また、女性委員が少なくとも1割いる市区町村と、ゼロの市区町村を比較したところ、
- 住民なども含めた研修会やワークショップ、ホームページの開設、各種団体の支援などの取組をおこなう比率が、女性が「1割」以上いる市区町村は全くいない=「ゼロ」地域の2倍も多かった
- 「1割」の市区町村では「避難所運営に関する指針等」に、プライバシーの確保、情報伝達・コミュニケーションの確保、ペット対策、福祉避難所の設置、LGBTへの配慮、避難所内での託児所の設置、自宅で病人等の世話をしている家族への支援などの項目が記載されていたのに対し、「ゼロ」の地区町村では、LGBTへの配慮、避難所内での託児所の設置、自宅で病人等の世話をしている家族への支援などの項目が、記載されていないケースが多かった
- 特に、人口1万人未満の市町村では、防災会議の女性委員比率によって、避難所運営に関する指針等の記述に顕著な差があった
- 常時備蓄されている品目にも、「1割」と「ゼロ」で違いがあることがわかった。毛布、主食、飲料水、簡易トイレは8割超、ブルーシート、小児用おむつ、成人用おむつは5割超の市区町村で常備。一方、5割未満だったのは、生理用品、ベッド・担架、簡易間仕切り、調製粉乳、哺乳瓶、アレルギー対応食などだったが、これらの全ての品目で「1割」の女性がいる市区町村で「備蓄がある」と回答する比率が、「ゼロ」より高かった
- 上記のうち、特に顕著な違いが認められのが、ブルーシート、間仕切り、簡易トイレ、生理用品、育児用品、成人用おむつ、介護食、アレルギー対応食だった
…さて、いかがでしょうか。
紹介したのはごく一部ですが、「女性」の方が育児、家事、介護などのケア労働に関わる経験が多いので、弱者にやさしい視点を持つことが可能であることがわかると思います。
もちろんこういった視点は「男性」であってもケア労働の経験があれば気づくこと。しかし、現実は「ケア労働=女性の仕事」になっているので、「女性が防災会議のメンバーになる」ことでしか解決されない問題なのです。
東日本大震災のときには、「高齢者の世話や食事などの準備は、女性ばかりがやらされた」という不満も多く聞かれました。女性のメンバーが増えれば男性に「手伝って!」と声をあげることだって可能になります。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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