、その最たるものでしょう。日本の新幹線技術でつくられたにもかかわらず、いまや中国は自国の「独自技術」だと謳い、日本とは海外への技術移転はしない約束を結んでいたにもかかわらず、中国はどんどん他国へ「中国独自技術の高速鉄道」として売り込み、日本の新幹線輸出の最大のライバルとなっています。まるでジョークのような話です。

中国はいま世界中で他国を経済的・軍事的に威圧しています。民主主義や人権、自由といった普遍的価値にとっての脅威であり、世界の大問題になっています。

しかし、中国をここまで増長させた責任の一端は日本にあります。日本は1979年から総額3兆6,500億円という巨額のODA(政府開発援助)を中国に贈り続けました。中国は2010年にGDPで日本を追い抜きましたが、その後も対中ODAは継続されてきたのです。さすがに世論の批判も大きくなり、2018年になってようやく終了しました。とはいえこれは「2018年の新規案件で終了」ということで、対中ODAはまだ続けられています。JICAによれば、対中ODAの実行は2022年3月まで行われるということです。

日本の対中国ODA概要(PDFファイル)

新型コロナを撒き散らして日本に多大な損害をもたらしたうえに、尖閣諸島での領海侵犯を頻発させている中国に、日本はまだ貢ぎ続けるということです。

しかも日本の対中ODAは軍事使用を禁止されていますが、中国の軍事力増強に使われてきた疑惑は拭えません。対中ODAをこそ監視対象にすべきでした。

朝日新聞は現実を直視せよ、軍事力増強に使われてきた対中ODA

日本の対中ODAをは「より豊かな中国の出現がよりよき世界に繋がるとの期待」というお題目のもとに始められましたが、「より豊かな中国の出現」は「暗黒の世界」に繋がってしまいました。

私はいまから20年以上前の1999年に『「龍」を気取る中国 「虎」の威を借る韓国』という書籍を出しましたが、その帯には「中・韓に屈する日本はアジア諸国の大迷惑!」と記してあります。当時、日本は中国・韓国に対しては謝罪・弱腰外交一辺倒でした。これは日本人にとっては贖罪の気持ちいい行為であるかもしれないけれど、他のアジアにとっては迷惑極まりないことだと論じました。中韓を増長させ、その害が他国にも及んでしまうからです。韓国は中華王朝に事大してきた歴史があり、いずれ中国と連携するだろうことも予見していました。そしていま、事態はそのとおりになってしまいました。

● 『「龍」を気取る中国 「虎」の威を借る韓国

いまなお、日本は先進7カ国(G7)のなかで唯一、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人弾圧への対中制裁を行っていません。これも中国に対する過剰な配慮からでしょう。6月にはイギリスでG7首脳会議が行われますが、日本だけがウイグル問題を放置するならば、G7としての足並みが崩れ、中国につけ入る隙を与えかねません。

【主張】対中人権制裁 日本の不在は恥ずかしい

昨年末、外交文書の公開により、1989年の天安門事件当時、G7の共同制裁を日本だけが拒否したことが明らかになっています。

日本、G7首脳会議「1対6」 天安門で中国と欧米の板挟み(外交文書公開)

そして、中国は日本の媚中派・親中派に取り入り懐柔策を続け、ついに1992年、天皇訪中を実現させました。これが突破口になって、西側諸国の対中制裁解除へとつながったのです。天安門事件当時に外相だった銭其琛元副首相は回顧録で「日本は西側の対中制裁のウイークポイントで、良い突破口となった」と、得意げに書いています。

天安門事件は人権および民主化運動への弾圧事件でした。これを日本が軽視した結果、中国への対中制裁解除、そしてその後の中国の肥大化を許してしまいました。先述したようにその肥大化に金銭的援助を行ったのは日本です。

そしてこれは、近年の香港の人権・民主化弾圧につながったともいえるでしょう。日本がウイグルの人権問題を無視することは、再び同じ過ちを繰り返すことになりますし、中国は日本を「良い突破口」として使ってくることでしょう。

日本政府は中国に対して改めて厳しいメッセージを送るとともに、企業に対しても中国資本とかかわることのリスクを明示すべきでしょう。


 


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image by: humphery / Shutterstock.com

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