コンビニエンスストアは、その便利さに磨きをかけ、お客様を呼び込む努力を決して惜しまないようです。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、セブンイレブンがダイソーの商品販売を本格化させるとの報道を紹介するとともに、この取り組みが両社にもたらす恩恵を解説。さらにコンビニ業界で進む同様の動きを取り上げ、「小売業が敏感であるべき変化」を提示しています。
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なぜダイソーの商品があるセブンイレブンでは、他店舗より売り上げが多いのか?
セブンイレブンが、100円ショップのダイソーと組んで、セブンイレブン店内で「ダイソー」の売り場を本格的に展開していく、とのことです。ダイソーの商品を売る店舗は、神奈川県に80店舗あるそうです。
商品ラインナップとしては、清掃グッズや、セットで100円の文房具、車のシートフックなどといった、通常はコンビニに置いていない商品が中心です。他のコンビニにはこういった商品を扱っていない、ということもあり、セブンイレブンのダイソーが入っている店舗では、平均で、約1割弱の売り上げ増になった、とのことです。
買う側の顧客からすれば、コンビニに100円ショップが入っていると、わざわざ100円ショップとコンビニの、両方に行く手間が省けます。また新型コロナの感染拡大で、以前と比べて、複数のお店を回るよりも、「できる限りいろいろなところにはいきたくない」「1店舗で済むなら済ませたい」と考える人も多くなりました。セブンイレブンはこういった状況の変化をうまくつかみ、ダイソーを店内で展開しています。
また、売る側のセブンイレブンの立場でも、お客様が100円ショップ商品目当てで来店しても、コンビニ商品をついで買いをしてくれます。もちろんこの逆もあるので、売り伸ばしにつながります。
セブンイレブンではこれまでも、セブンプレミアムシリーズや、金のセブンイレブンといった、PB(プライベートブランド)に力を入れてきました。これは小売業では、限定品やPBのような、「うちの店だけ」という特別な商品があると、その店に行く理由になるからです。コンビニではセブンイレブンにしかないため、ローソンやファミマと差別化ができて、来店促進になるのです。
今回もまた、ダイソーが入ることで、100円ショップにしかない商品、たとえばボールペン5本で100円とか、スポンジが3個で100円といったような商品が買いたくて、近くのコンビニに行けばあるのであれば、その商品を目がけて買いに来る、といったことが期待できます。
このように、お客様がその店に来る理由になる商品を、磁石が鉄を引きつけることにかけて、と呼ぶことがあります。コンビニで言えば、おにぎりやお弁当などがそれにあたります。今回、ダイソーが店内に入るということになれば、オフィス街では3本100円のボールペンセットが、マグネット商品になるでしょう。このマグネット商品を買いに来たお客様が、ついでにおにぎりやジュースを買っていってくれれば、売り伸ばしにもなるのです。
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セブンイレブンでは、グループ会社のロフトの商品を扱っている店舗が、東京に10店舗あります。ここでも同じように、「同じ文具を買うなら、ロフトの商品があるセブンに行こう」となり、集客につながります。また、ダイソーやロフト側の立場としたら、コロナ禍で様々なことが不透明な中、これから店舗を構えていくことにはリスクが伴います。いい立地の店舗を探すことも難しいので、自社製品をセブンイレブンの店舗内で販売してくれるのであれば、告知効果も含めてありがたい話です。
コンビニ業界では、このような動きが加速していて、ローソンでは無印良品の商品を販売していますし、ドラッグストアのクオールとの共同店舗も出しています。これからこのような動きが拡大していくと思われます。そうなると、ユーザーの方がそのうちにコンビニとか、100円ショップやドラッグストア、という企業側が決めたこれまでのような分類を、しなくなるでしょう。小売業は、このような変化に敏感でなければなりません。
アマゾンが、ネット専業の小売業だったところに、リアルの店舗を買収したのも、買う人たちは、そのうちにネットもリアルも関係なく、オンラインとリアルをいったりきたりするだろう、と予測したからです。
変化に敏感になり、一歩先を読み、半歩先くらいをユーザーに提案するのが、マーケティングの真骨頂です。この事例から学べることは深くて多いですよね。(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2021年8月24日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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image by: Takashi Images / Shutterstock.com