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事業再生コンサルが教える「ジリ貧になる経営者」が怠っていたこと

長引く不況にコロナ禍の直撃もあり、規模の大小にかかわらず厳しさを増すばかりの企業の経営環境。そんな状況下で業績を上げるため、経営者にできることはないものでしょうか。今回のメルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』では、著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんが、2つの具体例を挙げつつ、経営者が普段から心がけるべき取り組みを紹介しています。

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タネを蒔きつづけているか?

変化に強い会社。変化に弱い会社。

私はよく、変化に強い会社とはすなわち打たれ強い会社であり、変化に強い経営者とはすなわち、どんな逆境でも平常心を失わない経営者であり、そういう会社、そういう経営者こそが、倒産危機を乗り越えられる…というような事を、いろいろな形で書いてきました。

例えば、年商2億円の会社が、コロナで売上半減、巨額の赤字を出してしまったとします。暫くの間はコロナ融資や給付金、助成金などを活用して資金繰りを維持することができたけど、このままでは資金が1年も持ちません。

そこで次は、社会保険や消費税の猶予申請を出しました(社保や消費税の猶予を申請してしまうと、2021年4月以降は、金融機関から追加融資を受けるのが難しくなる)。しかし、その後も収益回復の目途は立ちません。いくら支出を削っても赤字です。

次は、資産処分と人件費削減に着手しました。売りたくなかった社用車を売り、仕事場を縮小し、余った什器備品も処分し、最後に、一番やりたくなかった人員カットを実行しました。

こうなると、従来のビジネスモデルで収益を元の水準に回復させることはできません。経営資源(ヒト・モノ・カネ)が、ごっそりと減ってしまったのですから。

このような状態になると、社長さんは平常心を保つことが難しくなります。特に、手元資金が枯渇すると顕著です。

この期におよんでも事業継続を断念せず、カッコ悪くても会社を継続するためには、私がコロナ前から(20年前から)再三述べてきたように、「知識」「知恵」「情報」「行動力」、「休暇」「食事」「睡眠」、「柔軟さ」「現実を受け入れる姿勢」、「家族・友人」などが必要です。これらはカネよりも大切です。資産より財産、つまり、貨幣価値に換算できる資産よりも、カネに代えられない財産を大切にしましょう。そうすれば逆境にも強くなり、乱世の中でもたくましくしなやかに生き抜いて行ける、…と。

しかし、これはあくまで「守り」の話です。「攻め」、つまり収益を上げるためには、まだまだこんなものでは足りません。

特に昨今は、コロナだけでなく、原価高騰、物価上昇、物流(コンテナなど)停滞、消費動向の大きな変化などが重なり、ますます先が読めなくなっています。

どうやって攻めるか?広告宣伝費を増やす?YouTubeやSNSを活用する?事業再構築補助金で最新機械を導入する?手薄だったエリアに販路開拓する?新規事業に乗り出す?

まあ、いろいろ考えられるでしょう。業種や地域、業界内の立ち位置などによっても、やり方は大きく異なるでしょう。

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ここでふと、思うことがあります。

メルマガタイトルに書いたとおり、「種を蒔く」ことについてです。

今までを振り返ってみると、ジリ貧になっていった経営者さんの実に多くが、この「種蒔き」を怠っていました。

お父さんの築き上げてきた事業を継ぎ、それ以外の事を何もしてこなかった2代目社長。遺産相続で手に入れた資産を全て貯金に回し、新しい事をしてこなかった遺族の方。30年前に成功したビジネスモデルを全く変えず、そればかりやってきた経営者。想い出したらキリがありません。

種蒔きの重要性は、業種を問いません。すべての経営者に必要です。

種蒔きの方法は、いろいろ考えられると思います。具体例を羅列すると、

● ある旅館経営者。本業の他に、魚釣りのブログとSNSを10年以上書いていた。地元の海を知り尽くしており、釣りの内容もプロ顔負けで、いつしか魚釣りのガイド業を片手間にやるようになり、釣り雑誌にもたまに掲載されるまでになった。魚釣りの情報発信という形で、種蒔きをしていたのだ。コロナ禍により、旅館の売上は激減するかに思われたが、結果は逆だった。コロナ禍により釣りがブームになり、ガイド業も宿泊業も予約で一杯になった。現在も予約一杯である。

● ある不動産賃貸業経営者。父親からテナントビル3棟を相続した。以来20年以上、家賃収入がメインの収入源である。しかし、彼はそれだけにとどまらなかった。テナントビルのワンフロアで小さな居酒屋を経営。もうワンフロアでは音楽教室を経営。これらが地元のコミュニティの場として機能した。地元の商工会でも積極的に活動した。市会議員選挙に立候補した。当選し、1期だけ務め上げた。任期中はあらゆる形で市民に貢献した。この20年間、ピンチも何度かあった。テナントビルの火災、市町村合併による人口流出など。しかし、種を蒔いてきたおかげで、あらゆる事態に対処できている。

というわけで、皆様におかれましても、今年は「種蒔き」を見直しましょう。副業も、趣味も、日々の善行も、習い事も、名刺交換も、飲み会も、儲からない仕事の試行錯誤も、これら全て、種蒔きになると思います。行動して無駄になる事はひとつもありません。

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image by: MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

吉田猫次郎この著者の記事一覧

事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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