ワクチン証明書オンライン化で「また中抜き?」危惧。フランスでパス不所持の女性が警察からボコボコ、“反対派は人に非ず”広がる懸念

2021.09.06
by tututu
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政府は新型コロナウイルスワクチンの接種証明書を12月からオンラインで発行する。スマートフォンのアプリでQRコードを表示し、情報を読み取る仕組みを想定。証明書の申請もオンラインで済むようにすると日本経済新聞などが報じた。しかし、「ダメアプリまた誕生?」と制度の低さや事業費用の“中抜き”を危惧する声もあがっている。

政府がワクチンパスのオンライン化も「また中抜き?」

欧州をはじめ世界でワクチンパスポート実用化の動きが始まっている中、日本でもようやくオンライン化がスタートする。

6日に菅義偉首相と全閣僚が出席するデジタル社会推進会議を開き、「ワクチンパスポートの電子化」の方針を決める。1日に発足したデジタル庁が取り組む重点計画に明記する予定で、5日にフジテレビの番組に出演した平井卓也大臣も「指示さえあれば実現できる。年内にはできる」との見通しを示した。

政府は12月中にできるだけ早く電子証明書を発行したい考えで、空港などでスマホのアプリで表示したQRコードを読み取って確認する手法の設計に着手した。ワクチンパスポートがスマホで提示できるようになることで、飲食店や旅行、イベント時の入場などで活用することが見込まれている。

こうした動きを歓迎する声があがる一方、新型コロナウイルス陽性者との接触を知らせるアプリ「COCOA(ココア)」の開発で、厚生労働省の委託先の企業が別の3社に、契約金額の94%で事業を再委託していたことから、「また新たな中抜き事業がスタート?」など批判する声もあがっている。

東京新聞によると、ココアは不具合が続出して信頼性を失い、導入から1年間で、利用した陽性者は全体のわずか2%にとどまっていたことがわかっている。

ココアの実例から、ネットでは「ちゃんと活用されるのか」「ダメアプリになってしまう可能性大」「不具合ばかりで、結局“紙の運用”になるとかは避けてくれ」などの心配があるようだ。

フランスではパス不所持の女性が警官から暴行

一方、世界ではすでにワクチンパスポート実用化に向けた動きが始まっている。

フランスは8月9日からカフェやレストランへの入店の際にワクチンの接種完了や陰性の証明書の提示が義務化された。提示しない客は135ユーロ(約1万7000円)の罰金が科されるほか、確認を怠った店も業務停止となる可能性がある。

証明書の提示義務化における取り締まりが強化される中、ワクチンパスポートを持たずに外出した女性が警察官から暴行を受ける動画が拡散している。

大勢の警察官で取り囲み、警棒のようなもので女性を殴打する行為に批判が殺到。「いくら何でもやりすぎだ」「ワクチンパスを持たないとこんなことになるの?」「日本もここまでやるのか」などの声があがっている。

まるで“反ワクチンは人に非ず”ともとれる動きに、義務化は事実上接種の強要につながり個人の自由を奪うとして、フランスでは8月中旬から毎週土曜日に抗議デモが呼びかけられ、8週連続で起きる事態となっている。

日本ではあまり報じられていないが、ヨーロッパ各国ではワクチンパスの是非で国民が揺れているのだ。

そんな中、専門家らで構成する新型コロナ対策分科会は3日、希望者に対するワクチン接種が行きわたるとされる11月以降の日常生活に関する提言をまとめた。

これによると、ワクチンの接種証明や検査の陰性証明を提示することで、県境を越える出張や旅行、大規模イベントの参加を可能としている。しかしその一方、飲食店については“ワクチン・検査パッケージ”の活用は要検討とされるなど、分科会のなかでもかなり意見の食い違いがあるようだ。

日本のワクチンパスポートはこれからどのように活用されていくのだろうか。ワクチン接種証明書のデジタル化が進むことで、今後はさらに議論が進むとみられている。

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