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習近平に忖度か。WHOがコロナ変異株命名で「クサイ」を避けた理由

豊富な資金力を背景に自国の影響力を高めてきた中国ですが、各所でそのほころびが生じてきているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、11月下旬にソロモン諸島で起きた、反中感情を背景とした暴動を伝えるニュースを紹介。さらに団体トップが中国のカネに転んだWHOやIOCに対して、世界から厳しい目が向けられているという事実を取り上げるとともに、中国に弱腰とも思える岸田首相の姿勢を批判的に記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年11月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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ソロモン、WHO、IOC…中国に忖度するほど世界の反中が強まる理由

ソロモン諸島で暴動、親中政権に反発 豪は治安要員派遣

ソロモン諸島の首都ホニアラで、ソガバレ首相の親中政策に反発した暴動が発生し、安全保障条約を結んでいるオーストラリアに治安維持のための要員派遣を要請する事態となっています。ソロモン諸島は2019年9月、台湾と断交して中国との国交を結びました。しかし、ソロモン国内ではこのことに対する不満が高まっていました。

もともと同国の中国人居住者は裕福である一方、何世代にもわたって暮らしてきたものの現地に溶け込まず、ソロモンの人々の怨嗟の対象となってきました。一方で、台湾からは農業支援を含めて、非常に良好な関係が続いてきました。総じてソロモン諸島では対台湾感情は良かったのです。そのため、2019年に36年間続いた台湾との関係を断ったときには、中国系の商店の多くが現地住民の反発を恐れて休業したほどです。

台湾と断交のソロモン諸島、警察は中国系住民への反発警戒

しかも、2019年9月の中国との国交樹立時、中国は経済支援を餌に台湾との断交を迫ったものの、例によってその経済支援は中国から中国企業や中国人を招き入れるだけで、現地の雇用をほとんど生まず、むしろ現地住民の職を奪っていました。

こうした事例はソロモン諸島に限らず、アフリカなどでも見られる光景です。そのため、アフリカ諸国では、中国企業を狙ったテロや暴動が頻発しているのです。中国人の自己中心的な中華思想が根本にあります。

中国人の工場幹部3人、従業員に惨殺される 「反中」広がるザンビア

加えて、ソガバレ首相が中国から賄賂をもらって私服を肥やしているという疑惑も、ソロモン諸島市民の怒りに火を注いだようです。

今回の暴動では、台湾との関係が深かった東部のマライタ州の住民が中心となっているとされています。マライタ州では、2019年の台湾との断交に反発し、2020年9月には、同州の独立の是非を問う住民投票を実施するという意向も示していました。それほど中国に対する反感が強かったのです。

現地警察によれば、チャイナタウンの中国人街の商店が襲われ、放火や略奪が行われ、11月27日時点で3人の遺体が見つかり、100人以上が逮捕されたそうです。

ソロモン暴動、3人死亡 親中国の首相に退陣要求

その一方で、中華民国の国旗(青天白日満地紅旗)を掲げた商店や建物は襲撃されなかったという話もあります。これは2014年5月、南シナ海で中国企業が石油を掘削したことに反発し、ベトナムで大規模な反中デモが発生した際にも見られた光景です。当時、中国企業が襲撃されるなか、間違って襲撃されたくない企業は、自国の国旗を掲揚しました。とくに台湾企業は、中国企業と間違えられやすいので、青天白日満地紅旗をこぞって掲揚したのです。

本来、ベトナムは中国との外交関係上、台湾国旗の掲揚を認めてきませんでしたが、現在では反中デモの被害対策として、台湾企業に国旗掲揚を容認するようになっています。

ベトナム 台湾企業の国旗掲揚を容認、反中デモ被害の対策で

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今回のソロモン諸島での反中暴動は、各国に飛び火する可能性も少なくありません。ただでさえ、新型コロナウイルスのパンデミックで近親者を失った人には中国に対する反感があるうえ、ウイグル問題、香港問題、彭帥選手の問題など、中国への懸念が次々と噴出しています。

