中国北西部にある新疆ウイグル自治区では、中国政府からの弾圧が行われています。この問題は、メディアでも取り上げることを禁忌とされるほどですが、今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、6人のウイグル人がいったいウイグルで何が怒っているのかという真実を語っています。
「命がけの証言」
『命がけの証言』
清水ともみ 著/ワック
この本では、6名のウイグル人が新疆ウイグル自治区の強制収容所などで行われていることを証言しています。若いウイグル人男性は強制収容所に収監され、若いウイグル人女性は漢人と結婚させられ、年配のウイグル人女性は避妊手術を強制させられているというのです。
避妊手術は一人っ子政策の一部かもしれませんが、強制収容所が存在していることは事実であり、強制収容所で女性が強姦されているという証言、開放された妹が妊娠6ヶ月の状態で、その後自殺してしまったという証言があります。
欧米諸国は、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族ジェノサイド(民族浄化)を批判し、関係者の資産凍結といった経済制裁を行っているのに、日本の政治家は何をしているのでしょうか。
若いウイグル人男性は強制的に拘束収容されており…若いウイグル人女性は、家族の暮らしや安全のためにも漢人との結婚を拒否できません。(p153)
また、中国では数ヶ月で臓器移植のためのドナーが見つかり、臓器移植ができるという事実に注目すべきです。移植可能なドナーが見つかる確率を考えると、数百万人の臓器を自由に取り出せる体制が中国にはできていることになります。
そして、中国では少数民族の全員からDNAサンプルを採集しているという事実を組み合わせると、恐ろしい結論に達します。つまり、中国は国家として少数民族を臓器移植のドナーとしてデータベース化し、注文があれば、その人を逮捕して、その臓器を取り出して臓器移植患者に販売していると思われます。
2016年終わりごろから、警察が夜間密かに住民を逮捕しはじめ…少数民族と言われる人たち全員からDNAサンプルが採取され、携帯番号を登録SNSでのやり取りがチェックされました。(p118)
国家というものは、アウシュビッツのような強制収容所とガス室を作り計画的に虐殺することもあるし、ネイティブ・アメリカンのような先住民の土地を奪うこともあるし、市街地に原爆も投下することを過去の歴史は教えてくれています。そして今、私たちの目の前で、ウイグルの強制収容所が存在し、簡単に臓器移植が行われているという事実があるのです。
そしてこの本では、家族を人質に取られてスパイになることを強制され、絶望の中でそのことを証言している人がいます。朝日新聞を代表とするマスコミは、確実な証拠もなく、裏取りもせずに慰安婦やモリカケ問題などを報道する一方で、ウイグル自治区の問題をこれだけの証言者がいるのに、ほとんど報道しようとしないのです。
テレビ朝日の小松靖アナウンサーが「ウイグル問題は我々メディアも非常に扱いにくい問題で、中国当局のチェックも入りますし、だから我々報道機関でも、ウイグル自治区のニュースを扱うのはタブーとされています。(2020年7月6日『ワイドスクランブル』)(p22)
ウイグルにいる家族を人質に取られながら、こうした証言をしている人々にとっては正に「命がけの証言」なのでしょう。その一方で、日本のマスコミは中国共産党に人質を取られているためか中国の不利になる報道ができないという情けない状況です。
日本のマスコミが報道できていないという事実、欧米のように経済制裁できないという事実が、中国の影響力が日本のマスコミ・政治家に浸透しているという証拠なのでしょう。
清水さん、良い本をありがとうございました。
【この本で私が共感した名言】
50歳までの女性全員が避妊のための検診や措置を受けされられ、自費で麻酔無しの避妊手術を強制されます。(p69)
留学生などによる中国共産党への批判を封じ込めるために、ウイルグにいる家族をすぐ人質にとったりします。(p11)
【私の評価】★★★★★(90点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(お薦めです!ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(買いましょう。素晴らしい本です)
★★★☆☆(社会人として読むべき一冊です)
★★☆☆☆(時間とお金に余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては価値を見い出すかもしれません)
☆☆☆☆☆(こういうお勧めできない本は掲載しません)
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