ついに乃木坂46にまで難癖をつけ始めた中国・習近平政権の大迷惑

 

また、環球時報は「第3代台湾総督に就任した乃木希典は、抗日勢力を弾圧し続け、『雲林大虐殺』では3万人近くの現地人が犠牲になった」とも書いています。

乃木の時代に台湾で抗日運動が盛んだったのは確かです。しかしそれは、日清戦争後に台湾が日本に割譲されたことが気に食わなかった清の軍官が主導したものです。

下関条約で台湾割譲が決定すると、これを不服とした清の勢力は、台湾巡撫の唐景崧を総統、日清戦争時に台湾防衛を任されていた劉永福を大将軍とする台湾民主国の建国を宣言して、日本に抵抗したわけです。

いかにも現地の台湾人が抵抗したかのように書かれていますが、実態は、台湾に既得権益をもっていた清の軍官民が主導して日本に抵抗していたのです。

しかも、日本軍が台湾統治のために上陸すると、唐らはまっさきに大陸に逃亡してしまいました。そして残された劉永福ら台湾民主国の軍は土匪と化し、日本軍に白旗を掲げて向かい入れるふりをして、襲いかかるといったゲリラ戦を展開していたのです。

このときの戦いは「乙未戦争」とも言われますが、日本側としては日清戦争後の残敵掃討戦でした。言うまでもなく、ゲリラに対しては、問答無用で処刑することが国際法でも認められています。

記事に出てくる1896年の雲林蜂起も、台湾民主国の残党を中心とした1,000人以上の土匪が、日本人商店を襲い、多くの日本人死傷者を出したことが発端でした。これに対して日本軍は掃討作戦を行ったことで、6,000人近い死者が出たとされています。もちろんゲリラの処刑なども含まれています。犠牲者3万人というのは、白髪三千丈が過ぎるでしょう。

また、4,000近い民家が戦火にまきこまれたと言われていますが、後に台湾総督府はそのほとんどに見舞金や救済金を支給しています。

環球時報は、これらの「虐殺」をもって、乃木希典を「血塗られた処刑人」と呼び、乃木将軍が祀られている乃木神社を問題視し、さらには日本には戦犯が祀られている寺社が多数あるとして、高野山観音院や熊本や愛媛の護国神社などを挙げているのです。

いまになって中国でこのような難癖をつけるような記事が出るのは、ひとつには中国芸能界で粛清の嵐が起こっていることがあります。

先日のメルマガでも中国で「文化大革命2.0」が始まったことを紹介しましたが、「親日派」が攻撃の対象となっているのです。これは、毛沢東時代の文革でも日中戦争時の「日帝協力者」が糾弾されたのと同じ構図です。これまでも、胡耀邦などが親日派というレッテルを貼られて失脚に追い込まれたことがありました。

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もうひとつは、習近平政権が日清戦争の報復戦を行おうとしていることです。イギリスにアヘン戦争で敗れて失った香港については、中国はすでに取り戻しました。そして去年には、言論の自由や香港人の自治権を奪って、中国化を強行しました。

しかし、日清戦争で敗れて失った台湾については、まだ奪い返せていません。台湾を奪い返すことで復仇を狙う習近平政権としては、中国人に台湾を失った原因を自覚させ反日意識を高め、台湾統一を改めて意識させるために、乃木神社などを叩く必要があるということなのでしょう。

加えて、尖閣諸島も、日本に編入されたのは日清戦争中の1895年だったということで、中国はドサクサに紛れて奪ったと主張しています。もちろん、日本は徹底的に調査したうえで、どの国にも属していないことを確認した上での編入でした。

つまり、台湾統一も尖閣諸島の奪取も、日清戦争で負けた恨みを晴らす意味があるのです。乃木大将をことさら貶めるのもそのためです。

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