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五輪ソフトボール代表を優勝に導いた宇津木麗華監督が恩師と語る「闘う意義」

予選リーグでは逆転負けを喫した宿敵・アメリカを決勝で破り、2008年の北京五輪以来13年ぶりの金メダル獲得となったソフトボール日本代表。チームを率いた中国出身の宇津木麗華監督は、来日後、恩師である宇津木妙子さんの指導の元、選手として人間として、大きな変化を遂げたと言います。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、そんなお二人が「プロの条件」について本音で語った対談が再録されています。

日本女子ソフトボール、その強さの原点

東京オリンピックで米国との頂上決戦を制したソフトボール。白熱した試合に、手に汗を握りながらテレビ画面に釘つげになったという方も多くいらっしゃったことでょう。その強さの原点はどこにあったのでしょうか。

監督の宇津木麗華さんは、かつて『致知』誌上で師である宇津木妙子さんと対談されました。厳しい練習や逆境を乗り越え、世界の強豪に打ち克つための“プロの条件”について語り合われた記事の一部を紹介します。


麗華 「代表監督になったばかりの頃、宇津木さんへの誹謗・中傷が出回っていました。随分いやがらせを受けたことも知っています。でも宇津木さんは負けなかった。その強さ、ソフトボールへの執念、勝利への執念には本当に頭が下がります。

私は中国にいた頃は、自分が打てなかったり点差が開くと、諦めてしまうこともありました。日本に来て、宇津木さんから怒られ、指導され、勝利に対して執念を持つようになったと思います。

私たちはきつい練習を乗り越え、怪我を抱えながら、生活のすべてを捧げてソフトボールをやっています。何のためかといえば、それは勝つためです。

勝った瞬間のわずか10秒。あのめまいとも似つかない10秒間のために戦っているといってもいい。それは勝った人しか分からない喜びであり、楽しさです。その楽しさを知り、勝つための執念を燃やし続けられる人が本物の『プロ』だと思います」

妙子 「最近よく、『オリンピックを楽しみたい』とか『ゲームを楽しむ』という言葉を耳にするけど、ちょっと違うんじゃないかなと感じます。どうも逃げのニュアンスが含まれている気がする。本気で金メダルを目指し、勝ちにいくなら『楽しみ』より『苦しみ』のほうが断然大きいですよ。それでも勝ちたいから戦いに挑むのです」

麗華 「勝った瞬間の10秒間以外はすべて苦しみかもしれませんね」

妙子 「代表監督に就任する時、『全責任を追うから全権を任せてほしい』と協会に言いました。それは裏返せば『責任を取る代わりに、口出しするな』ということになる。そう言った手前、必ず実績を出さなければいけないと自分に言い聞かせて頑張ってきた。

その重責、プレッシャーは言葉にできないほど苦しかったし、神経もだいぶすり減った気がします。でも、その苦しさに負けない人がプロじゃないかと私は思うんです。

苦しさに負けない。それは自分に負けないことだと思います。私のソフトボール人生を振り返れば、まさに自分との闘いでした。悔しい、負けないんだと執念を燃やしていたけど、負けたくない相手は自分でした。人じゃない。弱い自分、くじけそうになる自分に、もう一人の自分が『頑張れ、頑張れ』と言い続けてきた。

生きるって、最後は自分ですよ。夫もいるし、親もきょうだいも、友人もいる。みんな励ましてくれるし、勇気づけてくれるけど、私にはなれない。踏ん張って、最後に頑張るのは自分なんです。だから生きることは自分との闘いだと思っています」

(※ 本記事は月刊『致知』2003年8月号 特集「プロの条件」より一部抜粋・編集したものです)


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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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