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また現場に丸投げ。責任放棄の無能な日本政府に子供たちが殺される

デルタ株が猛威を振るう新型コロナ第5波の只中にあり、子供たちへの感染爆発が深刻となっている日本。同じ傾向にあるアメリカではこれまでに300人の子供がコロナで命を落としていますが、菅政権は相変わらず「後手対応」に終始しています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、このような状況にあって「今」準備し進めておくべき対策を講じない日本政府を強く批判。さらにパラリンピックへの児童生徒の動員に固執する姿勢について「理解できない」とし、その理由を記しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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人の命を軽視する日本政府が「子供の命」を守ることなど出来るのか?

新型コロナに感染した妊婦の救急搬送先が見つからずに新生児が死亡した問題をうけ、千葉大病院は新型コロナに感染した妊産婦を受け入れる専用病床を設置する方針を決めたそうです。

千葉大病院の迅速な動きは、住民の方たちに「安心」をもたらしたことでしょう、

一方で、感染爆発はすでに6月に予測されていたのに、政府の楽観的思想に基づく「無策」の横行には怒りが収まりません。諸外国は昨年の夏には専門病院を作ったり、ワクチン接種の綿密な計画を立てたりと、政府がヘッドクオーターとして機能しているというのに。いまだに「要請」「検討」を繰り返すとは情けないとしかいいようがありません。

そんな中、「おい、政府!これ、ちゃんと読んでおいてよ!」というニュースが米国で報じられました。

ロイターによると、米国で17日、新型コロナの死者が1,000人以上報告され、1時間当たり約42人が死亡したことになることがわかりました。

特に、気になるのが、子供の感染です。17日午前時点で1,835人の子供が入院し、米国疾病管理予防センター(CDC)によると、全米で300人以上の子供たちが新型コロナウイルスでこれまでに死亡したとされています。感染した子供のほとんどは完治するそうですが、10%の子供たちには数ヵ月間症状が出つづけるとの報告もあるそうです。

実は、先週、CNNを見ていたところ、幼児をコロナで亡くした男性がリモート出演し、学校再開への懸念が議論されていました。米国では(州によって差あり)マスク着用が義務化されていないのに、登校させていいのか?という問題が、社会問題になっているのです。

一方、日本では「一斉の休校措置を国として要請することは考えていない」と文科省は明言。つまり、お得意の「現場でひとつよろしく!」と責任を放棄したのです。

もちろん地方自治体に任せることも大切なのかもしれません。

しかし、海外で子供の感染が増加し、死者も出ているという現実を鑑みれば、なんらかの感染対策を国が講じる必要はあるし、子供が重症化した際の病床を準備することも「今」進めるべき対策です。

国内では乳幼児がかかる別の感染症「RSウイルス」の患者が増加していて、新型コロナと症状が似ていることもあり、小児科の医療現場の負担が増しているそうです。

こんな状況で、コロナ対応できる小児科はどれほどあるのでしょうか。

家庭内感染が拡大している状況なのですから、学校などでクラスターが発生した場合の対応なども、「今」準備しておく必要があるはずです。

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さらに、パラリンピックが開幕し、「学校連携観戦プログラムについて全体で10万人台の希望をいただいている」(by武藤事務総長)とのこと。

8月下旬にかけて感染増加が続くことはわかっていたのですから、リモートを利用して「競技場」にいる感覚を子供たちが味わい、「パラスポーツの選手」たちとリモートを利用して触れ合える仕組みを作るという選択肢もあったはず。

なのにそういった議論が持ち上がらないのは、いったいなぜ?仮に議論したとして、できない理由は何?なぜ、そういった「目的を遂行するための議論」ができないのか。私には全く理解できません。

「上」の無策で涙するのは、「下」の弱い立場の人たちです。「ワクチンワクチン!」と叫ぶのも結構ですが、海外をみればワクチン頼みにすることの危険性がわかる。withコロナか、zeroコロナか?一体何を目指しているのでしょうか?

きっとこのあとなんとか感染がおさまってきたら、1年前同様、「GO TO!GO TO!」一色になり、「この先の感染拡大が起きた時の備え」など誰も見向きもしなくなるのでしょうね。

そして、また、現場の命が削られていく…。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

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