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右派にも左派にも責任。日本がここまで衰退してしまった「5つの原因」

先日掲載の「超円安で『第3の敗戦』必至。ニッポンをどう復活させれば良いか?」等の記事で、衰退する一方の日本を救う戦略を考察してきた、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。しかし、そもそもなぜ日本はここまで転落の一途を辿ってしまったのでしょうか。津田さんは今回、自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』でその5つの原因を挙げ、その各々について独自の解決策を提示。安直な方法での日本復活は、到底ありえないようです。

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日本衰退、5つの原因と対策

日本の衰退の5つ原因とその対策を検討しよう。

日本衰退は、根源的な問題を解決しないで放置したことが大きい。これは、保守派と革新派の政策で引き起こしている。

1つ目は、人口減少であり、これへの対応として、家族制度の改革で、女性の婚外出産の緩和や育児補助支援をしなかったことであるし、もう1つの解決である積極的な移民政策もしなかったことだ。

この対応策を阻止したのが保守系の人たちであり、日本を衰退させた一番の原因を作った人たちである。根源的な原因を除去できなかったことで、ドンドン問題が膨らんでいった。

これが原因で、団塊ジュニアの結婚適齢期の女性たちが子供産まなかったことで、日本の衰退が確定的になった。高齢人口比率が上がり、その分年金財源支出は増え、かつ生産人口が減ることになった。

このため、高齢者の年金を減らし、60歳以下の人たちの社会保険料や税金などが増加して、手取りを減らし、その分、消費が減ることなった。

2つ目は、消費が減ったことで、GDP縮減になる所、財政出動して、GDP縮減の痛みを軽減したが、抜本的な人口減少への対策をしなかったことで、赤字国債の発行が継続的かつ増加傾向になり、日銀の金融政策で、量的緩和を止めることや金利上昇ができなくなってしまったことである。

金利ゼロのままのために、円安になりインフレとなった。これを推進したのも保守系の人たちである。MMT理論とかの似非米経済学で、国民をだまし、タダ飯が食えると言ったが、それは政治的な詐欺である。

3つ目は、1990年から2020年の長きにわたり、円高になり日本企業は競争力をなくして、競争力維持のために工場を海外に移転したことである。米国の日本叩きもあるが、結果的に日本は衰退した。

日本企業を敵視して、企業を日本から追い出したのが革新派の人たちである。不当な企業利益を分配しろと言うが、企業は日本から出て、世界標準で経営するしかなくなったのである。

4つ目は、IT化の遅れであり、イノベーションがなかったことで、労働生産性の向上ができずに、賃金が上げることができなかった。

その原因は、スマホの導入が遅れたことである。ガラ携の普及率が高くて、それを駆逐できなかった。それと、若者のチャレンジできる環境が整わずに、AIなどの先端技術が遅れたことも大きい。この部分は、もう1つ、電気通信技術の日本の基幹研究組織を潰したことが、より大きいとみている。

5つ目は、空想的な平和主義と企業性悪説のために高負担の税金をと言う野党の政策と、財政出動で将来への展望がない問題先送りの与党の政策であり、日本の未来が見えないことで、海外投資家も日本への投資を回収し、日本衰退と見て空売りをしている。

日本の問題を解決しないで先送りの政治で、どんどん衰退したが、それでも政治家が目を覚まさないで問題を放置するので、今後も日本は、衰退する状態にある。

問題が次の問題を生み、その複合体が、日本の未来を暗くしている。現実を見て、問題解決して将来を明るくする政治家がいないことが、大きな問題なのである。リアリズムを日本は欠いている。

保守派の人たちは、現実を見ないで保守理念で政治を行い、革新系の人たちも、空想的な平和主義・企業性悪説で、こちらも現実を見ていない。両陣営の人たちが現実無視になっていることで、日本の真の問題を解決できないでいる。

