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このままでは一億総貧困に。与野党とも経済成長策が無い亡国ニッポン

10月31日に投開票を迎える衆議院選挙に向け、有権者へのアピールに余念がない各党。しかしそのどれもが「分配」ばかりを謳うもので、経済成長の具体策を挙げる党首は皆無という状況です。果たしてこのままで日本は長引く不況から抜け出すことはできるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、各党の主張通りに進む先には「共同貧困化」しかないと切って捨てるとともに、成長戦略として「輸出立国化」を提言。その上で、世界で売れる製品を作るため国を上げて取り組むべき施策を示しています。

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岸田政権も野党も「分配」中心だが、一番は「経済成長」をどうするかだ

岸田政権も野党も分配中心の公約になっているが、今一番必要なのがパイを増やすこと、経済成長をどうするのかである。これを検討しよう。

自民党も野党も分配を公約して、経済成長の具体策がない。これでは、日本は「共同貧困」化した社会になる。野党では日本維新の会が構造改革と言うが、この具体策もないし、構造改革は、さんざん今まで実施してきたが、国鉄民営化、電電公社民営化、郵貯民営化のような大規模な改革でしか経済成長ができていない。どちらにしても、明確な経済成長の具体策がないことが問題なのである。

日本の人口が減少しているから経済成長は無理とか、物価を上げれば経済成長できるとか、どうも頓珍漢なことを言って、まともな議論を聞いたことがない。

日本が輝いた30年前は、どうであったかだ。この時代を思い出して、日本経済を復活した方が良い。勿論、問題点が除去する必要はあるが、この時代の日本を研究して、中国も韓国も経済成長してきた。

その中核の考え方は、輸出立国である。日本の輸出はGDPの11%と小さいので、この輸出を増やすことが必要なのである。農業でも工業でも優秀な商品を作り、世界に売ることである。

円安にして輸出を増やすことはできるが、東南アジア諸国の労働賃金との競争で負けるので、円安での輸出増はできない。

ハイテク製品やグローバル経済の元でのサービスの世界展開をするしかないが、ITサービスでは米国に勝てない。

よって、技術的なハイテク製品を作り、世界に輸出するしかない。これができているのが、半導体のウエハー生産の信越化学とサムコである。これに続く企業を各分野で作り、日本で生産しても勝てる製品を作ることである。

農業食品分野では、旭酒造の獺祭やニッカの赤ワイン「YUHZOME」であろうが、大量生産ができない。このため、工業分野での製品を作るしかない。

ということで、ハイテク製品を開発して、かつ世界で売れる製品を作るためには、実用化研究と基礎研究をリンクして行う必要がある。

しかし、民間企業では、研究開発の多額の投資はできないので、研究開発の補助金が必要になる。しかし、現時点を見ると、研究開発が製品化に結びついていない。

補助金があると、それを狙って、利益を出す指向になり、結果が実用化に結びつかず、無駄な補助金となってしまっている。これを是正しないと、難しい。

米国の軍事研究や、韓国の民間企業の製品技術開発への補助、中国の国営企業での研究などの方向でしか、実用化に結びついていない。日本の研究開発は、何かが中途半端である。このため、研究開発が実用化に結びつかずに、他国に先を越されることになっている。

半導体の製造では、技術力のある企業は、キオクシアしかないが、そのキオクシアもWDに売り払うというし、何かが変である。日本の経済成長には、産業振興が必要という概念がなさすぎである。

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矢野財務事務次官の投稿について

安倍政権での問題は、金融緩和すれば、経済成長するというトンデモな経済理論を信じて、経済成長もなく20年を棒に振っている。この延長上にMMTがあり、高市さんが主張していた。

その上、今回の選挙では、野党も与党も分配高を競っているが、矢野財務事務次官の投稿は、途中の論理にはおかしいところもあるが、その趣旨は、プライマリー・バランスを早く取り戻さないと、財政破綻を起こすということだ。この投稿が問題になっているが、私は、基本的にその通りであると思っている。

