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お菓子メーカー湖池屋に学ぶ、価格よりも「食べる人ありき」という姿勢

日本で初めてポテトチップスの量産に成功してからおよそ60年、スナック菓子のトップメーカーとして業界の牽引役を果たし続けている湖池屋の業績が好調です。その秘訣はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、考えうる理由として同社のスローガンを上げるとともに、その方針が具現化された商品を紹介。さらに業界誌での社長のコメントから読み取れる「食べる人ありきの姿勢」を高く評価しています。

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食品メーカーが価格の安さよりもこだわるべきことは何か?~湖池屋「JAPANプライドシリーズ」の事例

ポテトチップスの湖池屋の業績が好調です。2021年6月期の上半期は前年同期比で、売り上げが8.8%増えて、営業利益は約3倍にもなっています。私は元々、ポテトチップスが好きでよく食べますが、湖池屋のちょっと小さめで、味にコクがある感じが特に好きです。

業界では、カルビーに続いて売り上げ2位ですが、ここ数年、明確な方針を打ち出しています。それは、価格の安さで勝負するよりも、「美味しさ」で勝負しよう、というスローガンです。確かにここのところ、湖池屋の新商品は、ユニークで面白いという印象があります。

少し前に「工場直送便」という商品が話題になりました。読んで字のごとく、生産してから3日以内のポテトチップスを配送します、という商品です。湖池屋のホームページによると、販売累計で300万食を超えたとあり、まさに大ヒット商品です。

サイトでの表現もユニークで、大きく「揚げたて!」とあり、見るからに美味しそうです。限定数量での販売で、予定数が売り切れることもありますが、次の生産予定と出荷予定も、ホームページに明記されています。

そのホームページの説明も秀逸で、おすすめの食べ方が載っています。まずは、そのまま食べてポテトの美味しさを感じ、次に付属している鰹節と焼き海苔をつけてください、とあります。ポテトチップスにトッピングするというのが美味しそうで、思わず試したくなります。ありそうでなかった発想です。そして3つ目の食べ方として、「温めても美味しいですよ」とあります。これも意外な食べ方です。

湖池屋は、ポテトチップスを買おうとする顧客に、食べ方を提供することで、自分の姿を想像させることができています。これによって、価格の安さではないところで、顧客側に選ばれる、ということになります。実際に価格は、1箱に6袋入って1,480円とあります。けして、安い値段ではありませんが、工場からの直送なので、ちょっと食べてみたいな、という気持ちになります。

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湖池屋のポテトチップスは美味しいというイメージがあり、さらにここ数年このような仕掛けをしています。なかでも会社として取り組んでいる、JAPANプライドポテトというプロジェクトを行なっています。

もともとは、「湖池屋のプライドをかけて、美味しいポテトチップスを世に出そう!」というコンセプトで、「神のり塩」「感激うす塩味」「芋まるごと」といった、面白く引きつけるネーミングの、JAPANプライドシリーズという商品を多く出しています。「豪快和牛コンソメ」という商品は、サブタイトルに「スパイスの衝撃、迫り来る肉の衝撃」という目を引くタイトルで、ここにも「美味しさ」や「味」に焦点を当てる姿勢が見て取れます。

このJAPANプライドシリーズでここのところ、日本が誇る地域の名産品を使い、湖池屋がプライドをかけて作り出す、ポテトチップスというコンセプトで、地域を活性化しようという取り組みを始めました。色々な地域とのコラボ商品を出していて、たとえば、小豆島のオリーブと淡路島の藻塩を使ったポテトチップスや、宗像の焼き海苔醤油のポテトチップスなど、こちらも見るからに美味しそうです。

日経MJの記事によると、湖池屋の社長は、このような商品開発の戦略を、「味、日本、現代品質の3つに定めました」とのことです。この3つに絞る、ということを明言していて、このポイントからぶれず、このように消費者のニーズにマッチした市場に、自社の強みを当てているので、消費者にもその思いが明確に伝わります。この点がヒットに繋がっているのです。

 

(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2021年8月10日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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