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無駄で無謀。東京五輪の開会式はNYタイムズ記者の目にどう映ったか

開幕直前までトラブルが相次いだものの、無事滞りなく進行した東京五輪の開会式。その演出を巡ってはさまざまな意見が飛び交っていますが、外国人の目にはどのように映ったのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、ニューヨークタイムズの記者数人が会場から発信したコメントを紹介しています。

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オリンピック開会式 NYタイムズの厳しいコメント

オリンピックの開会式、ニューヨークタイムズが派遣した数人の記者がオンラインで生のコメントを出していました。ツイッターで話し合うような感じです。各国の選手団に対するコメントには好意的なものがありましたが、開会式の演出に関しては総じて辛口コメントが目につきました。

日本の報道関係者が外国人に聞くと儀礼もあって厳しい事は言わないでしょう。しかしこれはニューヨークタイムズが米国人読者に向かっての報道です。リアルタイムですから編集が入る余地もありません。正直な意見と見るべきでしょう。
厳しいコメントが多いですがご紹介しましょう。

セレモニーはビデオで始まりました。正直なところ、少し曖昧です。

抽象的な演出です。

私は、ランニングマシーンで苦しそうにジョギングしているアスリート/パフォーマーを気の毒に思う。圧倒的に不利な状況下での孤独な努力を表現しているのだろうが、ただのラニングマシーンに乗った疲れた人にしか見えない。

開会式最初では、お祭り騒ぎを否定するような不快なトーンを表現しました。ほとんど人のいないスタジアムで静寂に包まれた瞬間です。1972年にミュンヘンで起きたイスラエル人オリンピック選手の殺害事件と並んで、パンデミックによる何百万人もの死者を集団で追悼する呼びかけです。

天皇陛下と国際オリンピック委員会会長のトーマス・バッハが紹介されました。信じられないことに、二人は同等に紹介されています。

東京のオリンピックスタジアムには、開会式のためのファンはいません。しかし、外には何百人もの人々がいて、その中には抗議者も含まれています。彼らの声や騒音はプログラムが中断されるたびにスタジアム中に響き渡ります。

パンデミック(世界的大流行)の最中に大会を開催することは、日本国民の幅広い層から不評を買っています。彼らは抗議のために歌を歌ったり、笛を吹いたりしていますが、スタジアムは十分に静かなので、式典の静かな時間帯には彼らの声がはっきりと聞こえます。

これまで式典ディレクターは、最も重要な観客はスタジアムにいる何万人もの人々ではなく、テレビで見ている何百万人もの人々であることを認めてきました。今年はその傾向が顕著です。各パフォーマンスの終了時には一握りのメディアやボランティアが控えめな拍手を送っています。

拍手があるのは国際オリンピック委員会のバッハ会長をはじめとする約1,000人のVIPが座っているエリアだ。彼らは今回のオリンピック開催を推し進め、多くの日本人が抵抗したにもかかわらず、自分たちの思い通りにしてきた人たちです。

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イマジンがオリンピックの定番と化しているのは特異なことだ。「国がない」のであれば、オリンピックはいったい何なのだろうか。

イマジンは好みにもよりますが最も偉大な世界平和のメッセージであるとも言えますし、くだらない駄文であるとも言えます。

この奇妙な開会式を見ていると、矛盾した視点の間で揺さぶられずにはいられません。1つ目はこれは無駄で無謀であり、恐ろしい誤算であり、暗く恐ろしい時代の無意味な運動である事。2つ目は、人生は続くということ、未来はあるということ、世界はまだ協力し合えるということ。私はお人好しで楽天家なので希望に満ちたバージョンで行くことにします。

選手たちは、まるで観客がいるかのように、観客に向かって手を振っています。彼らに同情しなければなりません。大切な瞬間なのに、期待されるような大歓声がない。

アリーナでは、アスリートたちが誰もいないスタジアムを行進しており、応援歌や仮面をつけたダンサーたちが必死に雰囲気を盛り上げているだけで、時にディストピア(反理想社会)的な雰囲気を醸し出しています。

出演者は、選手が入場してきても、まだ踊ったり、飛び跳ねたりしています。エネルギーと忍耐力の印象的なショーです。

アリーナのフロアにいる多くのボランティアは、今夜のことで疲れ切っていることだろう。選手がスタジアムに到着すると、彼らは手拍子やダンスを披露し、スタジアムのエネルギーを維持するために動き続けなければならない。いつもなら各国の選手が発表されると、観客は歓声を上げる。今回はそうではない。

肯定的な意見もご紹介します。

このようなドローンを使ったアレンジはよく見るものですが、このスタジアム上空のものは巨大で立体的で息を呑みます。

この非常に困難な時期に、誰もがどんな種類の服でも着て東京に行くことができたことに畏敬の念を覚え、日本がこれを成し遂げたことに、少なくとも今日は畏敬の念を覚えます。さあ、ゲームを始めましょう。

以上、テレビで編集されたニュースを見る限りにおいてはよい開会式だったという印象を与える事も可能ですが、実際に現場にいた海外記者の観点からは「感動的な開会式」とは言えなかったようです。

(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 7月25日号より一部抜粋)

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image by: A.RICARDO / Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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