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宅配専門スーパーOniGo(オニゴー)が「10分配達」にこだわる理由

宅配専門ネットスーパー“ダークストア”の「OniGo(オニゴー)」は、今年8月東京目黒で開業し、店舗数と配達エリアを拡大させています。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』著者の理央さんは、通常のネットスーパーとの違いは「10分で届くこと」と簡潔に説明。その違いこそが価格競争なしの勝負を可能にしていて、見つけた3つのニッチなニーズから逆算したサービスの生み出し方は、大いに参考になると伝えています。

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ダークストアに学ぶ、中小企業のスーパーニッチの探し方

このところ、ダークストアが話題になっています。ダークストアとは、消費者が買いに行くような、一般的なお店ではなく、インターネットで注文を受けて、生鮮食品や食料品を扱う、宅配専門のスーパーのことを指します。

小売業なのですが、実際に直接買える店を持つのではなく、スマホで注文を受けてから、品揃えをして、配達します。

このダークストアという名前は、実店舗がなく、どこにあるのか分からない、という、見えない“ダークな”ストア、というところから来ているそうです。もともと、欧米や中国では人気があって、急成長しているとのことですが、日本では、東京渋谷でオニゴー(Onigo )という会社がこのダークストアのサービスを提供しています。

この会社のホームページを見てみると、「10分で届く宅配スーパー」とあります。そして何より面白いのが、会社案内のところに、「Qコマース事業」すなわち、クイックコマース事業を展開しています、とある点です。

具体的には、生鮮食品、食料品のモバイルオーダー、プラス即時配送サービスと説明してありますが、インターネット通販を表すEコマースではなく、すぐに宅配します、という意味での、「クイックコマース」事業です、と、自社を定義しています。

コロナで外出もままならない、なるべく外に出たくない、届けてほしい、という需要が増えてきている中で、ウーバーイーツのようなデリバリーアプリは、かなり浸透してきました。食品スーパーの宅配については、日本でも西友やイトーヨーカ堂などは、ネットで注文することはできます。このオニゴーの特徴は、「10分で届ける」とうたっていることです。

まだサービスできる地域は限られているようで、私のオフィスがある四谷のあたりはサービス外だそうですが、メールアドレスを登録しておけば、サービスが開始されたら連絡が来る、とのことなので、やはり10分で届けるということにこだわっています。多くの宅配スーパーは、夕方を過ぎ他注文は翌日配送となるため、便利さは格別です。

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自宅で忙しく仕事をしている時に、ぱぱっとスマホで注文できれば、少しくらい高くても、いいから届けてほしい、と思う人も多いでしょう。

また、私も料理をやるのでわかるのですが、作り始めてから「あ、玉ねぎ買い忘れた」などという時にはとても便利でしょうし、「あと牛肉さえあれば青椒肉絲ができるのに」というような時は、頼みたくなります。

アプリによると、「商品は実店舗とほぼ同じ価格を実現しております。オニゴーの配達料は、お買い上げの金額に関係なく、一律300円です」とあります。

サービスの提供場所や、10分で届けることをうたっていること、そしてこの配送料を見ても、送料の300円の負担よりも、「時間を大切にする」「時間を買いたい」「手間をかけたくない」という層を、ターゲットにしています。

加えて、営業時間が午前10時から午後10時までと長いこと、さらに定休日がないということで、注文後はアプリの中でのチャットで、お届け状況を連絡します、とのことなので、かなり便利なサービスを実現しています。人口が密集している地域でこれから広がりそうなサービスと言えます。

ここで言えることは、ダークストアも「小売店」だということです。しかも、品揃え、値段はほぼ他と同じ。ただ、大きく違うのは「すぐ届けます」という1点のみ。コロナにより外出したくない層が出てきていること、彼らが、うちでご飯を食べること、そして、時間を大事にすること、この3つのニーズを見逃さず、サービスを提供できたのです。

スタートアップ企業や、大企業での新規事業も、「何ができるか?」を先に考える前に、「何が求められているのか?」という、ニーズから逆算して、自社の製品やサービスを開発することが重要です。

ダークストアのように、スーパーニッチの市場を見つけ、そこに製品を出せば、ライバルがいないので、価格ではないところで選ばれます。つまり、値引き不要、価格競争に無関係な、勝負ができるのです。スモールスタートには必須のアプローチですね。その意味でも、参考にできる事例です。

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image by: Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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