MAG2 NEWS MENU

私達の概念はもう古い。新時代のブランディングで役立つ“新しい価値”

近年、次世代のビジネスの方法が生まれてくるのを目の当たりにする機会も多くなりました。そこにはただ利益だけを追求するだけではなく、今の時代にマッチしたビジネスの在り方が垣間見られるようです。今回のメルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』ではWebメディア『ECのミカタ』元編集長で株式会社「team145」代表取締役の石郷学さんが、ビジネスを新しい価値観から考察していきます。

ネット通販やキャラクター業界の最新情報が届く石郷学さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

僕らが抱く“花”や“服”の価値はもう古い

・花は相応しく集まれば価値になる

ものの価値っていうのはどこに潜んでいるかわかりませんね。だから、ものに依存して、力任せに売るのではなく、そういう価値観を探して、商売に変える工夫がこれからは大事です。

先日、フラクタの会社に立ち寄り、僕はそういう新感覚のブランドのポップアップストアに触れて、そんなことを思ったのです。

言うなれば、それは「ものではなく価値で追う」時代だということ。すると僕らが当たり前に向き合っている商材も実は視点を変えれば、全く別の価値観を持って、人々の心を満たすことだってあるかもしれません。何よりそれが企業とお客様との長きに渡る関係性を築くかもしれません。

例えば、花ひとつにしても、それが集まれば、その色合いは価値となる。僕が「 BOTANIC」というブランドと話をして気づいたのです。

BOTANIC代表取締役 上甲友規さんは、例えばどれだけ鮮やかなピンクの花でも、ただそれを集めてくるだけではダサく見えてしまうし、何をどう組み合わせるかに価値があると話してくれました。

それで僕もそうかと。「花もまた服でいうところのコーディネイトのように提案できるのかも」そう思いました。

それはセンスであり価値観だから、そこをお客様と心を通わせることが可能になります。そこが共感できていれば、このブランドが毎月、それを提案して、日常の心を満たすことができます。その瞬間、それはサブスクリプションとして成立して、特別な時にしか買わない「花」というイメージを覆します。

日常を変える素材として花が機能し、そしてそれが付加価値をつけて、「安さ」基準ではない価値観で繋がる新しい花の提案を実現させていますよね。

ネット通販やキャラクター業界の最新情報が届く石郷学さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

・材料を無駄にしない理念からの発想

服にしてもそうです。季節ごと新作を提案して、それをプロモーションして売り出すのはこれまでの常識。でも「O0u(オー・ゼロ・ユー)」は、敢えて生産数を抑えて真に必要な数だけ、必要なものを手掛けてお客様と向き合おうとしています。

気付かされるのは、そうやって材料を無駄にしないという理念を掲げると、今度はそこから生まれる発想全般が新しいものになっていくということなんです。

僕が一番「なるほど」と思ったのは「手元には既に材料が存在している」という話。

それを必要に応じて、いろいろな商品へと作り替えていくのであって、それも最初、必要最低限の数量で商品の生産にかけて、その後の受注状況に照らし合わせて拡大し、世の中から在庫過多による廃棄を防ごうというのです。

これらの素材が用意できているのは、この会社自体がアダストリアの関連企業だから。アダストリアはそうやって既存ブランドは従来のやり方を時代に適応させながら、売上を追いつつも、次の時代を踏まえ、通常のラインとは敢えて違った姿勢を打ち出しているということなんです。

その生産体制、売り方を含めて見直して、新しい発想を取り入れ、それをお客様と分かち合い、価値に変えていくわけですよね。

「アルパカってご存知ですか?その毛を使ったもので、この色はそのアルパカそのものの色なんです」。商品においてもその魂を見せてくれました。

染色しないという姿勢を打ち出して、商品そのものにも彼らのメッセージを添えているのが分かるし、ダウンジャケットにしてもそれ自体再生ナイロンを使用しているし、バッグもリンゴの皮を用いていて、自然への優しい配慮を忘れません。

ネット通販やキャラクター業界の最新情報が届く石郷学さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

・クラファンで掴んだ生活密着の服

今の話で言えば、大手企業が生産体制などを見直す中で、ブランドの新たな姿勢を模索していたけど、一方で、全く洋服の知見もない中、無名なたった一人の人物が立ち上げたという「Jocund(ジョコンド)」というブランドもまた、服に新しい価値をもたらすものでした。

着目したのは、リモートワークに特化した仕事と家の間をいく洋服。自らが質の高い暮らしを意識して、インテリアなどの良さを日頃から、YouTubeで発信しているそうで、登録者数は万を超えます。

既にその価値観は一部の間で浸透していたけど、自らその質の高い暮らしに連動して、こうしたリモートワークに特化した服の必要性を着想したそうです。価値観からものづくりにして、よりマネタイズするフェーズに来たと言えます。

ただ、彼自身、ものづくりに関しては知見がなく、当然ながら、立ち上げ当初は、その作り方すら知らなかったといいます。

リモートワークを繰り返す中で、ボタンのない袖、お尻で踏まない裾など、そこに相応しいと考えるこれまでにないタイプのアパレルデザインを考え、自ら、ネットの検索から始めて、自ら工場に問い合わせ、必要な予算を割り出し、クラウドファンディングに挑戦するに至ります。

僕はここがすごいなと思っていて、 まず価値観を醸成すれば、ものづくりが後からついてきているという現実。かつてであれば、考えられないわけである。ものではなく、価値から生まれるものづくりである。

だから、僕らは商品に対しての固定概念を一度、取り外した方がいいでしょう。大量生産大量消費にはない、真にお客様と育む価値観をどう構築するか、です。ものではなく価値で追う時代だと痛感させられたわけです。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』2021年12月6日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込962円)。

ネット通販やキャラクター業界の最新情報が届く石郷学さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Shutterstock.com

石郷学この著者の記事一覧

145マガジンの「 145 」は運営責任者 石郷 学(Manabu Ishigo)の名字の当て字です。並々ならぬ、覚悟と想いを持って メディア を立ち上げました。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版 』

【著者】 石郷学 【月額】 ¥962/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け