海外で生活することになったら、おそらく多くの人が不安に思うのは「言葉が通じないのでは…」ということかもしれません。今回のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』では、著者で20年以上アメリカに在住する医学博士・しんコロさんが“自分が悪い”とは思わなくていい、として今までに一番英語が通じなかった事件を語りながら海外でのコミュニケーションについて語っています。
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英語が通じない時
海外生活に関して「英語が通じなくて困ることはないか?」という疑問を寄せられることがあります。
確かに、たとえ英語が話せたとしてもアメリカのような多国籍文化の国にいると、うまく英語が通じないことがあります。20年前に渡米してきた直後は、自分の英語が相手にうまく伝わらない時「自分の言い回しが悪いのかな」とか「自分の発音が悪かったのかな」などと思ったものでした。しかし、20年来もアメリカにいると、英語が通じない時は「理解しないお前が悪い」くらいのアメリカンな傲慢さを身につけることができます(笑)。もちろん、そこまで性格が悪くなることはありませんが、自分の話していることに自信や確信があれば、「自分が悪いのかな」と思う頻度は減ってきます。今日はちょっと「英語が通じない時」について最近のエピソードを書きたいと思います。
例えば、先日もこんなことがありました。フードコートのカフェコーナーで自分のコーヒーをピックアップする時のことです。カウンターに行き、自分の名前と注文したコーヒーの種類を伝えました。すると目の前の南米出身っぽい女性店員が「はぁ?何なん?」と言って怪訝な顔をしました。もし僕の名前やコーヒーの種類の名前が聞き取れなかったならば「何と言いましたか?」とか「もう一度言ってください」などの対応をするでしょうが、この時の女性の応対は「は?貴方誰?」のようなトンチンカンな対応だったのです。僕は自分がトンチンカンに話しかけていない自信があるし、その女性をナンパしているわけでもないので(笑)、「僕はコーヒーをピックアップしに来てるんですよ」と伝えました。すると女性は「ああ、そういうこと…」みたいな応対をしました。「そういうことにきまっとろうが!それ以外何があるん!」と心に思いましたが、そこはぐっとおさえます。
このように、自分がちゃんと英語を話していても、相手がちゃんと理解しないでトンチンカンなコミュニケーションになることがあります。このトンチンカンレベルは日本では想像できないほどです。多民族多国籍多言語になると、色々なトンチンカンが起きるわけです。でもこうして僕は自分の言っていることに確信があるので、自分がキョドることはありません。しかし、そんな僕がキョドってしまう事件が先日起きました。僕の20年来のアメリカ生活を経た後の、英語が全く通じない事件でした。
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【注文が英語でできない】
それは、またフードコートでの出来事でした。チャイニーズフードを注文しようとした時のことです。メニューを見ると「プレート」というものがありました。プレートを注文すると、主食(白米、チャーハン、焼きそばのいずれか)に、おかずを2品選べます。僕は自分とちゃっこの2人前を注文しようとしました。しかしこれが至難の業だったのです。
しんコロ「Hi, can I have two plates? One with white rice and the other with noodles. Then…veggie and the spicy chicken for the first plate and…(プレート2つください。1つのプレートは白米で、もう1つはやきそばで、それからおかずは1つめのプレートは野菜と辛チキンで、もう1つの皿は…」
いつものように問題ない口語的な英語で注文をします。しかし店員は予想外の反応をしました。
店員「白米と焼きそばを1つのプレートに乗せるんですね?」
しんコロ「違います、プレートは2つで、1つのプレートは白米、もう1つのプレートはやきそばという意味です」
店員「じゃあ、同じさらに2品ですね?」
しんコロ「違います、2プレートです。2人前です」
店員「……。」
しんコロ「伝わってます?」
店員「イエス、白米と焼きそばを乗せるんですね?」
しんコロ「だから違います、白米と焼きそばを乗せるプレートは別で、それぞれ別の注文です」
店員「ちょっとまって」
そういうと、店員は店の奥に歩いて行きました。うまく通じないから同僚か上司の助けを求めに行くのでしょう。よかった、助かった!
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しかし、店員は4歩くらい奥に進むと、そこで3秒くらい固まって、また振り返って戻ってきました。誰にも助けを求めていません。今の4歩と3秒、一体なんの意味があったん!とツッコミたいです。きっと、ゲップかおならでもしに行ったんでしょうか?
店員「……」
店員は戻って僕に向き合うと無言になりました。手には容器を持っており、もう一方にはおたまを持って固まっています。しかし、何をすべきかがわかっていないようです。僕はもう一度伝えました。
しんコロ「2つのプレートです。ふーたーつです」
ゆっくり発音しました。もしかしたら店員は英語が苦手なのかもしれません。僕の後ろには列ができていて、後ろの客が待っています。この時点で、少し離れたところで待っていたちゃっこが一体何が起きたのかとこちらをチラチラ見ています。
店員「んんん?んんんん?んっんん?」
しんコロ「はい?」
店員は、言葉にならない言葉で「んんん」と言っていますが、そのジェスチャーを見ると「白米と焼きそばを同じプレートに乗せる」をまだ言っています。「んんん」にしても言っていることは一緒です。この店員は1皿以上の注文を受けたことがないのでしょうか?
しんコロ「ツープレート、わん~つ~?つーぷれーと」
店員「(白米やきそばトゥギャザーのジェスチャー)」
僕の英語が全く通じません。いや、店員が英語が苦手なのです。なので、店員に合わせてわかりやすく言わなければいけません。僕はさらに続けました。
しんコロ「わーん、つーぅ!つーぷれーつ!」
手で円を描いて皿のジェスチャーをして「1プレート」を表現し、もう一つの皿のジェスチャーをして「2プレート」の表現をしました。
しんコロ「わーん?つーう!つーぷれーつ」
店員「ハーフアンドハーフ?」
なんでやねん!「わん」と「つー」がわからなくて、なんで「ハーフアンドハーフ」が出てくんねん!そんなツッコミをしたいところですが、もう後ろには列ができており他の客に迷惑がかかっています。
相手の英語の理解に合わせて僕がどんどん簡単でカタコトな英語になっていくのを見て、ちゃっこがクスクスしはじめました。はたから見たら、僕はまるで英語が話せない人と同じようになっているからです。
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もうどう言葉で言ってもこの店員は理解しません。僕はちゃっこを呼び寄せました。そして店員の前でちゃっこと二人で「気をつけ」をして並びました。そして、選手宣誓をするように、店員の前で言いました。
しんコロ「あ~い(I)イート(eat)、あんどしー(She)イーツ(eats)」
店員「…?」
しんコロ「ツーぴーぽー!あいあんどしー」
しんコロ「あいイート!(自分が食べるジェスチャーをする)しーイート!(ちゃっこに食べるジェスチャーを促す)」
店員「…?」
しんコロ「うぃー(We)いーと!つーぴーぽー!つーぷれーつ!」
その時、店員がもう一つの容器を手にとりました!やっと二人前と理解したようです。
しんコロ「いえーすいえーす!さんきゅうううう!」
もう、完全に英語が話せずにキョドっている人のようになってしまった僕なのでした。ちゃっこは、どんどんダメになっていく僕を見て相当楽しんでいたようですが、僕は必死でした(笑)。
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image by: Shutterstock.com