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日本の抜本的な立直し政策

前章で5つの日本衰退の原因を見たが、安直な方法では日本は復活しない。

5つの原因の解決が必要なのである。一番根源にあるのが、人口減少であり、移民政策を積極的に推進ですることであるが、安全保障上の問題を考えて、推進することである。

日本は民主主義国家のまま、国民の政治的な自由を保障する国家であり続けたいというのは、国民の総意であろう。このため、中国のような独裁国の下部にはなりたくないはず。

このため、日本は、空想的な平和主義を取れない。この主義を推し進めたのは、戦争経験のある80歳以上であり、その影響を受けたのは60歳までであるが、この人たちの数は、今後大きく減っていくことになる。

若い人たちは、実効的な国防と経済活性化を望んでいる。このため、立憲民主党は、その党勢が徐々に衰退するとみていたが、泉代表に変わり、若者の望む政策にシフトできるかでしょうね。

もし、変われば、近々に憲法が変わることになる。やっと、現実に即した憲法になる。この部分は現実的になり、左右の分断がなくなる。やっと、リアリズム政治への一歩を進めることになる。

しかし、公明党支援組織の創価学会婦人部は、まだ高齢者が権力を握るために、空想的平和主義のままである。このため、公明党と自民党で連立が組めるのであろうかと危惧する。敵地攻撃などの与党の政策で違いが出てきている。

問題がそれたが、人口減少対応策として、家族制度の変更を議論しているが、すでに遅い。現時点で出産可能な女性の数が少なくて、短期的には人口減少問題を解決できない。短期的な問題解決には、積極的な移民政策をするしかない。

この問題を抜きに、日本の復活はできない。逆に、これを解決すると、全ての問題が解決に向かう。

移民問題では、日本文化との共通性が高い方が、同化しやすいし、日本にも慣れるスピードも違うことになる。

安全保障上問題のある独裁国の中国や親中国以外の東南アジア、ポリネシアからの移民が一番、日本との調和性が高い。日本の縄文人は、ポリネシア民族と台湾の高砂族と同根であり、文化的な違いも少ない。また、東南アジアの民族も多くが中国揚子江中流地域から追いやられた民族であり、日本の弥生人と同根なのである。

中でも一番、日本人に近いのが韓国人である。日本企業は積極的に韓国人を採用しているのも、文化的に近く、企業文化にもすぐに、溶け込めるからであろう。言葉も近い。

もう1つが、優秀な研究者たちを世界中から集めることである。このためには、研究支援・企業支援の制度を作り、世界で募集をかけることである。有能な人が次のイノベーションを生み出すことにな
る。

今までの政策は移民受け入れをしない方向での労働力補充政策であるが、今後は移民を認めるが、条件を厳しくして、日本企業に対しても、日本人社員と同等な労働条件を要求するべきである。そして、日本の海外研修制度は、奴隷制度などと言われないようにするべきだ。

これができると、日本の問題の多くが解決に向かうことになる。

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2つ目のインフレであるが、問題はインフレでも賃金が上げらないことであり、円安でインフレになったら、政治でできることは、最低賃金を上げていくだけである。金利を上げることはできないが、最低賃金は上げることはできる。

移民政策で、人口減少から人口増加になったら、消費が増えてきて労働賃金を上げることができるので、実質的に国債発行量の減額ができることになる。10年もすれば、国債発行額がGDPの半分以下になることも可能である。

3つ目の円高は、現時点で円安になり、日本企業の工場は、積極的移民政策と人口増加になれば、日本に回帰することになる。逆に、今まで数回述べてきたように当面、日本での円安対策を考えるべき時である。

4つ目のIT化とイノベーションは、基幹研究組織を作るしかない。これも数回前に議論したことであり、それを見てほしい。半公的企業を作り、その企業の研究を国が支援する体制を取るしかない。

実質的に今、トヨタがその役割を持っている。蓄電池研究などで日本をリードしている。半導体やIT分野、通信分野、再生可能エネルギー分野でも、これと同じ役割の会社が必要である。

5つ目の現実に即した政治ができるかであるが、立憲民主党が現実的な政策へ変化すれば、大きく前進することになるとみている。

そうすれば、日本の夜明けは近いかもしれない。

しかし、日本のリーダーたちが、夜明けでも目を覚まさないと、日本は眠りについたままで、衰退の坂を転げ落ちていくことになる。

さあ、どうなりますか?

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image by: Shutterstock.com

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