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オミクロン戦は短期集中で。地方と都市部で別の対策が必要なワケ

政府は2月13日に期限を迎える13都県への「まん延防止等重点措置」を3週間延長し、新たに高知県にも同措置を適用する方針を固めたようです。一部の業種の人たちに負担を強いるだけの「まん防」に感染を減らす効果はないと私見を述べるのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。山崎さんは、地方においては9日間ほどの学校閉鎖が効き、都市部においては短期集中ロックダウンしか対策はないと主張。ワクチンやコロナの担当大臣の影が薄く、いつまでも運頼みを続ける政府に苦言を呈しています。

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オミクロン戦のこと

現在35の都道府県がまん延防止等重点措置下にある。飽くまでこれは私見としての言だが、これが奏功することはおそらくないであろう。なぜなら以前にも述べた通り、人口減少のため通常の生活が既にまん防状態の地方市でも感染が拡大したからだ。

このようなデフォルトまん防の地域において都市部と同程度に人間が集まる場所と言えば学校(幼稚園、保育園を含む)をおいて他にはない。したがってこれらの地域に関して言えば、土曜から始まる一週間に次の土日をくっつけた9日間ほど学校を閉鎖すれば感染拡大は一旦は落ち着きを見せる筈である。

都会はこうはいかない。そんなふうに学校だけを閉鎖したとしても他に人が集まる場所や状況が数え切れないほどあるからだ。それを考えると、少々過激に聞こえるかもしれないが、短期集中ロックダウンくらいしか我々が積極的にとれる対抗手段はないように思える。少なくとも一部の業種の人たちだけが長期に亘り多大な負担を強いられる現行まん防よりははるかにましであろう。

対オミクロン戦は徐々に消耗戦になりつつある。これが完全に消耗戦になってしまえば、医療体制どころか社会そのものが維持できなくなってしまう可能性すらある。一人の人間が感染者になるということは社会から一人の構成員が一時的に離脱することだけにとどまらない。そのケアをする医療従事者、管理をする行政官、職場で空いた穴を埋める同僚、ある意味当事者とも言える家族など、数人役の手間を縛ることになるからである。

とすれば、感染者数がある一定の値に達した段階、即ち社会が麻痺する前段階のどこかで必ずロックダウンを断行しなければならなくなることは自明の理である。恐いのはその数値が明示されていないことである。下手をすると試算すらされていないかもしれない。能動的ロックダウンをなんだかんだと先延ばししているうちに受動的ロックダウンをしなければならないような事態になってしまうと状況としては最悪である。

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もちろんロックダウンなどしないに越したことはない。だが、どうせ戦うなら、戦わなければならないなら、一部の人だけに重荷を背負わせるのではなく、社会全体で団結してかかるべきである、と思うのは自分だけだろうか。

政府のやり口は凡そ分かっている。このままこれ以上は特に何もせず、自然に(理由も分からぬまま)ピークアウトするのを待ち、然る後に「国民の皆様のご協力により、幸いにも…」などと嘯いたりするのであろう。実際そうだったなら結果としてそれはそれでいいのだろうが、そんな風任せ、運頼みがいつまでも通用するとはとても思えない。

国民の不安の原因は実にこれである。何を根拠に、何を指標に、何をどう考えているのか全く見えて来ないのである。一例を挙げると、ワクチン担当相やコロナ担当相の情報発信量が前任者どころか一般社会における標準的リーダーのそれと比べても明らかに少ないというのはどういう訳か。あれで「内閣府特命」の「担当」の「大臣」などとよく言えたものである。

これはロックダウンというものを未だ経験していないから言える軽口なのかもしれないけれど、個人的には日本人ほど全員野球のうまい国民はいないような気がするのである。これは精神風土的には良いところでもあり同時に危ういところでもある。ただこれも短期に集中して行えば良いところが勝った状態で終えることもできると思うのである。

そろそろ我々も腹だけは括っておいた方がよさそうである。

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image by:Ned Snowman/Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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