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そして、こうした中国への疑念や懸念にもかかわらず、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長やIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長など、中国に籠絡された露骨な親中派がさらに疑念と不満を掻き立てているという構図になっているのです。

いまやテドロス氏やバッハ氏は、ソロモン諸島のソガバレ首相と同様に、中国のカネに転んだ「買弁」(外国資本に追随して、自国や組織の利益を損なう人物)という風評に染まっています。

とくに新型コロナウイルスでは、WHOの中国忖度に批判が集まりましたが、最近も、変異株の命名が中国に忖度していると噂されています。

最近、アフリカでコロナウイルスの変異株が見つかり、WHOは「オミクロン」と命名しましたが、これはギリシャ文字の15番目(ο)です。ところが、変異株は12番目のミュー(μ)株までしか検出されていません。つまり、13番目のニュー(ν)と14番目のクサイ(ξ)が飛ばされたわけです。ニューはアルファベット表記では「Nu」で、英語の「New」と混同されやすく、「新型コロナウイルス」という表記とも重なるので回避されたとも言われていますが、問題はクサイのほうです。

14番目のクサイをアルファベット表記すると「Xi」となり、これは習近平(Xi Jinping)の「習」の発音を示すアルファベット表記「Xi」と同じことから、WHOが中国に忖度して回避したと疑われているのです。実際、WHOの報道担当者は、ニューヨーク・タイムズの取材に対して、「Xiは一般的な名字なので使用を避けた」と語っているそうです。

オミクロン株、習氏と同じ「Xi」避けた? 米の対中強硬派が批判

これに対し、アメリカのテッド・クルーズ上院議員は、「WHOが中国共産党をそんなに恐れているなら、次に中国がパンデミックを隠蔽しようとした際に、WHOを信用できない」とコメントしました。また、コットン上院議員も「WHOは公衆衛生より中国共産党のご機嫌取りに終止している」と書き込んだそうです。

WHO報道官は「Xiが一般的な名字に使われるから避けた」といいますが、12番目のミューはアルファベット表記で「mu」となり、これも「木」「穆」という一般的な名字に使われていますので、muを変異株の名称に使用している以上、報道官の説明には無理があるでしょう。

新型コロナもソロモン諸島もそうですが、結局、中国に取り入って得をするのは一部だけ、その他はむしろそのせいで割りを食ってしまうのです。そのような構図がはっきりしてきたことで、親中派が中国を擁護すればするほど、かえって中国への反発が高まっているといえるでしょう。

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日本でも、岸田政権は外国での人権侵害に関与した個人や団体に制裁を科す「人権侵害制裁法」、いわゆる日本版マグニツキー法の制定を見送ったと報道されています。欧米主要国には、人権侵害を理由として外国当局者に制裁を科す法律があるのですが、日本にはそうした法律がないため、中国当局による香港やウイグルでの人権弾圧を問題視する超党派の議員らが制定を求めてきました。

ところが、共同通信は11月16日、岸田首相が人権侵害制裁法の制定を当面見送る方針を固めたと報じました。そのため「岸田首相は親中に舵を切ったのか」という不信感が高まっています。

岸田首相“親中に変節”か 人権法見送り報道、林外相の起用…怪しい「対中姿勢」 乱れる欧米各国との歩調 識者「弱い政治のシグナルに」

欧米諸国が来年の北京冬季五輪への「外交的ボイコット」を表明しているなか、中国外務省の趙立堅報道官は、「中国は日本の東京五輪開催を全力で支持した。日本も北京五輪を支持すべきだ」と要求しました。

岸田首相は人権侵害制裁法を求める日本の議員と、中国報道官の要求と、どちらに耳を傾けるのでしょうか。後者であれば、テドロス事務局長、バッハ会長、ソガバレ首相と結局「同じ穴のむじな」だと見なされ、国民の失望を買うことになるのではないでしょうか。

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