しかし、コロナ禍で傷ついた業界や個人に給付金や支援をすることは必要であり、30兆円規模の補正予算は実施するべきである。

その代わり、当面の処置として、日銀が持っている国債を金利ゼロの永久国債にして保留することで、予算規模を小さくして、その予算規模でのプライマリー・バランスを早期に取ることである。

いつまでに、プライマリー・バランスを取ればよいかは、見えないが、米中で中央銀行バブルが崩壊すると、日本国債の金利も上昇することになるが、国債を無限に日銀が買い付けることでしか、金利上昇を防ぐことができない。

金利上昇すると、国債費が膨大になり、プライマリーバランスはできないことになる。財政規模が急膨張して、財政破綻を起こしてしまうことになる。

しかし、日銀の無限買い取りでは、日本は超円安になり、ハイインフレ状態になる。これは、昔から警告していた。すぐそこに、その状態が来ているような気がする。非常に危険な状態になっている。この問題意識は、矢野事務次官と一緒である。

ハイパーインフレにはならないが、円高74円の3倍程度の1ドル=250円程度の円安にはなり、価格は今の2倍程度のハイインフレにはなる。しかし、ハイインフレになると、国債の重みが軽くなるので、財務省にとっては良いことになる。景気は大幅なダウンになる。

日本だけではなく、世界的な現象となる。日本の真似をして、数年で大量のお金を市中に出した付けの回収のためである。

しかし、ハイインフレになると国民は大変である。借金の踏み倒しが起きるようなものだからである。このため、現金預金で持つのは、今後は危ないような気がする。しかし、株も一度、大暴落する。しかし、現預金と違い、物価が上昇すると、それに合わせた格好で上昇するので、目減りが少なくできる。

大都市の不動産や国債以外の金融資産で持つことを強くお勧めするが、ハイインフレになると、多くの日本国民は貧乏になる。1,700兆円のほとんどを銀行預金で持っているし、その金利はゼロであるので、実質850兆円に目減りするからだ。

というように、残された時間が少ない。早く、成長戦略を実行しないと、日本の没落はすぐそこにある。

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経済成長戦略

成長戦略は、日本が持つ技術を世界トップにして、その技術で作る製品を世界に売ることである。輸出立国でしか、日本がこの状況を抜け出すことはできない。

今、世界の関心は、温暖化防止で太陽光などの自然エネルギーの研究開発であり、欧米や中国なども世界的な製品を作るので、日本も追いかけて、世界に売り出す製品を作るというが、それは相当に無理だと思う。

この分野は、理論が固まってきて、安値競争になっているので、日本企業の出る幕がない。勿論、再生可能エネルギーを使うことを否定しているわけではない。再生可能エネルギーを使えば、輸入する石油や天然ガスの量を減らせるので、貿易収支は良くなる。

が、日本で再生可能エネルギーの新製品を製造しても世界に売れないということである。日本国内で売るにしても価格が高いことになる。

6Gなどの分野は、日本企業の勝つ余地があるし、半導体製造でも勝てる余地がある。経済規模が大きいのは、自動車であるが、現時点で電池で負けた。鉄系リチウムイオン電池の価格が安く、その電池を使ったEVしか生き残れない。

ということで、リチウムイオン電池で負けたので、電気自動車でも中国勢の力が強くなっている。ハイブリット車で優位なトヨタの時代は、今後長くは続かない。

しかし、日本の固体型電池で、鉄系リチウム電池をひっくり返すことができれば、日本のEVに勝つチャンスはある。そのため、この分野は負けられない。

しかし、この分野の開発は、安全性を重視して慎重に進めているが、スピードを早めていくことである。そうしないと安全性無視の中国が先に製品化して中国国内で実績を積み、世界に供給開始するからである。

そのような時代であり、早く次の日本優位商品を作らないと、日本の地盤沈下は止まらない。危機意識をもって、取り組むことである。

そのためにも、日本が勝てる産業規模の大きな分野への重点指向で、産業育成を行うことが重要なことになっている。

さあ、どうなりますか?

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image by: Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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