先日掲載の「マンション住民大喜び。コロナ禍で説明会をオンラインにした思わぬ利点」では、「ネット視聴可能」としたところ、住民サイドから思わぬ好反響を得たというマンション説明会の様子を紹介した、一級建築士でマンション管理士の廣田信子さん。では、その説明会を開催する立場である理事会自体のオンライン化は、はたして進んでいるものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で廣田さんが、その現状をレポートしています。
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理事会へのオンライン活用のその後
こんにちは!廣田信子です。
先日、マンションコミュニティ研究会の意見交換会「オンライン会議システムの活用は進んだか」を開催しました。1年前の状況からどうなったか…を知りたいという趣旨です。
私たちの持っている情報としては、
- オンラインの会議システムの利用が始まったところは、どんどん進化している
- でも、オンラインの活用がなくても理事会運営できたところは、オンラインの活用を特に考えていない
というものでしたが、意見交換会の内容は、まさにその通りでした。でも、活用していないところも、その価値を感じているというのも事実でした。やはり、感染状況が大きかった首都圏と地方都市では少し開きがありました。あるマンションは、
「管理会社からの反対があって大変だったが、理事全員がそれを望んでいるということで、オンライン理事会を始めた。高齢者にも、メールとオンラインソフトを入れた不要スマホを貸し出すことで、全員が参加できるようにした。今は、リアル理事会を開催しているが、2、3人は、オンラインで参加。それぞれ意見も述べている。いつでも、理事会には、リアルでもオンラインでも参加可能なシステムが、すでにできている。リアルとオンライン両方で参加するハイブリット型のときは、ハウリングしない方法を工夫している。したがって、単身赴任中の人も理事ができる」
とのことでした。
すでに、コロナ禍が収まっても、オンライン参加ができることが当たり前になっています。それでも、感染状況が一段落すると、多くの理事はリアル参加するということも分かりました。オンライン参加の方は、特に理由は必要ではなく、本人の考え方が大きいようだとのことでした。
子育て中の人は、子供を置いて家から出ることが、たいへんなので、オンラインなら参加できます。仕事で、オンライン会議に慣れている人は、そもそも集まって会議をするということに抵抗感がある人もいます。
二極化しているという話も出ました。リアル参加をしたい人が多い、顔を合わせてのおしゃべりをたのしみにしているケース。子供がいるお母さんさんはオンライン参加が多い、主張先からの参加もできる、というプラスの要素を感じているケース。
また、面白い話も伺いました。
「理事長がオンラインは苦手で、このマンションではオンライン理事会はやらないという、方針だったが、感染拡大を受けて、業者さんにすべてのセットを依頼し、理事のパソコンも全て持ち寄って、オンライン理事会ができるようにした。その後、理事長もすっかりオンライン活用に積極になって、いろいろ工夫している。リアルで理事会を開催したが、腰痛で出られない理事の方がリモート参加になったこともあり、これからも、理事会にリモート参加できるように、継続することになるだろう」
と。オンラインシステムの利用は最初が肝心。このように、最初のセッティングを詳しい人間に頼むことで、あとは、簡単に理事会開催ができるようになったということ。
ここには、大きなヒントがあります。
オンラインを活用したかどうかは、その時の理事の中に、詳しい人間がいたかどうか…に影響されることが多いということも知りました。たまたま詳しい人がいて…ということがよく言われます。それをカバーするために、最初のセッチングを詳しい人に頼むということで、未来が変わるのです(費用はそんなに掛からないとのことです)。体の調子が悪くて参加できない人、子育て中や介護中で、外に出にくい人、出張が多い人、そういう人も理事会に参加できるようになるのです。
その他にも、ご主人が理事で、後からご主人から奥さんが話を聞くことが多かったが、自宅で理事会だと、奥さんにも話の内容が聞こえ、話が早くなったという結果もある。ペットも参加すること増え(笑)、自分の顔を出したくない時も利用できるというようなお話もありました。
理事会はオンラインを使っていないが、町内会等の外部の関係では、オンライン化が進んでいる。また、管理組合の団体の会議もすっかりオンライン化している。という話も出ました。
外との関係はオンラインで繋がることのメリットが大きいのです。
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